小籠包│ショウロンポー Step 4

難易度: 調理時間:30分以内
これまで作ってきた素材をあわせ、ついに『小籠包』を完成させるときがやってきました。超本格小籠包シリーズ第四弾、ラストは『小籠包│ショウロンポー Step 4』のレシピです。

今までのレシピはこちら!
小籠包│ショウロンポー Step 1 [ベース肉餡]
小籠包│ショウロンポー Step 2 [皮凍│にこごり]
小籠包│ショウロンポー Step 3 [皮│皮]

今回はラストということで、台湾小籠包の代名詞「鼎泰豐」について簡単に解説してみます。

ほとんどの方が聞いて驚かれるかもしれませんが、鼎泰豐はもともと油屋でした。もともと大陸山西省に住んでいた初代社長の楊秉彝は国共内戦で荒れる中国大陸を離れ、叔父を頼って台湾に渡ります。叔父は現在の永康街で油屋を営んでおり、楊はまず油屋の配達員の仕事を任されました。楊は配達員として2年ほど働いたあと、その勤務態度を認められて店内の管理を任されることになり、この時同じ店で仕事をしていた従業員と結婚します。その後3年ほど店の管理を行っていましたが、叔父が投資に失敗して油屋は倒産の危機に。この時楊は自立を決意し、もともとの出身会社である恆泰豐と得意先だった「鼎美油行」から一文字とって、「鼎泰豐油行」という油屋を開きます。1958年のことです。

当時の台湾では電話番号の申請が非常に難しかったのですが、楊は故郷の山西省同郷会に赴き、電話番号を売ってもらうことにしました。この番号が現在でも本店で使われている"(02)-2321-8927"で、この時の同郷会で知り合った有名な書家「于右任」にかいてもらった「鼎泰豐油行」の看板は現在も永康街本店の軒先に飾られています。

その後順調に油販売で業績を伸ばしますが、1980年ころから台湾で販売され始めた缶入りサラダ油により、伝統的な油の販売は大打撃を受け、楊の経営する鼎泰豐油行も毎日の食事に困るほど困窮してしまいます。この状況を打破するため、油店の半分を唐という老兵に貸し出し小籠包の販売を始めます。

この小籠包の売り上げがまことにすばらしく、商機を悟った楊はこの老兵に小籠包の作り方を学び、本格的に小籠包の店に模様替えすることになりました。その後、口コミが口コミを呼び店は連日大行列、1993年にNYタイムスで世界十大名店に選ばれてからは、世界じゅうから観光客が訪れるようになりました。その後台湾各地だけでなく、アジア、そしてニューヨークにも出店を続け、現在の形になりました。

鼎泰豐で一年で作られる『小籠包』の数はなんと"一億個"!台湾を訪れたことのある外国人の"8割"が台湾を代表する料理に小籠包を挙げるほどの人気店となりました。現在は二代目社長楊紀華氏により、小籠包発祥の地とも言われる上海への出店も果たし、世界最高の小籠包を目指して経営を続けています。…中国大陸部には他にも多くの分店を出店していたのですが、本店の基準に従わないメニューをいくつも販売しており、偽の鼎泰豐の出店が後を絶たなかったことから…2010年に一部を残してすべての分店を撤収してしまいました。

まぁ、あくまで観光客向けのお店であることは頭の片隅においておいてください(笑)。台湾には他にもたくさんのガイドブックに乗っていない『小籠包』の名店があります。こういった店を探すのも台湾旅行の楽しみですよ。

というわけで、鼎泰豊に負けない『小籠包』を自宅で作ってみましょう!家庭で毎日のおかずにするにはちょっと複雑すぎるレシピですが、休日に本気で料理を楽しみたい人は挑戦してみてください!


[材料]
ベース肉餡 ……… 300g
皮凍│にこごり ……… 200g
小籠包の皮 ……… 150g
ネギ ……… 適量

[調味料]
砂糖 ……… 少々
オイスターソース ……… 少々
胡椒 ……… 少々

[作り方]
1.ベース肉餡をボウルに入れ、みじん切りにした皮凍とみじん切りにしたネギ、好みで調味料をそれぞれ加えてよく混ぜ合わせる(→Point参照)。餡の完成。

2.小籠包の皮をひも状に伸ばし、一個あたり約6gにちぎる。ちぎった記事は手のひらで丸め、まな板の上にのせて、少量のうち粉(分量外)を振りかける。

3.生地を手のひらに乗る程度の大きさに薄く円形に延ばす(→Point参照)。記事の中央に餡20gを載せ周辺を絞り、真ん中でまとめるようにして包み込む。出来上がったら蒸し籠(→Point参照)に入れる。

4.蒸し籠を蒸し器にかけて加熱する。蓋の隙間から蒸気が出始めたら強火で6分加熱して完成。

Point!
ネギは入れなくてもOKです。あまり入れすぎても風味を損なうので、ほどほどにしましょう。

台湾では生地を延ばすとき、麺棒ではなく竹のヘラを使います。同じヘラで餡を取って生地に乗せられるので便利です。

蒸し籠のそこにはガーゼやクッキングペーパーなどを引いておきましょう。くっつきます。うっかり買うノのを忘れていた場合は、薄切りにした野菜をひけばOK。レタスなどでも代用できます。

ソースはもちろん千切りにしたショウガ(分量外)と酢醤油(分量外)でいただきたいものです。

中からスープが飛び出すので、食べ方には注意してください。中華スプーンに乗せて箸で皮を破り、スープをすすってからパクリと口に入れるのが安全です。

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