一品鯧│一品マナガツオ

難易度:☆ 調理時間:30分以内
台湾料理の故郷福建省から魚料理『一品鯧│一品マナガツオ』を紹介します。台湾でも家庭料理として食べられるマナガツオを使った料理です。

福建料理で「一品」とは見た目が円形の料理を指します。しばらく前に紹介した『一品(虫戈)抱蛎│シマイシガニとカキの中華オムレツ』も一品の名が付いており、切らずに円形に作るのはレシピの通り。

中国語でマナガツオを「鯧」または「鯧魚」と書き、台湾を含む南部地域沿岸では食材として常用されます。台湾の魚市場でも扁平で愛嬌のある形はとても目立ちます。ウロコ(本当はあるのですが細かすぎて見えません)や小骨がなく、形も美しい魚で、家庭料理の食材としても人気があります。

マナガツオとはまったく関係はないのですが、食人淡水魚ピラニアを中国語で「食人鯧」と呼びます。他にもマナガツオと関係のない魚に「鯧」の字がたくさん使われています。体が平たくて中型の魚であれば「鯧」の字を使うようです。

さて、当ブログではおなじみ明代の本草書《本草綱目》にマナガツオの記載があるので抜き出して見ましょう。

鯧魚
(《拾遺》)
[釋名]
魚(《錄異》)、時珍曰:昌、美也、以味名。或云:魚游於水、群魚隨之、食其涎沫、有閩人訛為魚。廣人連骨煮食、呼為。
[集解」
藏器曰:鯧魚生南海。狀如鯽、身正圓。無硬骨。作炙食至。
時珍曰:閩、浙、廣南海中、四五月出之。《嶺表錄異》云:魚形似魚、而腔上突起、連背而圓、身肉甚濃、白如凝脂、只有一脊骨。治之以蔥、薑、之以粳米、其骨亦軟而可食。


[氣味]
甘、平、無毒。
[主治]
令人肥健、益氣力(藏器)。

腹中子
[氣味]
有毒。令人痢下(藏器)。

「魚の群はこれに随い、その涎沫を食す」と考えられていたようですね。なかなか不思議な魚です。

さて、古くから南海地域、福建省や浙江省で炙って食べるなど食用にされていた様で、広東省では骨まで煮て食べていたようですね。当時は単に「昌」とも表記していたらしいのも面白いところです。身が白く緻密であると書かれていることから現在の「銀」などを指していると思われます。

台湾では他の魚に比べて結構高めの値段です。これは形状の美しさを愛で、祝いの席で使うためだと考えられます。特に旧正月はいつもの数倍まで値段が跳ね上がっておりびっくりしました。卸値が牛肉より高かったですから…(笑)。

日本でも普通に手に入る魚で作る中華料理です。ご家庭でもぜひお楽しみください。


[材料]
マナガツオ ……… 1匹(750g)
とんこつスープ ……… 100cc
ニンニク ……… 3個

[調味料1]
醤油 ……… 小さじ1/2
紹興酒 ……… 大さじ1
片栗粉 ……… 適量

[調味料2]
砂糖 ……… 20g
醤油 ……… 小さじ2
紹興酒 ……… 大さじ1
酢 ……… 大さじ1と1/2
ごま油 ……… 少々
胡椒 ……… 少々
カレー粉 ……… 少々
味の素 ……… 小さじ1/2

[作り方]
1.マナガツオの内臓を除き、身の両側にいくつか十字に切れ目を入れる。これに調味料1の醤油と紹興酒を混ぜ合わせたものを振りかけ、両面に片栗粉をまぶしておく。

2.熱した鍋に揚げ物油を注ぎ180度まで熱した後、作り方1のマナガツオを入れてきつね色になるまで揚げる。火が通ったら取り出して油を切っておく。

3.作り方2の鍋に大さじ1の油を残し、みじん切りにしたニンニクを炒めて香りを出す。続いて全ての調味料2を一気に加え、沸騰させたら作り方2のマナガツオを入れてソースを絡める。弱火でソースにとろみがつくまでにつめたら器に盛り付けて完成。

Point!
通常は千切りにしたダイコンやネギを添えて出します。好みの野菜を合わせてください。

油の温度は高めで一気に上げてしまいます。片栗粉を両面にしっかりまぶして生身が露出しないように注意しましょう。片栗粉が足らなければ足して下さい。

料理名に「一品」が付いている以上、形は出来るだけ丸く(楕円形に)美しく仕上げるのがポイントです。付け合せの野菜の位置なども工夫して美しく作りましょう。


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