鐵蛋│鉄卵

難易度:☆☆ 調理時間:半日~数日
久しぶりに正真正銘の台湾料理を紹介します。淡水名物の『鐵蛋』のレシピです。

淡水発祥のこの『鐵蛋』は近代に入ってから生まれた台湾料理。1980年代に淡水の老街に黃張哖氏が経営する滷味の店がありました。雨が降ると客足が遠のき、店に並べた煮卵を何度も鍋に戻しては店先に並べるというのを繰り返さざるを得ませんでした。あるとき長雨が続き、同じ卵を何度も何度も鍋に戻しては扇風機の風に当たる店先に並べるというのを繰り返していたところ、卵がどんどん小さく、美しい光沢を帯びるのを発見したと言います。食べてみると独特の食感で非常に美味、これを売り出したところ大ヒットしました。

1983年に新聞記者が「阿婆鐵蛋、硬是要得」という見出して新聞記事にしたところ、人々の耳目を集め日本のメディアにまで紹介されることに。海外メディアに特集されたということで人気に拍車がかかり、この『鐵蛋』は淡水の名物となります。現在「阿婆鐵蛋」は8歳のときから初代を手伝っていた二代目黃玲紅氏が引き継ぎ、初代の味を守り続けているそうです。

ここから先はよくある話、商標制度に疎かった元祖「阿婆鐵蛋」の名前は別の人に先に登録されてしまい、元祖のお店は「海邊鐵蛋」という商標しか取ることが出来ませんでした。その後元祖のお店はメディアや集会などを通して「阿婆鐵蛋」の不買運動を働きかけますが、時既に遅し。既に一定の知名度を得ていた「阿婆鐵蛋」の商標を駆逐することは出来ず、元祖の店は涙を飲みました。

もちろん「阿婆鐵蛋」側もそれなりの言い分があり、よくある商標紛争は現在も続いています。あまり気にせず食べましょう(笑)。

ちなみに英語では Iron egg とそのままの名前です。別名を台湾チョコレートと言われるほど、深い茶色に光沢のある美しい見かけが食欲をそそります。ぜひ挑戦してみましょう。



[材料]
卵 ……… 20個

[調味料]
醤油 ……… 150cc
砂糖 ……… 600g
五香粉 ……… 小さじ1/2

[作り方]
1.卵は水を張った鍋に入れて加熱し固ゆでにする。冷めたら殻を剥いておく。

2.鍋に醤油、砂糖、五香粉を入れてよくかき混ぜて溶かす。砂糖が溶けきらない場合は適量の水を加えて溶かし、作り方1のゆで卵を入れる。極弱火で加熱しながら時々ゆで卵の位置を入れ替え、3時間ほど煮込む。

3.卵を取り出したら扇風機の前で乾かして完成。本格的に造るなら作り方2と3を数回繰り返す。

Point!
一回の行程だけなら普通の煮卵と硬さは変わりませんが、二度三度繰り返すことにより卵の水分が飛んでゆき、最終的にゴムのような食感の非常に硬い『鉄卵』が出来ます。毎日煮込んでは乾燥させる行程を一週間ほど繰り返せば本物のゴムのように硬い『鉄卵』が出来上がります。

普通に食べる分には一回煮込んで乾燥させれば十分です。

煮込むときに汁気がなくなって焦げそうになったら、水を足さず煮込むのを終了してください。

ウズラの卵で作るのがオリジナルで、現在はアヒルやニワトリの卵の『鐵蛋』も多数出回っています。好きな卵で挑戦しましょう。


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