香酥芋雞煲│里芋と鶏肉の客家風肉じゃが
今日は久しぶりに客家料理を紹介します。その名も『香酥芋雞煲│里芋と鶏肉の客家風肉じゃが』といい、ジャガイモの代わりに里芋を、肉に鶏肉を使った肉じゃが風の料理です。この料理、筆者もお気に入りでかなりおいしいです。特別な材料は使わないので、ぜひ食べてみてください。
さて、以前もすこし紹介しましたが、「客家」とは古代中国(周から春秋戦国時代)の王族の末裔といわれており、古代中国文化を受け継いでいるといわれています。当時の戦乱を避けて一族ごと中華支配地域の南部に移住してきた経緯があり、また少数であるためもともとの住民との軋轢を避けるため時の権力者と良好な関係を築こうと努力してきたという歴史があります。
長い戦乱を経てきた中国人にとって、軍人は徴用され死地に向かわせられる存在で、職業として忌み嫌われていたのですが、国共内戦時の共産党支配地域と客家の居住地域が重なっていたこともあり、「時の権力者と良好な関係を築こうとする」客家の人々は進んで共産党員になり、優秀な軍人を多く輩出したといわれています。鄧小平や李登輝、昨年の選挙で敗北しましたが蔡英文も客家の血統です。中華圏の著名な政治家にも客家の人々が多くいます。
台湾にもこの客家の人々が多く住んでおり、特に新竹、苗栗地域では人口の半数以上(60-70%)が客家の人々といわれています。毎年行われる「豚比べ」のお祭りでは世界最大級(時に1tを超える)の豚が見られます。(「神猪」で検索してみてください。)
台北のMRTでは、中国語、台湾語に続いて客家語の車内放送が行われます。聞き取れる人はいないでしょうが、台湾では他の地域と比べて客家の文化が優遇されているようです。
さて、そんな彼ら客家の料理は分布する各地の料理を美味く取り入れ、独自の発展を遂げました。特に醤油やダシを多用した台湾の客家料理は非常に日本人好みで、何を食べるか迷った旅行者はこれを食べておけばまず間違いはありません。筆者も日本からお客さんが来た時には、近所のおいしい客家料理の店に必ず連れて行きます。
初めての台湾料理に客家料理を食べてしまうと、その味の印象が強すぎて、その後に食べる他の台湾料理に失望してしまう可能性もある諸刃の剣なのですが…。ひとまず始めて客家料理を食べた誰もが口をそろえて「何これ!おいしい!」と言ってくれます。客家料理は筆者も大ファンなのです。
当ブログ「日本で作れる台湾料理」 の趣旨にぴったり当てはまる本日の料理『香酥芋雞煲│里芋と鶏肉の客家風肉じゃが』。ぜひお試しください。
難易度:
☆
調理時間:
1時間以内
材料:
鶏肉 ……… 450g
里芋 ……… 250g
ニンニク ……… 10g
ネギ ……… 1本
トウガラシ ……… 1本
(なくてもよい、一味唐辛子で代用も可能)
調味料:
醤油 ……… 大さじ2
砂糖 ……… 小さじ1
酒 ……… 大さじ1
水 ……… 700cc
作り方:
1.鶏肉はよく洗い、ぶつ切りにする。ネギと唐辛子はぶつ切りにする。
2.ニンニクは軽くあぶって皮を剥く。サトイモは皮を剥き、多めの油で表面を軽く揚げておく。サトイモは鶏肉と同じくらいの大きさに切り分けておく。
3.熱した鍋に大さじ1のサラダ油(分量外)をひき、ニンニク、ネギ、唐辛子を炒めて香りを出す。
4.鶏肉と里芋を加えて軽く炒めた後、調味料を全て加え40分ほど煮込んで完成。
Point:
唐辛子を使わない場合は、出来上がりに好みで一味唐辛子を振りかけて食べてください。
材料を先に炒めるのは、煮崩れと肉が硬くなるのを防ぐためです。こちらがオリジナルの作り方ですが、日本で作るなら材料を炒めずに落し蓋をして煮込むことで煮崩れを防げます。肉じゃがと同じですね。
出来上がった後一度冷ましてから再び加熱することで、肉じゃがと同じく中までスープの染みた絶品料理になります。 スープを煮切ればもう最高です。
みりんを加えると…、まさに肉じゃがの味になってしまいます。お好みでどうぞ。
片栗粉をまぶした鶏肉を使って軽くとろみをつけると『香芋滑雞煲』という料理になります。こちらも絶品です。
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