難易度:☆☆☆ 調理時間:1時間以内
湖北省の名菜『蟠龍菜│コイルドドラゴン』のレシピを紹介します。豚ひき肉と魚肉を薄焼き卵で細長く包み、とぐろを巻かせてスープをかけた料理です。料理名はちょっと遊んでます。
「蟠龍」とは天に上る前の地上でとぐろを巻いている竜のことで、この料理の外観を形容しています。湖北省では前途の希望を祈るため若者の宴席などで提供されることの多い料理です。
湖北省は温和な気候に恵まれた土地で、省内には多くの河川が網目のように走っています。中国で最も淡水湖が集中している省で、千湖の省とも呼ばれます。古い地名を荊(荆)と呼び、古来より食材の宝庫として知られています。特に淡水魚の種類、質、料理に関しては中国随一とされ、古来より湖北の地の魚の種類が豊富であることが多くの文献に記載されています。《墨子・公輸》には"荊有雲夢、犀兕麋鹿滿之、江漢之魚鱉黿鼉為天下富"や"荊有長松、文梓、楩、枬、豫章"の文があり、豊富な資源(とそれを元にした優れた文化)があることを伝えています。(原文は隣国を攻めるかどうかについての議論ですが…)
また湖北省にある鄂西山地は世界で最も古くから茶の栽培を始めた場所として知られ、現在に至るまで良質な茶葉の産地として栄えました。この鄂西山地は"緑色宝庫"の異名をもち、このブログでもおなじみ《神農本草経》を書いたとされる神農の本拠地としても知られます。《神農本草経》にある“神農嘗百草、日遇七十二毒、得荼而解之”の一文にある茶とはこの地域産出の茶葉のことです。
この料理はもともと明12代皇帝嘉靖帝である朱厚熜が都に入る前に、料理人が開発した料理が元になっています。朱厚熜は先代皇帝の直系ではないため本来は皇帝にはなれないのですが、自分以外の王位継承者が様々な理由で急逝したため急遽皇帝の座に着くことになったという数奇な運命の人です。道教に篤かった朱厚熜はこの料理の蟠龍の故事にいたく感激し、非常に喜んだといわれています。
味だけでなく形象も大切な料理です。包丁細工を駆使した野菜などを添えて美しく作りましょう。ほどほどに手を抜いて作るなら難易度は☆2つくらいです(笑)。
[材料1]
豚ひき肉 ……… 500g
ショウガ ………5g
ネギ ……… 5g
卵白 ……… 1個分
[材料2]
魚肉 ……… 350g
片栗粉 ………150g
[材料3]
卵 ……… 6個
ラード ……… 大さじ1
チキンスープ ……… 50cc
[調味料1]
塩 ……… 2.5g
片栗粉 ……… 150g
水 ……… 大さじ2
[調味料2]
塩 ……… 少々
片栗粉 ……… 適量
[調味料3]
味の素 ……… 適量
塩 ……… 適量
水溶き片栗粉 ……… 小さじ1
ごま油 ……… 大さじ5
[作り方]
1.ショウガとネギを細かくみじん切りにする。
2.豚ひき肉をボウルに入れ、肉が浸かるほどの水(分量外)を加える。2-3回水を替えながら30分以上浸けておく。水に浸けておいた豚ひき肉を取り出して水気を切ったら、ショウガ、ネギ、卵白、すべての調味料1を加えてよく練り合わせておく。
3.魚肉を細かく千切りにして調味料2を混ぜ合わせておく。余分な片栗粉を取り除いておく。
4.卵3個を割って溶き、フライパンで焼いて2-3枚の薄焼きを作る。残り3個の卵も割って溶き、作りり方2の豚ひき肉と作り方3の魚肉を合わせたものと混ぜ合わせる。この時少量の溶き卵を残しておき、薄焼き卵の片面に塗っておく。
5.作り方4の薄焼き卵に、卵を混ぜた豚ひき肉と魚肉をそれぞれ乗せて太さ3cmほどの細長い形に巻く。これをガーゼなどを敷いた蒸し器に入れ、強火で30分蒸し揚げて火を通す。
6.蒸し器の中身を取り出して厚さ0.3cmのうす切りにし、表面にラードを塗る。薄切りにした材料をとぐろを巻いて耐熱容器に盛り付ける。容器ごと再び蒸し器に入れ、強火で15分ほど蒸す。
7.熱した鍋にチキンスープを入れて沸騰させ、調味料3の塩、味の素を加えて味を調える。水溶き片栗粉でとろみをつけて作り方6の材料の上にかける。最後にごま油を散らして完成。
Point!
豚ひき肉を水に浸けるのは血抜きのためです。数度水を替えて肉が白っぽくなるまで浸けておきましょう。
レシピのように蒸す方法の他、揚げて作る方法もあります。小麦粉を水で溶いた衣を卵でまいた材料に付け、曲げた上体で150度の油に入れて火を通します。
とぐろ状のもののほか、写真のようにグネグネと天に上る途中の竜を真似た形に作ることもあります。
卵の中身は真っ白になるように作るのがコツです。豚肉は血抜きをし、魚はきれいな白身を使いましょう。
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