土芒果、土檨仔│台湾野生マンゴー
明嘉靖年間の1562年にオランダを通じてインドからジャワを経由してもたらされた。台湾では最も古いマンゴー。台湾の気候に適応、土着し、近代に到るまで自然繁殖してきた。
最初は台南六甲地区に植えられた一本の木であったといわれており、これになった実が周囲に広がり、後に栽培されるようになったといわれている。最初期は当地の原住民(平埔族)らによって消費されていた。台湾語で「土檨仔(トーソァィヤー)」と呼ばれ、これはもともとこの植物を指した原住民語が由来となっている。
野生のものは10mを超える株高になり、病虫害にも強く、樹命は100年を超える。その強健性を活かして台湾各地で街路樹としても用いられている。
1954年にアメリカからその他のマンゴーがもたらされるまで台湾ではほとんど唯一の食用マンゴーであり、古くから台湾の民衆に親しまれてきた。幼果は「情人果」と呼び砂糖漬けなどにして古来より料理の甘味、酸味付けとして用いられている。
17世紀に書かれた《台灣府志》第十八巻には"檨種自荷蘭、切片以啖、甘如蔗漿、而清芬遠過之。這種獨特風味我們都不陌生、那就是現在俗稱土檨仔"という記載が見られ、当時から庶民に愛されていたことがうかがえる。1719年には福建巡撫呂猶龍によって皇帝に献上され、その添書には"福建有番樣一種、產於臺灣、每於四月中旬成熟、奴才於四月卄八日購到新鮮者、味甘微覺帶酸、其蜜浸與鹽浸者俱不及本來滋味。切條曬乾者微存原味。奴才親加檢視、裝於小瓶、敬呈御覽"と記載されていた。文中にある「番樣」が現在でいう「情人果」の砂糖漬け、即ち土檨仔を指すといわれている。
「情人果」の砂糖漬けは清代に流行し、大陸部から台湾を訪れた文人らに「蓬萊醬」と呼ばれ、土産物として喜ばれた。光緒年代に台湾を訪れた、福建巡撫王凱泰は"高樹濃蔭盛暑天、出林檨子最新鮮。島人豔說蓬萊醬、誰是蓬萊籍裡仙。"という詩を詠んで土マンゴーの味を称えている。
旬は5-7月。果皮は薄緑で、熟してもほとんど色が変わらない。果肉は繊維質が多くやや硬い。
台湾では最も小さいマンゴーで、果実の重量は120g前後、大きさは長さ約8cm×幅約6cm×厚さ約5cm。近年品種改良が進み、若干大型のものも出回るが、それでも他の品種と比べて小さい。糖度は14.9Brix、酸度0.23%、糖酸比は64程度。美味であるが種が大きく、果皮も厚く、可食部が少ないのが最大の欠点である。
非常に強健で栽培管理をほとんど必要としない。
在来種の栽培面積は約7,000ha。全マンゴー栽培面積の約30%を占めている。
古来から台湾人に愛されてきた品種で一定の需要があり、小規模ながら確実な栽培が続いている。近年在来種とほとんど区別がつかない改良品種が続々開発されており、糖度を高めたもの、流通機関を長くしたもの、香りを高めたものなど様々な試作品が毎年一定数市場で流通している。最も古く最も新しいマンゴーといえよう。
台湾のスーパーでは一個30-50元(約400元/kg)。南部では野生のものもあり、実がなっていればいつでも食べられる。
もともとオランダからもたらされたマンゴーは当時「柴檨仔」と呼ばれた土マンゴーの他に5種類、「香檨仔」、「肉檨仔」、
「牛犀檨仔」、「柿果檨仔」、「花蓮檨仔」があった。これら5種類も現存するが、好事家に趣味で栽培されている程度で、商業栽培はされていない。以下にこれ
らの品種の特徴を簡単に紹介する。
「香檨仔」はオランダからもたらされた6種のうち最も品質に優れ、熟した果実は優れた香りを持つためこの名前で呼ばれる。しかし蠅害を受けやすく、また熟成時にヘタ腐病にかかりやすいという特徴があり、経済栽培に適さない。果実の重量は約270g、糖度12.8Brix、酸度0.12%。毎年極少量が市場に出回るというが、消費者にも人気が高く生産地以外で入手することは至難の業である。
「肉檨仔」は土マンゴーよりも小形の種で、果皮が熱く、種子が大きいので、可食部が少なく栽培価値はほとんどない。病虫害に非常に強いという特徴があるので、交雑や接木の材料として用いられることがある。果実の重量は約100g、糖度18.4Brix、酸度0.85%。
「牛犀檨仔」は果実が大型になる種で、果肉は牛臭い独特の香りがあることからこのように呼ばれる。蠅害を受けやすく果実を樹上で熟成させることができないため、未成熟のまま採取して保管する必要があるという。果肉は傷つきやすく輸送に適さないため現在ではほとんど栽培されることがない。
「柿果檨仔」は「柿果香」とも呼ばれ、特殊な香りがあり品質も非常に優れているため存在を知る消費者には絶大な人気がある。極少量が趣味レベルで栽培されているに過ぎないが、その果実が市場に出回ることはまずない。
土芒果、土檨仔│台湾野生マンゴー
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2015年7月15日水曜日
果皮は薄緑色、熟したかどうかは指で触れて確認する。
写真のものはやや未熟、完全に熟すと果肉はもう少し濃い色になる。
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