難易度:☆☆ 調理時間:30分以内
本日は『空煎明蝦│福建風エビ炒め』という福建料理を紹介します。台湾の『胡椒蝦』の原型ともいえる料理で、非常に香ばしい香りのする料理です。
中華食材として欠かせないエビ、今回はエビ類の中国語と一緒に、食用になるエビの仲間たちの動物学的分類を見てみましょう。表記は「日本語(中国語)」の順で書いていきます。
軟甲綱(軟甲綱)
┣ シャコ目(口足目) シャコ(蝦蛄)など
┣ アミ目(糠虾目) アミ(糠虾)など
┗ ホンエビ上目(真蝦總目)
┣ オキアミ目(磷蝦目) オキアミ(磷蝦)など
┗ 十脚目(十足目)
┣ クルマエビ亜目(枝鰓亞目) クルマエビ(日本對蝦)など
┗ エビ亜目(抱卵亞目)
┣ コエビ下目(真蝦下目) テナガエビ(長臂大蝦)など
┣ イセエビ下目(無螯下目) イセエビ(日本龍蝦)など
┣ ザリガニ下目(螯蝦下目) ザリガニ(淡水龍蝦)、アメリカザリガニ(小龍蝦)など
┣ ヤドカリ下目(異尾下目) ヤドカリ(寄居蟹)、タラバガニ(鱈場蟹)など
┗ カニ下目(短尾下目) ケガニ(大栗蟹)、チュウゴクモズクガニ(上海毛蟹)など
(注:日本語と中国語の種小名の対応は正確でないことがあります。)
ざっと下目まで食用になるエビの仲間の系統樹を書いてみましたが、いかがでしょうか?エビ亜目の下がわれわれが一般に持っている感覚とは少しかけ離れていますね。ザリガニはヤドカリやカニに近くて、クルマエビとはすこし離れています。われわれが一般にエビだと考えているクルマエビとイセエビよりは、ザリガニとイセエビの方が遺伝学的には近いのです。甲羅の形質を良く見ると納得しやすいかも知れません。
ちなみに分類学の「界、門、網、目、科、属、種」などの単語は中国語でもそのまま同じものを使います。日本が近代に入って西洋から翻訳した科学用語は中国、韓国などの漢字圏にほとんどがそのまま逆輸入され定着しており、日本人が漢字圏で専門分野を学習するときの強みの一つです。英語で新しく単語を覚えなおすよりはるかに習得が容易なので、台湾旅行時に時間があれば大学近くの書店で興味のある分野の専門書を眺めてみるのもいいかもしれません。
まぁ専門ではないので動物の分類の話はこのくらいにしておきましょう。
エビは当ブログでおなじみ《本草綱目》 にも「蝦」や「海蝦」として記載があります。『可以鮮蝦作羹食之。』、『用連殼蝦半斤、入蔥、薑、醬煮汁。先吃蝦、後吃汁』、『同豬肉食、令人多唾。』などの記載があるので、古くから様々に調理されて食用にされていたことが分かります。文字だけ見てもおいしそうですね。
というわけで、本日はエビ(クルマエビ亜目がベスト!)を使った福建料理です。台湾料理に繋がる歴史ある絶品エビ料理、ぜひ日本でもお楽しみください。
[材料]
エビ ……… 10匹(約300g)
ネギ ……… 1本
ショウガ ……… 10g
ニンニク ……… 2個
中華スープ ……… 50cc
香菜 ……… 少々
[調味料]
醤油 ……… 大さじ2(適宜増減)
砂糖 ……… 小さじ1
料理酒 ……… 大さじ1
ポン酢 ……… 適量
水溶き片栗粉 ……… 大さじ1
[作り方]
1.エビは良く洗い、背中に包丁を入れて背ワタを取り除く。はさみなどで脚、眼から先の頭、尻尾の先の部分を切り落としておく。
2.ネギ、ショウガ、ニンニクはみじん切りにする。
3.強火で熱した鍋に揚げ物油を入れ(→Point参照)180度ほどに熱したら、エビを全て入れる(→Point参照)。2-3回ざっくりとかき混ぜたら余分な油を取り除く(→Point参照)。
4.中火に変えてエビに火を通したら、ネギ、ショウガ、ニンニク、中華スープと醤油、砂糖、料理酒、ポン酢を加えて1-2分炒める。最後に水溶き片栗粉でとろみをつけて器に盛り付け、香草を散らしたら完成。
Point!
揚げる時は1リットルほどの油を使います。エビの表面の水分を飛ばしたらすぐに回収するので、調理前に回収用の容器を準備しておきましょう。揚げ終わったら、エビの表面に残った油のみで調理します。鍋の底にほんの少しだけ油を残すようにするといいでしょう。
調味料の配合は好みで変えてください。中華スープに塩味がついている場合は、醤油の量を減らす必要があります。調味料の配合は好みで調節してください。
胡椒を足せばそのまま『胡椒蝦』になります。
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