佛跳牆│仏跳牆

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難易度: 調理時間:2時間
日付が変わってしまいましたが、31日分のレシピです。年越し料理にふさわしいものということで日本の家庭でも比較的手軽に作れる『佛跳牆│仏跳牆』のレシピを紹介します。過去にも同名料理を紹介していますので、そちらも参考にしてください。

さて、台湾では陳水扁総統時代に世界標準(?)にあわせて1月1日も盛大にお祭りを行うことになりました。もともと旧正月しかお祝いしていなかった台湾人は、なぜ新暦で正月を祝うのかなかなか理解してもらえなかったそうですが、結局新し物好きの若者らに支持されいまでは全国でコンサートや花火の打ち上げが行われる盛大なイベントになりました。台北101の花火ショーは世界的にも有名です。

ちなみに台湾では1月1日の新年を「跨年」、正月本番(旧正月)を「過年」と呼び分けます。慣れるまでややこしいですが、台湾で長期滞在される方はこういった習慣も覚えておきましょう。

それでは絶品乾物スープ『佛跳牆│仏跳牆』。簡易といえばかなり簡易ですが、なかなかおいしいものが出来ますので、ぜひ日本でも挑戦してみてください。



翡翠白玉湯│ほうれん草と豆腐の中華スープ

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
ごく普通の家庭料理『翡翠白玉湯│ほうれん草と豆腐の中華スープ』のレシピを紹介します。翡翠はホウレンソウを、白玉は豆腐を表しており、普通の家庭料理として食べられる栄養価値の高い料理です。

今回の料理で使うホウレンソウは中国語での正名を菠菜、別名を菠菱、鸚鵡菜、红根菜、飛龍菜などといいます。インドネシア語では Horenso といい、こちらは日本語がそのまま伝わったものです。学名は Spinacia oleracea といいます。

ちょっと歴史を遡ります。ホウレンソウは7世紀頃ネパール経由で、中国南部にもたらされました。当時のネパール一帯の国名を Palinga といい、この音を野菜に当てて「菠薐菜」と呼ぶようになりました。現在の中国語名や日本語のホウレンソウとはこの「菠薐菜(草)」が訛ったものです。また当時の中国広東省方言で「菠薐」と「飛龍」の発音が似ていたため、「飛龍菜」とも呼ばれるようになりました。カンボジアから伝わったカボチャみたいなことが、古代中国でもあったのですね。

ヒユ科といえば、いくつかの薬用植物があります。代表的なのは「牛膝」です。薬学生や薬剤師の皆様はしっかり覚えておきましょう。他にも観賞植物の鶏頭(ケイトウ)もヒユ科の植物です。こちらは東南アジアで葉を食用にしたりもします。他にも一部地域で種子を穀物にしたりと食用にされる機会がわりと多い植物の一群です。

ホウレンソウは豊富なビタミンAと鉄分、そして葉酸を豊富に含み、ご存知鉄分補給の代名詞のように食べられる野菜です。鉄分の含量自体は実は全野菜中最高というほど高くはないのですが、同時に含まれる葉酸が鉄分の吸収を促進してくれるおかげで、鉄分だけ多い野菜を摂るより効率的に鉄分を摂取することができます。

そのまま作ってもおいしいですが、鶏肉や魚肉を加えてもおいしくなります。ぜひお試しください。



圓滿新春映福田│創作新春客家風野菜炒め

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難易度: 調理時間:30分以内
2013年に行われた客家料理の大会「客家溫馨團圓年菜比賽」では、プロ部門、アマチュア部門、学生部門の三つにクラス分けされました。今回は学生部門の準優勝作品から『圓滿新春映福田│創作新春客家風野菜炒め』と名付けられた料理を紹介します。客家の倹約精神を主題にした料理だそうで、「余った(客家料理の)食材で作る」創作料理です。

筆者としては「ひき肉」を入れて少量の醤油などで風味をつけたい所…、まぁ倹約精神を表しているので高価な肉類は使わないということでしょう。

今回は客家の年中行事と飲食の関係について紹介します。漢民族の習慣と違って米で作った「粄」が多用されるのも面白い部分です。他にも細かな違いがたくさんありますね。

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四.客家民俗の歳時節慶飲食状況

一.春節新年
新年は農暦の十二月二十五日のいわゆる「入年掛」から準備を始め、清掃、『發粄』、『甜粄』、各種料理の製作を行う。元旦の朝は野菜だけを食べ、胃腸をきれいにする。

二.清明節
先祖の墓を清掃し、豚肉、羊肉、鶏肉、酒、『饌果』、『餅菜』、『發粄』、『艾草粄』などを供える。

三.端午節
(一) 菖蒲、艾葉、葛藤を家の門にかけて病魔を避ける願掛けとする。
(二) 『粽子』を巻く。

四.伯公生日(土地公の誕生日)
農暦六月六日に土地公廟に豚肉と魚を供える。

五.中元節
祖廟に豚肉を備え、三十親等以内の親族が廟に入り祭祀を執り行う。廟の外には大きなテーブルを準備し、そこでも先祖の供養を行う。盂蘭節とも言う。

六.中秋節
月餅』と柚子を食べる。

七.重陽節
菊花酒を飲む。

八.冬至
家畜を締め、『臘腸』、『豬肝』、『膽肝』、『臘鴨』などを作る。

九.祭灶神
三牲を捧げ灶神を祀る。砂糖を灶君の神像に塗る。「上天言好事,下界降吉祥;上天奏好事,下地保平安。」という対連を門の両側に貼る。

十.除夕
豆腐、『發粄』などを作り、鴨、鶏を絞めて廟に供える。家族で火を囲み食事を取る。

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擂茶│客家擂茶

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
客家料理シリーズでいくつかメッセージをいただいたので、お答えする形で『擂茶│客家擂茶』のレシピを紹介します。作るのは非常に簡単です。

『擂茶』は別名を『三生湯』、『五味茶』、『鹹茶』ともいい、中国大陸東南部いったいに分布する特殊なお茶を指します。伝統的には茶葉、ゴマ、ピーナッツなどの原料をすり鉢ですり、水を加えて飲みます。「擂」とはは「擂り下ろす」の意味です。台湾だと客家の伝統茶というイメージが強いですが、別に客家にだけ伝わるものというわけではなく、各地に様々な『擂茶』が存在します。

そのなかでも大きく分けて『客家擂茶』と『湖南擂茶』のに大グループがあり、台湾で飲まれるのは圧倒的に『客家擂茶』の割合が多いです。

由来にはいくつか説があるのですが、まとめて紹介しましょう。

ひとつは三国志の時代の話。蜀の将軍張飛が軍を率いて武陵の攻撃に向った時に疫病で進軍が不可能になりました。同行していた軍医が先祖代々伝わる秘方―即ち生茶、生姜、米を摩り下ろして糊状にし、お湯で溶いて服用する―を伝えたところ、軍は疫病を克服し再び進軍を始めた、という故事に由来するといいます。この秘方の名前を『三生湯』といい、各地に広まった後、客家にも伝わるというものです。この生姜と米を使った擂茶の作り方は湖南擂茶の作法に近いです。

二つ目は東漢の建国時の話。五渓で起きた反乱を鎮圧するため、兵を派遣しましたが熱い天気のため、兵も指揮官も病に倒れてしまいました。この時に軍を救ったのが、その土地の農民に伝わる『五味湯』という擂茶の処方。これにより息を吹き返した軍は反乱を鎮め、この時の治療薬が『擂茶』として各地に伝わったとされるもの。(中医の処方に五味子を使った同名の「五味湯」というものがありますが、こちらとは関係ありません。)

最後はもう少し現実的に、北宋の時代。現在の河南省一帯に起原を発するという説。南宋の時代の詩に「漸近中原語音好、見客擂蔴旋點茶」などの句がいくつか登場することから推察されています。

客家擂茶は客家文化の重要な要素の一つとされます。実は台湾の客家の若者らはほとんど『擂茶』を飲まない、もしくはまったく飲んだことがないそうですが、ご先祖様はさぞかし嘆いておられることでしょう(笑)。客家擂茶の伝統が残る地域は江西省贛縣、石城、興國、於都、瑞金など、福建省將樂、泰寧、寧化など、廣東省揭西、陸河、清遠、英德、海豐、汕尾、惠來、五華など、廣西省賀州黃姚、公會、八步などで、普通はこれに台湾を加えます。各地のレシピとその差異、民族の移動や家系図などを比べることで何処からいつごろ伝わったのかが分かるというのは面白い話です。各地でどのようなときに『擂茶』を飲むのかも少しずつ異なっており、擂茶研究は客家文化の研究の中心として、現在でも様々な方面から研究が進められています。台湾では交通大学の客家文化研究が有名です。

すり鉢を使わず、ミキサーで一気に粉砕してしまえば一瞬で作れてしまいます。本来『擂茶』は季節、目的、一緒に飲む相手、そして地域によって作り方がまったく異なります。決まった作り方というものはありません。皆さんもオリジナルの『擂茶』作りにチャレンジしてみてください。


客家本色齒留香│極上客家小炒

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難易度: 調理時間:30分以内+下準備
またまた2010年客家筵席料理比賽のアマチュア部門優勝作品から一品、『客家本色齒留香│極上客家小炒』のレシピを紹介します。いわゆる『客家小炒』のアレンジ作品で、少量の豆板醤を加えているのがポイントです。

あらゆる客家料理レストランでは、この料理の味を見れば他の料理の腕前も分かるといわれる「基本中の基本」の客家料理です。かくいう筆者も新しい客家料理のレストランを見つけたら、必ず注文します。基本でありながら奥義でもある、武術ような料理です。

台湾には「逢山必有客」という格言があります。「山に逢えば必ず客有り」と読み下し、この場合の客とは客家の人々のことです。古くは客家の人々は自分で栽培加工した食材と山間部で取れる山の幸以外の食材を手にすることができませんでした。山中に仕事に出かければ数日家に戻れないこともあり、その場合は自分たちで加工し持ち出した乾燥食材を様々に調理して食べるしかなかったのです。限られた食材を日持ちするように加工し、限定した条件で調理するという多くの縛りがある中で、客家の人々は創意工夫し数々のおいしい客家料理を編み出しました。こういった料理にかける中華民族の情熱は他民族の追従を許さない部分があります。


昨日の続きで客家料理を代表する食材の紹介を。

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四.柿餅
新竹北埔客家の特産品で、新鮮な柿を圧縮加工して天日干しにした扁平な干し柿である。独特の風味があり、軽微な風邪、鼻炎、また下痢止めなどにも使う。表面に現れる白色の結晶を柿霜といい、豊富なビタミンA、C、及びブドウ糖、果糖を含む。これも咳止め、潤肺の薬として用いる。

五.桔餅、桔醬
新竹北埔客家の名産品で、マンダリンオレンジを主要な原料とする。咳止め、下気、痰きり、解酒、飲み過ぎ、食欲増進、消化不良の薬としても用いる。調理に防腐剤を使用しないなどの特徴があり、天然食品としても人気がある。当地ではさまざまな食材のソースとして用いる。販売量は毎年少なくなっている。

六.客家茶
(一) 椪風茶
新竹北埔與峨眉一帯を主要な産地とする。天然山川の豊富な清水で育った茶葉は特殊な品質であるとされる。椪風茶とは毎年農暦「芒種」の前後一週間、ウンカ(稲の害虫)が茶の若芽を啄ばんだ後に出てくる若い茶葉を摘葉して製造する高級白毫烏龍茶を指す。いわゆる「東方美人」の名で呼ばれ、市場で絶大な人気がある。椪風とは膨風、すなわち客家語で「吹牛」の意味である。各地域に居住する客家ごとに呼び名が異なり、多くの別名がある。膨風茶、椪風茶、福壽茶、番庄烏龍、冰風茶、煙風茶、蜒仔茶などである。


(二) 客家擂茶
客家に伝わる特殊な茶の方式で、三国志時代の張飛が疫病を避けるために兵に飲ませた秘方が由来になっているという。客家語で「擂」とは「すりこ木ですりおろす」の意味であり、茶葉をその他の材料と共にすり鉢ですりおろし、それにお湯を加えて飲む。主要な材料は茶葉、玄米、ピーナッツ、トウモロコシ、コリアンダー、香料、塩などである。


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それでは大会で優勝した特別な客家小炒『客家本色齒留香│極上客家小炒』を日本でも楽しんでください。

醬醃檸檬甕中鵝│レモンの塩漬けと干し野菜とガチョウのスープ

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難易度:☆ 調理時間:1時間以内
2010年の客家筵席料理比賽、プロ部門第三位に入賞したコース料理の中から『醬醃檸檬甕中鵝│レモンの塩漬けと干し野菜とガチョウのスープ』のレシピを紹介します。干し野菜とガチョウ肉の旨味を凝縮したすばらしいスープ料理です。

客家料理の醍醐味は、乾燥食材を水で戻して作る旨味たっぷりのスープ料理。鶏肉とレモンの組み合わせは世界中の料理で見ることができますが、塩漬けレモンを使った今回の『醬醃檸檬甕中鵝』は客家料理らしさを全面に押し出したものと言えます。

食材さえ揃ってしまえばあとは煮込むだけで作れます。調理が簡単なのもうれしいところです。塩漬けのレモンやカラシナの塩漬けは自分で作っておきましょう。他の漬物などで代用してもいいと思います。

以下に客家を代表する食材とについて簡単に説明しておきます。

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三.台湾福建地区の主要客家料理(上)

一.粄條
 (一) インディカ米を原料とする。水に浸けたあと米漿を作り、少量の片栗粉を加えて粥状にしてから平底の容器に流し込み、蒸し器で火を通してから一枚のタオル状の粄條を作る。強い弾力があり様々な料理に用いられる。台湾南部の客家は面帕粄と呼ぶ。

(二) 近代に入り粄條は茹でてから他の食材とあわせて食べるという、旧来にはない特殊な食べ方をされるようになった。好みの細さに切り分けた粄條をニラやモヤシなどとあわせて茹で、器に盛りつける。香料や肉料、肉片、豚骨スープなどを加えて一品の料理として提供する。またスープで煮込んだり、炒めたりする調理法もある。

(三) 新年は一年で粄條が最も製作される時期である。『甜粄』、『鹹粄』、『發粄』、『菜頭粄』、『假柿子』などがある。また慶事には『紅粄(龜印)』という、發粄に酵母を加えて発酵させ、再び蒸したものを食べる。元宵節は『菜包(豬籠粄)』、清明節は『發粄』、『蟻粄(艾草粄)』、端午と中元節は『粽子』、中秋節は『平安戲』、冬至は『粄圓』を食べる習慣がある。他にも『芋粄』、『南瓜粄』、『米篩目』、『九層粄』、『水粄(碗粿)』など季節ごとに異なる食材を使った米料理が多数ある。客家では『紅粄』を最も尊重し、富喜、吉祥の象徴として大切な祝祭の捧げ物に用い、供えたものを友人らに配るという習慣もある。

(四) 各種粄料理にはそれぞれ様々な加工法や調理法があるが、最も大切なことはその調理技法や味ではない。客家にとって米食の最大の目的は「満腹になること」であり、また長期間の保存が出来ることである。「不吃巧而吃飽」という格言があるが、客家伝統料理の中で最も重要な精神として語り継がれている。


二.米齊粑
もち米とアワを蒸して作ったもち米料理である。石臼と杵でついて作り、ゴマ、ピーナッツ、小豆などを餡として入れる。また直接ゴマソース、ピーナッツ粉などをまぶして食べたりもする。干しダイコンや肉を使った塩気の利いたものを餡として使う場合もある。手軽に作れて食べるのも簡単なので、客家の住む様々な地域の冠婚葬祭あるいは農業作業中は必ずこれを食べるという伝統がある。近年は政見発表会やコンサート、コンテストなど多くの人が集まる場所でも無料で提供され、参加者に食べさせる。現在の米齊粑はもち米漿の水分を絞ってから、蒸し器で蒸し、更にそれを杵でつくことで作る。しかし伝統的な製法で作ったものとは弾力や味が異なる。

三.醃酸菜
客家を特徴付ける伝統食品の一つである。冬にカラシナを塩漬けにし、観想させて作る。完成品を煮出したものはわずかな苦味と豊富な栄養素を含み、体内の毒素を除き、血を清める作用があるとされる。春節の期間は『長年菜』を食べるとされ、長寿や長期間の発展を祈る。作り方はまずカラシナを天日で1‐2日乾燥させてからコンクリ、または木の容器の中で塩とカラシナを交互に積み重ね、上から石で圧迫する。数日後容器の中には水分が滲み出し、緑色だったカラシナは黄色く色を買える。この状態で半完成であり、容器に入ったまま販売することもある。この状態でカラシナ本来の栄養素は98%以上保存されており、浸けているときに乳酸菌によって産出された乳酸が、他の細菌の繁殖を妨害するため長期間の保管が可能である。酸菜は通常肉類と一緒に調理され、脂っこさを除くために使われる。酸菜は豊富な食物繊維を含み、コレステロール、中性脂肪を低下させ、血流を促進し、動脈硬化を予防し、食欲を増進させる作用がある。また酸菜はスープにも多用され、例えば『酸菜肚片湯』、『酸菜鴨』、『酸菜五花肉湯』などの料理がある。またこれらは年越しに欠かせない伝統料理でもある。

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それでは、極上の客家スープをお楽しみ下さい。

樹子荔梨燉金雞│樹子とライチの鶏肉スープ

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難易度: 調理時間:2時間
2010年「客家筵席料理比賽」で見事優勝に輝いた『樹子荔梨燉金雞│樹子とライチの鶏肉スープ』のレシピを紹介します。

台湾で始めて本格的に開催された2010年の客家料理大会、初回のテーマは「宴席料理」でした。宴席料理、つまりコース料理がテーマということで参加のハードルは極めて高かったと思います。プロ部門の優勝作品は『紅糟穀糧布袋雞』、『金桔烈火芋封鴨』、『福菜蔭脯網金尊』、『石磨豆腐思鄉情』、『福氣脆筍汶封肉』、『樹子荔梨燉金雞』、『白菜鮮藏豇豆湯』、『桔餅鹹欖膨風茶』、『香煎彩虹客肉粄』、『農家黃金客水粄』、『食客新風六小福』と11品を提出した「新天地餐飲集團」でした。プロ部門があるということは、もちろんアマチュア部門の作品もあります。いきなり第一回大会か恐ろしくハイレベルな作品が目白押しです。ちょっと写真でも見てみてみましょう。

台湾客家料理の裾野って…、思った以上に広いようです。

いきなりコース料理のすべてを紹介するのも不可能なので、今回はその中の一品『樹子荔梨燉金鶏』のレシピを紹介したいと思います。

台湾の中華コース料理では必ず「鶏肉のスープ」が出されますが、これは「気力を補ってパーティーを盛り上げていこうぜ」の意味が込められています。たくさん食べて体力を回復させてください。

さて前回に続いて今回も客家料理を分析した文章を掲載します。前回の文章も高雄餐旅大學 臺灣飲食文化產業研究所 潘江東教授の台湾客家委員会への寄稿を元にしています(一部筆者が追記・改変しています)。ソースはこちら

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一.客家料理の特色

(一) インディカ米、 サツマイモなどの雑糧を主食とする。台湾では日本統治時代に日本人の持ち込んだジャポニカ米を主に使うようになった。また豚、羊、鶏、鴨、魚肉を蛋白源とし、その他の海鮮類はほとんど食べない。味付けは塩、肥、油、香を四大特色とする。
(二) 天日干し、塩漬け、塩水浸けなどの加工食品が多く、一般的に用いられ、これらの風味が客家料理の重要な特色となる。例えば閩西八大乾と呼ばれる『武平豬膽乾』、『連城地瓜乾』、『永定菜乾』、『上杭蘿蔔乾』、『長汀豆腐乾』、『清流筍乾』、『寧化老鼠乾』、『明溪肉脯乾』、台灣客家の『梅乾菜』、『鹹菜』、『高麗菜乾』、に『醃冬瓜』、『醃破布子』、『醃菜頭』、『醃結頭菜』、『鳳梨豆醬』、『豆腐乳』などを特色とする。
(三) 調理法では蒸す、煮る、及び揚げる、焼く、油通しするなどの技法を多く用いる。脂っこい味付けは過酷な労働の熱量源とするためであり、食糧不足時代の簡素な食材の喉越しを滑らかにするという役割もあった。また包丁技法は荒く、菜色も朴実無華を特色とする。
 (四) 風味では、福建客家料理は香りを重視し、素材の持ち味を生かすことに注力する。しかし各地でその味付けには大きな違いがある。台湾客家料理は塩気を利かせる。これは労働による発汗で失われた塩分を補充するためであり、容易に満腹感を得るためでもある。
(五) 食材を乾燥させる技法に長けており、乾燥食材を使った料理は非常に多彩である。例えば『梅乾菜扣肉』、『酸菜肚片湯』、『冬瓜封』、『苦瓜封』、『高麗菜封』、『客家小炒』、『薑絲炒大腸』、『菜乾燉排骨』、『四季豆乾肉絲湯』などがある。。
(六) 油を多用し、また食肉は脂身部分をよく使う。

二. 客家料理形成の原因
(一) 自然地理条件が主要な食材を決定するが、客家の居住する山間部では生産できる米の量に限りがあるので、主食は雑糧を主とする。例えばサツマイモ、タロイモ、ワラビ根、ヤマイモ、ヤムイモなどを主とし、紫芋、カボチャ、タロイモ、ダイズなどの甘味のある食材はデザートにも用いる。またダイズを加工した豆腐も用いる。
(二) 客家の各居住地の生活条件は比較的過酷で、これらも客家料理を特徴づける要因となった。例えば多くの客家が山間部に居住し毎日山を越えて移動しなければならず、過酷な労働条件と、不便な交通条件は乾燥食材、漬物、干し肉などの加工料理の発達を促した。
(三) 福建・広東・湖南、また各地の土着民族の飲食文化の影響を受けた。例えば食犬、鼠、蛇など古代百越属の風習も取り入れられ、また広東料理の特色である子豚の丸焼きなども取り入れられている。

三.客家飲食文化の基本的特徴

(一) 礼節時の礼儀規範を極めて重視する
 1.「酒席三請」 の習慣があり、席順は極めて慎重に考慮される。
 2.宴席では敬酒、倒酒、行酒など、それぞれ専門のスタッフを配置して行う。

(二) 吉凶の縁起を極めて重視する
 1.火の神(窯の神)を重要視し、香、蝋燭、三牲(雞肉、豬肉、魚)を女性の年長者が拝む習慣がある。
 2.年越しの蒸しパンは歩歩高昇、年賀にミカンを食べるのは吉祥の表れなど様々な願掛けがある。また新年にセリ、ニンニクを最初に食べるのは一年の景気づけ、また『肉圓(有緣)』、『柚子(有子)』など客家語の言葉遊びも多用する。
 3.飲食にまつわる禁忌、願掛けが多い。箸をご飯に突き立てる-齋飯と呼ばれ、不吉の象徴とされる。油瓶を割る、脚を窯に向けて食事をする、妊婦がスッポンを食べるなどの行為は禁忌とされる。また出産時の日付が旧暦の3、13、23日にあたる場合は、母親が卵及びサトイモ(の一種)を知人に送らなければならないとされる。これは客家語で「三」と「生」の発音が似ているためとされる。

(三) 集団での食事、宴会を好む
家族だけでなく、隣同士、友人同士での食事の機会が多い。また酒、粽、茶などを共同で大量に購入することもたびたび行われる。

(四) 調理の原則を重視する
 食材の持ち味を生かすことと食材の組み合わせを重視し、いわゆる薬性(温熱涼寒)の組み合わせなども考慮する。例えば福建客家料理の『鴨子燉蓮子』は食材のすべてが涼性を持つ。夏至には犬肉、当時には羊肉を食べる。酷暑には『仙草凍』、『擂茶』で体を冷やし、産婦には『糖薑雞』、『糖薑酒』を食べせるなどである。これらの例外から外れることを非常に嫌がる傾向がある。

(五) 倹約と階級意識
平時には倹約に努め、祭時は大いに浪費する。各地で倹約に励む客家の人々も、祭時はうって変わってとても賑やかである。また平民と金持ちの間には階級意識が存在し、食生活には無意識の差別化が働く傾向がある。

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ハイレベルな客家創作料理を存分に味わってください。日本で作れるかどうかはあまり気にせず紹介していますが、この料理なら“比較的”容易にアレンジと再現が可能かと思います。まずは手に入る材料だけで挑戦してみましょう。



客家豬腳便當│客家豚足弁当

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難易度: 調理時間:2時間
本格創作客家料理を紹介しましょう。2012年台湾客家委員会が主催した客家飯篼比賽(客家弁当大会)のプロ部門優勝料理『客家豬腳便當│客家豚足弁当』のレシピを紹介します。客家料理の魅力溢れる弁当に仕上がっています。

毎年異なるテーマを元に開催される客家料理の大会ですが、2012年は弁当を主題とした大会でした。ちなみに今年で5回目を迎える客家料理の大会ですが、2010年は宴席料理、2011年は建国100周年記念弁当料理、2013年は年越し料理、2014年は美食料理がテーマでした。2014年の優勝料理『相思涼客爽│客家冷菜五種盛り』はレシピを公開しているので参考にしてください。客家料理も奥が深いですね。

2012年は優勝がこの『客家豬腳便當』、準優勝は『擂茶飯篼』、三位が『養生紅槽肉飯篼』、佳作が『大嬸婆客家風味飯篼』と『諸事如意飯篼』の二作品となっています。どれもおいしそうな名前ですね。

客家の歴史を知れば客家料理への理解もそれだけ深まるというものです。客家委員会が語る客家の説明を翻訳してみますので、少々お付き合いください。

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客家の集団が移動を開始したのは西暦4世紀、今から1600年ほど前の東晋の時代に迫害を受けもともと住んでいた地から離れて流浪の生活を始めた。更に古くは始皇帝が現在の湖南福建地域に派遣した屠睢が率いた50万人の兵の中に客家人の祖先がいたとされる。その後唐の時代、唐の王侯貴族らは黄巣の乱を避けて現在の福建・広東地域に逃げ延び、この時唐の王族らは当時百越と呼ばれていた地域を征服、またはその土地の者らと融合した。遠くの地から来た客、そして福建・広東・湖南・台湾地域を家とする集団、これより彼らは客家と呼ばれるようになる。台湾の客家の歴史は古代に遡るほど古くはないが、鄭成功と共に台湾に渡ってきた。

現在の台湾客家の分布状況
一.北部
広東海豐、陸豐、興寧、梅縣、蕉嶺、饒平などを祖籍に持つ人らが多く、現在の桃園、新竹、苗栗の三県に分布。
1.桃園縣:龍潭、平鎮、楊梅、埔心、觀音、新屋、八德、中壢市など。
2.新竹縣:五峰鄉のほか、全域に居住。主に海豐、陸豐の客家語方言を話す。
3.苗栗縣:苗栗市、頭份、卓蘭、公館、大湖、銅鑼、三義、頭屋、南庄、西湖、造橋、三灣、獅潭、泰安の山手に居住します。四縣方言を話す居住者が多い。

二.中部
廣東饒平、大埔などの出身者が多く、現在の台中市、台中縣、南投、彰化、雲林縣などに分布。
1.台中市南屯及び台中縣豐原市、清水、神岡、潭子、石岡、新社、東など。
2.南投縣:國姓、信義、水里鄉。
3.彰化縣:埤頭、員林、和美、田尾、永靖。饒平訛りの客家語を話す。
4.雲林縣:西螺、二崙、崙背、麥寮などに居住。詔安方言の客家語を話す。

三.南部
大部分は廣東省梅縣、大埔、蕉嶺などの出身、高雄縣、屏東縣、いわゆる六堆地域に分布。
1.中堆:竹田鄉。
2.前堆:長治鄉、麟洛鄉。
3.後堆:内埔鄉。
4.左堆:新埤鄉、佳冬鄉。
5.右堆:高樹鄉、美濃鎮。
6.先峰堆:萬巒鄉。

四.東部
宜蘭縣、花蓮縣、台東縣に分布。

1.宜蘭縣:員山鄉、三星鄉。
2.台東縣:池上鄉、鹿野鄉、關山鄉。
3.花蓮縣:鳳林鄉、瑞穗鄉、吉安鄉、玉里鎮、壽豐鄉、光復鄉、富里鄉など。

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しばらく客家料理大会の入賞メニューが続きます!お楽しみに。



雞粒豆腐│鶏肉と豆腐煮込み

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
本日はお手軽中華おかず『雞粒豆腐│鶏肉と豆腐煮込み』のレシピを紹介します。鶏肉と豆腐をシイタケベースのソースであんかけにしたおかず料理です。もともとは広東料理だそうですが、中国各地で家庭料理として広く食べられます。

台湾で「雞」のつく地名といえば…、まず連想されるのが基隆│Keelung。台湾初心者には「??」かもしれませんが、基隆は古くは「雞籠」と呼ばれていました。というわけで基隆の歴史をざっと振り返ってみましょう。

古代基隆の地は台湾原住民ケタガラン族(凱達格蘭族)の一支族バサイ族(巴賽族)が支配していました。前史時代は国家的集落の運用もされていたようで、古代日本人や漢人と交易なども行っていたそうです。

明朝末から清代にかけて多くの漢族が移入してきてからケタガラン族はすぐに漢人と同化し、清朝末期には漢人とほぼ変わらない生活を行っていました。日本統治が始まったころにはすでにケタガラン族独自の文化というものはほとんどなくなっていたそうです。現在のインドネシア語などの祖語に当たる独自の言語を持っていたそうですが、文字を持たなかったためそのほとんどは文化と共に失われてしまいました。現在の台北市周辺にもケタガラン属の支族が多数居住していたため、一部の地名はケタガラン族語に由来します。例えば龍山寺のある「艋舺」地域や「北投」はケタガラン族語に由来します。

このケタガラン族語では現在の基隆地域を「ケーラン」 のように呼んでいました。17世紀に入ってから1626年にスペイン人が、1642年にオランダ人が、1668年に鄭成功が、その後1683年に清朝が基隆一帯の支配者になりめまぐるしく領有者が変わります。スペイン人支配が始まった当時、すでに福建省からの移民らが多数居住しており、この漢人らがケーランに「雞籠」という漢字を当てます。清朝時代を通してしばらくは基隆は平和に発展を続けます。

清末の1875年、清政府はここに台北分防通判を置き、ケーランと近い音でさらに「基地昇隆」の意味を込めて、鶏籠から基隆(キールン)に地名を変えます。この後、基隆の歴史は第一次世界大戦終結まで怒涛のように流れていきます。

1884年にフランス軍が基隆に上陸し、基隆市外を占領。これに対して劉銘傳率いる清軍が出撃し清仏戦争が起こります。最終的にフランス軍が上陸を諦めて退却し、これを機に台湾は福建省から独立して台湾省に昇格することになります。劉銘傳は台湾巡撫(最高位の地方統治官)に就任し、数多くのインフラ・産業の整備に取り掛かりますが、台湾経済をまったく考慮せずに行われたため台湾は財政難に陥ります。この時、現在基隆の各地に残る砲台跡地や台北から基隆に抜ける鉄道トンネルなどが作られました。

そして1895年に日本が台湾を接収。基隆港は推進の浅い比較的簡素な港でしたが、日本政府が出資をして改修工事が行われ台湾産の樟脳や米を日本に輸出するための一大港湾都市に変貌を遂げます。第二次世界大戦終了後もコンテナ取扱量が世界トップ10に何度もランクインしたりと貿易都市として発達してきました。近年はコンテナ取扱量も下降気味でかつての港湾都市の賑わいはありませんが、台北に近い立地を生かした観光文化都市化を進めています。ケーランから雞籠、そして基隆へ。基隆市は清末から近代までの列強の歴史が詰まった魅力的な都市ですので、台北観光のついでにぜひ足を伸ばしてみましょう。当ブログの基隆観光情報も参考にしてください。


紅燒牛肉麵│台湾風醤油牛肉ラーメン

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難易度: 調理時間:3時間
本場とまったく同じにとは行きませんが、日本でも簡単に手に入る材料ばかりで簡易版の『紅燒牛肉麵│台湾風醤油牛肉ラーメン』を作ってみましょう。簡易版とはいえ、台湾のものと少し風味が違うだけでこれだけで一品料理として完結するおいしさです。

紅焼牛肉麺の起原は一説によると、戦後国民党軍として台湾に渡り高雄岡山空軍眷村(退役軍人村)に住んでいた四川省出身の老兵が、成都の『小碗紅湯牛肉』を改良して作ったとされています。確かに今回紹介する『紅燒牛肉麵』のように花椒とトウガラシを少量使った醤油ベースの技法は四川料理を彷彿とさせます。もちろん辛くないものも多数あるのですが、台湾人の好みに合わせて進化してきたということでしょう。

台湾の牛肉麺を現在でも進化を続けています。今後台湾を訪れる観光客の好みに合わせ味付けも作り方もどんどん改良されていくでしょう。数年後には「前に食べた牛肉麺よりおいしい!」という声が聞けるかもしれません。もちろん日本人の手によって新しい牛肉麺が生まれてもまったくかまいません。和風ラーメンの技法や和食の技術で新しい牛肉麺に挑戦してみませんか?




薑絲大腸│台湾風ショウガモツ炒め

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難易度:☆ 調理時間:1時間以内
台湾熱炒の定番メニュー『薑絲大腸│台湾風ショウガモツ炒め』のレシピを紹介します。豚モツを大量のショウガと酢で味付けした料理で、むせ返るほどのショウガと酢の香りが特徴の客家料理です。

この『薑絲大腸』は台湾客家料理を代表する名物料理の一つとされます。日本統治時代当時の台湾ではまだ豚の内臓を食べる習慣がなく、豚肉を解体した後に残る内臓の処理にどの解体業者も頭を悩ませていました。倹約を旨とする客家の人々はこれをもったいないと思い、何とか伝統料理に組み込めないかと思案した結果、この『薑絲大腸』が生まれたと言います。

この『薑絲大腸』は日本統治時代に台湾客家が生み出した台湾発の台湾料理だったのです。他にも日本統治時代の台湾で生まれたとされる料理は数多くあります。当ブログでも数多く紹介していますので、「日本統治」などのキーワードを右の検索ボックスに入れて検索してみてください。

さて『薑絲大腸』は普通の料理として以外にも別の使われ方があるのをご存知でしょうか?強烈な酢の香りと開胃の効能のあるショウガの組み合わせ…、そう!悪阻に悩む妊婦の療養食として台湾では食べられるのです。酸っぱいものが食べたくなる、でも吐き気がきつい、そしてコラーゲンやタンパク質などの栄養たっぷり、そう考えれば悪阻に悩む妊婦さんにピッタリの食事ですね。身近に悪阻に悩む妊婦さんがいれば作ってあげましょう。

それではレシピです。過去にも同名料理のレシピをたくさん紹介しているので比べてみてください。


四物雞精│四物チキンスープ

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難易度:☆ 調理時間:2時間
寒い冬は薬膳中華スープはいかがでしょうか?『四物雞精│四物チキンスープ』という健康料理のレシピを紹介します。「四物湯」という漢方処方をベースに鶏肉を煮込んで作ります。肉は食べずにスープだけを飲みます。

今回の料理のベースとなる「四物湯」は《太平恵民和剤局方》という1000年近く前の書物に登場する漢方処方です。おなじみ「十全大補湯」や「温清飲」、「芎帰膠艾湯」など様々な処方のベースとして使われ、補陰補血の基本処方として活躍します。今回は黄蓍と杜仲という薬剤を加えてありますが、この辺は個人の体調に合わせてアレンジしてみて下さい。

現在台湾では鶏肉エキスを濃縮した「鶏精」という健康食品が流行しています。もともと「鶏精」の字は台湾ではチキンブイヨンを意味しましたが、しかし最近になって鶏肉エキス(健康食品)の訳語として使われるようにもなりました。チキンブイヨンも鶏肉エキスも似たようなものですが、鶏肉エキスは脂肪を除くなどの加工処理が行われているので、まったく同じものではありません。市販の鶏肉エキスには塩などの調味料は加えられていないので飲んでも味気ないことが多く、健康にはいいかもしれませんがとても人に勧められるものではありません(笑)。何で台湾で流行ってるんでしょうね…。

というわけで、今回は四物湯の薬効と鶏の栄養とおいしさを存分に楽しめる絶品薬膳の紹介です。四物湯自体もそれほどへんな味はしないので、いわゆる漢方臭さはそれほど気にならないと思います。様々な薬膳のベースとしても使ってみましょう。



雪耳燉木瓜│パパイヤと雪耳のシロップ浸け

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難易度:☆ 調理時間:1時間以内
寒い冬は温かい中華風薬膳デザート『雪耳燉木瓜│パパイヤと雪耳のシロップ浸け』はいかがでしょうか?オレンジ色のパパイヤと真っ白な白キクラゲを炊飯器で炊いて作る、見た目も美しい暖かいスイーツです。

料理名に「雪耳」とありますが、これは白キクラゲの別名です。中国語でも白キクラゲはそのまま白木耳と書くのが通常の用法…なのですが、学術的には銀耳と書くのが正式なようです。大量のミネラル分、特に大量のカルシウムを含有する食品として知られており、皺取り、肌の水分保持、ホルモン分泌促進など美容に関する様々な効能があることが知られています。低カロリーのダイエット食品としても人気です。

ちなみにシロキクラゲと普通の(黒)キクラゲは遠縁のまったく別の植物です。シロキクラゲの学名は Tremella fuciformis で異型担子菌綱シロキクラゲ目シロキクラゲ科シロキクラゲ属のキノコ。対して普通の(黒)キクラゲの学名は Auricularia auricula-judae で、こちらは真正担子菌綱キクラゲ目キクラゲ科キクラゲ属のキノコです。なんと「綱」のレベルから違います。動物で言う哺乳類と爬虫類くらいの差があるので、親戚どころの話ではありません。見た目も食感も良く似ていますが、白と黒でまったく別のキノコであるということを覚えておきましょう。

中国には「有錢人吃燕窩、沒錢人吃白木耳」という格言があります。お金のある人は燕の巣を、ない人はキクラゲを食べるという意味ですが、コラーゲンの豊富さではシロキクラゲも負けてはいません。古き皇帝は不老長寿のため、その妻らは美容のためにこぞって食べたという白キクラゲ、現代に生きる我々もたくさん食べて美しく健康に過ごしましょう。


大千子雞│大千子鶏

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難易度: 調理時間:1時間以内
またまた登場の中華鶏肉料理です。その名も『大千子雞│大千子鶏』。鶏もも肉をピーマンとあわせたソースで食べる料理です。

この『大千子雞』、なんともダイナミックな名前ですね。水墨画の達人といわれた「張大千」という方が非常に愛した料理なのでこの名前がついています。

張大千は1999年四川省生まれ、書家、水墨画かとして非常に有名で、西洋では「東洋の筆」とも称されるほどの人気を博しました。1917年には日本の京都に遊学し染物の勉強をしたそうです。張大千の日本留学時代、近所の中華料理屋が独自に開発した料理をこよなく愛したといわれ、この『大千子雞』はその料理が元になっているとされます。日本の中華料理屋が独自に開発して、中国人に愛されたという複雑な由来を持つ料理なのです。残念ながらこの中華料理屋で働いていた料理人の名前は分かっていません。

張大千の故郷が四川なので『大千雞塊』などと書かれて四川料理に分類されることがあります。また張大千の祖籍が広東省なので、『大千仔雞』などと書いて広東料理とされることもあります。後世に料理の取り合いが起きてしまうほど張大千は偉大だったということでしょう。

興味のある方は画像検索などで「張大千」を検索してみましょう。息を呑むほど美しい水墨画の世界を堪能してください。特に青緑で彩色された四川省の山水画は見事の一言です。


それでは、かの張大千が愛した『大千子鶏』を日本でも再現してみましょう。

 

八寶湯圓│八宝白玉

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難易度: 調理時間:3時間
たまには中華風スイーツを。『八寶湯圓│八宝白玉』という料理のレシピを紹介します。 様々な材料を煮込み、砂糖で味付けした暖かいデザートです。冷やしても食べられます。

「八寶」というだけあって白玉以外の材料を八種類使います。手に入らないものは別のもので代用してください。

さて、今回の料理で使う「竜眼肉│りゅうがんにく」は甘口男の火鍋に入っている「桂円│けいえん」の殻を割った中身のことです。正確には果実ではなく仮種皮という部分が肥大化したもので、別名「桂円肉」、「福肉」などとも呼びます。 鎮静作用があり、不眠症などに用いられます。

桂円は台湾南部、とくに彰化で盛んに栽培されており、旬の季節には道端で果実を乾燥させている光景を見ることが出来ます。 台湾産の竜眼肉はとても品質が良く、日本の漢方でも使われています。生の竜眼肉はライチに似たさっぱりとした風味のフルーツです。乾燥させると真っ黒になりますが、スープ料理などに入れて煮込むと元の白い半透明の果肉(仮種皮)に戻ります。甘口男の火鍋に入っているので、ぜひ購入して本物の桂円、竜眼肉をお楽しみください。桂円の殻を割って中身を取り出す作業はなかなか日本では体験できません。

様々な堅果類をまとめた『八寶湯圓│八宝白玉』 をぜひお楽しみください。


羊肉爐│薬膳羊肉スープ

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難易度: 調理時間:3時間
台湾冬の風物詩『羊肉爐│薬膳羊肉スープ』のレシピを紹介します。羊肉の臭みをきれいに消して旨味を引き出す香辛料の組み合わせをお楽しみください。

以前も紹介しましたが『羊肉爐』は台湾生まれの台湾料理。30年以上前に現在の新北市で生まれました。

台湾では70年代中盤から政府による国産肉類の保護政策が取られましたが、放牧の必要がある羊肉は環境を汚染の可能性から当初は乳羊、即ちラム肉だけが政府の保護の対象となりました。それでも品種改良や養殖方法の改善により1980年代から2000年代初頭にかけて台湾国内の羊肉の消費量は約10倍まで成長します。同時にニュージーランドやオーストラリアから大量の羊肉も輸入され、羊肉の国内消費は急激に伸びました。『羊肉爐』はそんな羊肉の大量消費時代に発明された料理なのです。

羊肉はその後も2003年まで順調に生産量を増やし続けます。2003年以降なぜか輸入羊肉に押されるようになり、現在までその生産量は減少を続けています。これは80年代に政府の保護をうけて事業を始めた生産者らが世代交代に失敗したというのも理由の一つとして考えられています。この辺は経済学の面白い研究分野ですね。


もし中国との自由貿易協定が結ばれていた…と考えると、農家の方は背筋の凍る思いだったことでしょう。たまには料理や食材を通して、お金や政治の流れを見てみるのもいい頭の体操になりますね。

それでは意外に寒い台湾の冬、体を心から温めてくれる『羊肉爐│薬膳羊肉スープ 』をお楽しみください。



扣三絲│中華三糸

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難易度: 調理時間:2時間
鶏肉シリーズの集大成(?)。『扣三絲│中華三糸』のレシピを紹介します。シイタケ、鶏肉、卵の全ての材料が糸のように細く切られていることから名付けられています。

もともとは上海料理の一つですが、様々な地域で食べられます。本場上海では金華ハム、鶏肉、錦糸卵の三つを千切りにして、シイタケベースのあんかけをかけたものですが、今回はシイタケ、鶏肉、錦糸卵の三つで作ってみます。

この料理の名前にある「扣」の字は日本ではほとんど使われません。「控える」の異体字として「扣える」という風に使えるそうですが、普通の日本人はまず目にする機会のない漢字の一つです。

中国では「釦」とも書き、もともとチャイナドレスなどにみられる紐の結び目を利用したボタンを表しました。現代になり金属製のボタンが主流になるにつれ、扣→釦と書くようになりそのままボタンを表す漢字となりました。「衣釦」と書いて(金属製の)ボタンを意味しますし。「扣」はボタンを留めるという意味の動詞にもなります。

この料理で使われている「扣」は「ひっくり返す」とか「かぶせる」の意味で、今回の料理のように材料の上からあんをかけたり、肉や野菜をかぶせた料理(例:「梅干扣肉│豚バラ肉のからし菜煮込み」)などに使われます。レシピでは材料を積み上げていますが、お碗に盛り付けた後にひっくり返すと写真のようにきれいな山形のものが作れます。


写真は本場上海の卵、鶏肉、ハムを使ったもの。中央の黒いのがシイタケ。


五香雞塊│五香鶏塊

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難易度: 調理時間:2時間
本日は香辛料の香り香る『五香雞塊│五香鶏塊』のレシピを紹介します。香辛料の香りを鶏肉に閉じ込めて作る絶品料理で、鶏肉の味と共に口腔の内外からの香りも十全に楽しめる絶品料理です。

明日からは通常更新に戻れる予定です。

いやぁ!忙しかった!



銀芽雞絲│中華風鶏むね肉の千切りとモヤシ合わせ

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
本日は『銀芽雞絲│中華風鶏むね肉の千切りとモヤシ合わせ』というヘルシーな料理のレシピを紹介します。鶏むね肉とモヤシの食感の対比が妙なる伝統的な中華料理の一つです。

来週からは通常通り記事のあるレシピの更新が出来そうです!

書き落としていたコラムも追加で更新していきますので、お楽しみに。

開陽雞絲│干しエビと鶏むね肉炒め

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
本日は『開陽雞絲│干しエビと鶏むね肉炒め』のレシピを紹介します。干しエビと鶏むね肉を中華風のソースで食べる開胃料理です。

記事は後日!申し訳ありませんが、来週まで正常更新が出来ません。お待ち下さい。

桃仁雞丁│鶏肉とクルミ炒め

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難易度:☆ 調理時間:1時間以内
本日は『桃仁雞丁│鶏肉とクルミ炒め』のレシピを紹介します。この料理名にある「桃仁」とはアーモンドではなく、クルミの意味です。クルミと鶏肉のコラボレーションをお楽しみください。

というわけで、忙しすぎてまたもや日付を超えてしまいました。後日更新します!

蝦蟹肉雞脯│鶏むね肉のエビカニあんかけ

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難易度:☆☆ 調理時間:3時間
本日は『蝦蟹肉雞脯│鶏むね肉のエビカニあんかけ』のレシピを紹介します。鶏むね肉とエビの身を混ぜ合わせて作った練り物にカニ肉のあんかけをかけて食べる宴席料理です。

今回の料理名にある「脯」という字は、干し肉の意味です。韓国のビーフジャーキーである『육포│肉脯』などにはそのままの意味で使われています。今回の料理では特に干し肉を使わないのですが、冷蔵庫で材料を冷やし固める過程が「脯」として使われているのでしょうか…?料理名と調理法が一致しないという不思議な料理です。

「脯」の字は、古くは干し肉意外にも砂糖漬けにした果物を指すこともありました。例えば「桃脯」、「杏脯」など、今で言うドライフルーツも「脯」と呼んだようです。

また干し肉とはまったく関係ありませんが、アミノ酸のプロリン(Pro)の中国語名が「脯氨酸」と言います。「氨酸」の部分がアミノ酸の意味なので、こちらは発音をあてたものでしょう。そういえば中国語圏の人は生物で習う生体必須アミノ酸などはどうやって覚えているんでしょうか?筆者の知り合いの台湾人は1~103までの元素記号をそのまま音で覚えてましたけど、普通の日本人には難しすぎますよね…。

今週一杯は鶏肉料理が続く予定です。冷蔵庫に鶏肉をたくさん用意してお待ちください。

冬瓜燉雞│鶏肉の冬瓜まるごと煮込み

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難易度: 調理時間:2時間
本日は『冬瓜燉雞│鶏肉の冬瓜蒸し』のレシピを紹介します。冬瓜丸ごと一つに鶏肉を詰めて作る豪華な料理で見た目のインパクトは当ブログで紹介した数ある料理の中でも筆頭です。

トウガンの器を使わずに、トウガンの身と鶏肉で作るスープも同じ名前で呼びます。こちらの方が一般的ですが、今回は豪華に冬瓜丸ごと一つを器にして作ってみましょう。

実は同じように西瓜を丸ごと容器に使った『西瓜燉雞』という料理もあります。見た目のインパクトはこちらの方が上です。いずれレシピを紹介したいと思います。
 

清燉子雞│中華風チキンまるごとスープ

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難易度:☆ 調理時間:半日
シンプルイズベスト!鶏肉、酒、塩、ショウガのみで作る『清燉子雞│中華風チキンまるごとスープ』のレシピを紹介します。鶏肉の旨味を存分に味わえるシンプルな料理です。調理時間にも注目です(笑)。

鶏は紀元前6世紀の古代バビロニアの書物に食料として記載されているほど、古い食用肉としての歴史があります。中国でも明代あたりから王侯貴族や有力地主などに普通の食事として食べられるようになりますが、それまでは肉食自体が一般的ではありませんでした。鶏肉も豚肉もそうですが、古代中国では肉はお金持ちの病人が食べる薬として扱われていたほどです。もちろん皇帝貴族は毎日のように色々な肉類を食べていたそうですが…。

近代に入るまでヨーロッパやアメリカなどの西洋諸国でも、鶏肉はそれほど一般的な食材ではありませんでした。これが爆発的に普及するのは第二次世界大戦時に牛・豚肉が不足してからです。近代的養殖手法が確立してから一気に普及しましたが、それ以前は年に一度のお祭りで七面鳥を食べるくらいだったようです。洋の東西を問わず、わずか数十年で食生活が一気に変わったようで、それに伴って様々な新しい鶏肉料理が生まれました。

中華、和食、西洋料理…、今我々が食べているほとんどの鶏肉料理は100年前には存在すらしていなかったことを考えると不思議な感覚に陥りませんか?100年後の人々はどんな料理を食べているのでしょうか。宇宙時代を見据えて虫食の研究も進んでいるようですので、100年後には見た事のない和食や中華が食卓に並んでいるかも知れませんね。

写真は黒木耳が入っています。

富貴雞│富貴鶏

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難易度:☆ 調理時間:2時間
本日のレシピは『富貴雞│富貴鶏』です。多くの材料をひとまとめにしてラップで包み、炊飯器のスイッチを入れるだけで作れる簡単料理です。その簡単さとは裏腹に名前に負けない非常に豪華な料理が出来ます。ぜひお試し下さい。

さて、このところ鶏肉料理が続いているのにお気づきでしょうか?筆者は台湾の中古書店街に程近い場所に住んでいるのですが、60-70年代にかけてのよい鶏肉料理のレシピがまとめてたくさん手に入りました。日本初公開のレシピもたくさん含まれていると思いますので、面白そうだと思ったらぜひ挑戦してみてください。

今回紹介する『富貴鶏』は杭州の伝統料理で、新年や結婚のお祝いに食べられる宴席料理の一つです。もともとは蓮の葉に包んで作る『叫化鶏』と呼ばれる料理を簡単に作れるようにとアレンジしたもので、蓮の葉で包むかラップで包むかくらいの違いしかありません。なぜか台湾でも宴席料理として長いこと人気で、結婚式や政治家のパーティーなどで食べられることがあります。国共内戦後に大陸各地の料理人が台湾に渡ってきたという話もこういう例を実際に目にすると実感できますね。

鶏肉を丸ごと一匹使ったものは日本の家庭の炊飯器では再現が難しいかもしれませんが、切り身でも十分おいしいものが作れますので、ぜひ挑戦してみて下さい。余り物の野菜を使ってもすばらしいものが作れますよ!
 
写真は伝統的な蓮の葉を使って作ったもの。

太爺雞│太爺鶏

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難易度: 調理時間:2時間
かつての「広州名鶏」の一つ『太爺雞│太爺鶏』のレシピを紹介します。実は正しいレシピは失伝してしまっており、このレシピが本物のものかは分かりません。中華風の煮汁で煮込んだ鶏肉に、紅茶で香りをつけた料理です。

 色々な料理人が再現を試みているのですが、今となっては誰にも正解が分からないという不思議な歴史を持つ料理なのです。主に漬け汁、『滷包』の香辛料の組み合わせが不明であることが原因ですが、逆手にとってオリジナルのレシピを作ってみるのもいいかもしれません。

失伝に到った『太爺鶏』の歴史とは?気になる記事は後日!


黃燜雞│黄燜鶏、雲南風鶏肉煮込み

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難易度: 調理時間:3時間以内
本日は『黃燜雞│黄燜鶏、雲南風鶏肉煮込み』という北部の鍋料理を紹介します。雲南風としていますが、正確には雲南料理ではなく中国南西部で広く食べられる料理で、代表して雲南風としています。栗(やシイタケ)と鶏肉をスープを飛ばしながら煮込んで作る中華料理らしい中華料理となっています。

記事は後日!



檸檬雞片│中華風レモン鶏

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難易度: 調理時間:1時間以内
本日は『檸檬雞片│中華風レモン鶏』という料理のレシピを紹介します。レモンを利かせたソースで揚げた鶏肉を食べる料理ですが、いわゆる『唐揚げ』とはまったく違う料理です。不思議な中華料理をお楽しみください。

今回の料理で薬味として使用するレモンは学名を Citrus limon といいます。中国語では「檸檬」です。果物として世界中で使われているおなじみのミカン科の植物です。世界中で使用されているレモン果実ですが、その原産地はいまだ謎に包まれています。インド南部とも、ミャンマー北部とも、中国とも言われていますが、未だに確定していません。植物学を志す方はレモンの起原を探る研究の旅に出てみるのはいかがでしょうか?

世界最大の生産地はインドで、生産量上位五カ国(インド、メキシコ、アルゼンチン、中国、ブラジル)で世界の半分を産出しています。 用途と外観の似ているライムとよく混同されますが、レモンとライム(C. aurantifolia)は別の植物です。一番の違いは種のあるなしで、種のないものがライム、あるものがレモンと覚えておけばよいでしょう。

レモンの、特に皮に豊富に含まれるフラボノイドの一つ、エリオシトリンは強力な抗酸化作用を持ち、資質の参加を防いで抗がん、抗高血圧、抗動脈硬化などの様々な作用を発揮します。一昔前はレモンといえばビタミンCの代名詞のように使われていましたが、現在はレモンといえばエリオシトリン、抗酸化食材というのが栄養業界の通説となっています。油を多用する中華料理には薬味としてぜひ添えたい食材の一つです。


麻辣手撕雞│蒸し鶏の中華風ソース添え

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難易度:☆ 調理時間:2時間
簡単に作れて豪華!そしてとてもおいしい『麻辣手撕雞│蒸し鶏の中華風ソース添え』という料理のレシピを紹介します。ピリ辛でとても食欲をそそります。

というわけで記事は後日...


脆皮糯米雞│パリパリチキンのもち米詰め

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難易度: 調理時間:3時間
忙しい!!更新遅れ気味ですが日付を過ぎても絶対に毎日更新します!

本日は『脆皮糯米雞│パリパリチキンのもち米詰め』のレシピです。久しぶりの特殊材料を使わない難易度☆三つ!材料は少ないのですが、調理に手間をかけて作ります。お祝いの席などで提供してみましょう。シンプルながら非常に豪華な料理になります。

台北でもレストランで食べられます!

というわけで記事は後日!


暴雙丁│爆双丁、豚肉と鶏肉の中華風合わせ炒め

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
『暴雙丁│爆双丁、豚肉と鶏肉の中華風合わせ炒め』という料理のレシピを紹介します。豚肉と鶏肉を混ぜて調理する珍しい料理です。

(記事は後日追加します。)

雞絲燴豌豆│鶏ササミとエンドウのあんかけスープ

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
絶品鶏肉料理を一つ『雞絲燴豌豆│鶏ササミとエンドウのあんかけスープ』のレシピを紹介します。鶏むね肉とエンドウをあんかけ風のスープにした中華料理です。

エンドウを漢字で書くと「豌豆」となります。エンドウマメとも呼びますが、このように呼ぶと豆と豆が続いてしまうので少しおかしいですね。もちろん古くは「豌」一文字でエンドウを表しました。

さて日本では上で紹介したように「豌豆」が唯一の正しい表記ですが、中国語では実はもう一つ、「豌豆」と同じくエンドウを「碗豆」という漢字でも表します。

木で作ったお皿の意味の「椀」に対して、陶磁器のお皿を「碗」と呼ぶので、 「碗豆」の表記は明らかに当て字、もしくは間違いなのですが、なぜかこちらも正しい表記法として定着しているのです。かなり古くから誤用があったのでしょう。さらに金属製の皿は「鋺」と書きます。陶磁器でできたお茶わんは茶「碗」、漆器の汁物入れはお「椀」と使い分けてみましょう。韓国などで使う鉄製の茶わんはもちろん茶「鋺」です。漢字って面白いですね。

千金雞│千金鶏

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
『千金雞│千金鶏』という面白い名前の料理を紹介します。「一刻値千金」という成語から生まれた快速鶏肉料理です。

中国語学習者がはじめに習う単語に時間の概念があります。時間の長さを現すときは、天、小時、分、秒など。日時をあらわすときは、号、点、分鐘、秒鐘などと日本語との微妙な違いに困惑する方も多いかもしれません。

時間を学ぶ時に必ず教科書に載っているのが「刻」という単位。台湾ではまったく使いませんが、15分を表す時間単位です。刻とは水時計の刻みのことで、古代中国では1日=100刻の時制が用いられていました。時代によって一日が96刻になったり108刻になったりもしましたが、清代に西洋から一日24時間制が導入されてから、24で割り切れる1日=96刻制が定められました。これから1時間=4刻、1刻=15分というわけです。

中国には「一刻値千金」、つまり「時は金なり」という成語があり、この料理は調理がほぼ15分で終了するので『千金鶏』という名前が付けられました。調理時はストップウォッチを片手に挑戦してみましょう(笑)。下準備もあるのでなかなか本当に15分というわけにはいきませんが、時間との戦いを強く意識させられる料理です。

味付けは『すき焼き』に似て少し濃い目、ご飯などのおかずに最適です。ぜひ再現してお楽しみください。


咖哩南瓜片│カボチャの薄切りカレー風味

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
中餐乙級素菜證照」シリーズから、『咖哩南瓜片│カボチャの薄切りカレー風味』のレシピを紹介します。調理はとても簡単ですが、薄切りにしたカボチャにちょうどいい塩梅で火を通す技巧が求められます。

日本ではカボチャは一年を通して購入できますが、カボチャの本来の旬は夏から秋にかけて。ナノになぜ一年を通して新鮮なカボチャが手に入るかというと、冬から春のカボチャは南半球から輸入しているからなのです。また日本は縦長の国土を生かして初夏は沖縄のもの盛夏から秋口までは北海道のものと全国土を使ってカボチャの出荷時期をずらしています。これにより年中おいしいカボチャが食べられるというわけです。近年は中国産のカボチャが解禁されたので、北海道より北部の黒竜江省や吉林省から初冬にカボチャを輸入することが可能になりました。

以上のようにスーパーでは一年を通してカボチャの産地が移り変わります。海外産の農作物がいやだという人も多いでしょうが、農作物の旬と安定供給のシステムをご理解の上、品質を見極めたうえでご賞味ください。

 それではレシピです。カボチャの甘さとカレーの辛さがほど良く調和したおかず料理、ぜひお楽しみください。



涼拌三絲南瓜│カボチャと三色野菜のサラダ

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
中餐乙級素菜證照」シリーズから、『涼拌三絲南瓜│カボチャと三色野菜のサラダ』のレシピを紹介します。カボチャをはじめ、キュウリ、タケノコの千切りの技巧が試される料理です。それぞれ硬さが似ていますので、包丁技術の修練にはもって来いです。

カボチャの属するウリ科には有用な植物が多いと『炸南瓜球』の記事で書きました。ここではウリ科の有用植物をざっとまとめて見ましょう。

アマチャヅル:成分の化学構造が高麗人参に似ていることから一時期非常にブームになりました。中国語で「五葉蔘」などといい、胃潰瘍などの薬にされます。

ラカンカ:漢字で「羅漢果」と書きます。モグロシドという砂糖ではない特殊な甘味成分を含み、低カロリーの甘味料として注目されています。薬局ではのど飴や甘味料として有名です。

ゴーヤ:ニガウリの別名でも知られ、正式和名はツルレイシ。台湾料理ではおなじみの食材です。

ヘチマ:小学校の栽培実習でおなじみヘチマ。中華料理では未成熟果実が食材になります。ヘチマ水は化粧水としての用途の他、咳止めなどにも用います。

ヒョウタン:中華料理では食用にもされますが、酒や水の器としての方が有名でしょう。

トウガン:中華料理ではすっかりおなじみの食材。癖がないので様々なスープ料理に使われます。

スイカ:夏の風物詩としてアジア各国で大量に消費されます。皮は西瓜皮(せいかひ)という生薬になります。

キュウリ:世界中で食べられている野菜の一つで、様々な品種があります。低カロリー食材としてもおなじみです。

メロン:中国語で「甜瓜」といいますが、果肉の黄色い中国産の品種である「哈密瓜」をメロンの正式名称と勘違いしている台湾人が数多くいます。西日本の島嶼部では野生化したものがあるそうです。

他にもカラスウリ、マクワウリ、ズッキーニなど様々な種類があります。それぞれに亜種や栽培品種が多数あります。「人類が栽培した最も古い作物」といわれるのも納得です。栽培されているものは接木されているものが多いので、根と果実で元の植物が異なるものも多数あります。

ウリにまつわる古代神話や童話も世界中にあるので、興味のある方は収集して研究してみましょう。それではレシピです。



粉蒸南瓜塊│カボチャの粉蒸し

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難易度: 調理時間:2時間
中餐乙級素菜證照」シリーズから、『粉蒸南瓜塊│カボチャの粉蒸し』のレシピを紹介します。カボチャに米粉で作った衣をまぶしてから蒸して作る「粉蒸」という技法で作る料理です。和食にはない調理方法ですのでぜひ覚えておきましょう。

(記事は明日更新します)


炸南瓜球│カボチャ揚げ饅頭

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難易度:☆ 調理時間:1時間以内
中餐乙級素菜證照」シリーズから、『炸南瓜球│カボチャ揚げ饅頭』のレシピを紹介します。カボチャを生地に練りこんで作るおやつ代わりの料理です。以前紹介した『地瓜球│サツマイモボール 』とは名前は同じですが細かい作り方が異なります。

カボチャは漢字で南瓜とかき、ウリ科の植物であるのは名前の通り。カボチャを含むウリ科の植物は分類が「とても」安定しない科として植物学の世界ではとても有名です(笑)。ウリ科には約130の属がありますが、この属間の類縁関係が未確定な物が多く、新たな説が次々と登場しては消えていきます。学習者泣かせの科といえるでしょう。その理由の一つに人類登場と同じくらいの古くから「食用」にされており、世界中で古代から食用にされてきたため遺伝子がめちゃくちゃに混ざり合っていることも関係しているようです。未だに野生種が見つかっていないものも数多くあるそうです。野生のメロンやスイカなどもあるそうで、絶対においしくないと思いますが一度味わってみたいものですね。

ウリ科の植物には生薬として使われるものも数多くあるので、食用だけでなく薬用としても人類に大きく貢献しています。かくいうカボチャの種も「南瓜子(なんかし)」という利尿の薬として古代中国では用いられました。百日咳ウイルスにも効果があるそうです。カボチャの種は豊富な栄養素を含有するので、今でも健康スナックとして世界各地で人気があります。

皆さんもカボチャを丸ごと手に入れたら種を捨てずに乾燥させ、煎って食べたり、お茶にしたりしてみましょう。

それではレシピです。ほんのり甘い中華カボチャスイーツをお楽しみください。



燒冰糖南瓜│カボチャとナツメの砂糖炒め

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難易度: 調理時間:1時間以内
さていよいよ始まった「中餐乙級素菜」シリーズ。記念すべきシリーズ第一弾は『燒冰糖南瓜│カボチャとナツメの砂糖炒め』のレシピを紹介します。

カボチャの形を崩さないように作るのが技で、一度蒸して半分火を通してから炒めて火を通します。角を残しつつも完全に火を通せるように練習してください。

さて、カボチャは60度前後でじっくり加熱することでデンプンを糖に変えるタンパク質が働き、甘味がますという性質があります。「以前紹介したサツマイモの調理方法」と同じです。長期間保存することでも甘味が増すので、新鮮なものよりも収穫してから1ヶ月から1ヵ月半ほど経ったものが保管した物が最も糖度が高くなります。石焼芋のように石焼カボチャを売るのも面白いかもしれませんね。ちなみにこの糖度の高さを利用してカボチャを使ってビールも造れます。

食物繊維を豊富に含み緑黄色野菜で、台湾の客家の間では「番瓜(蕃瓜)」とも書かれます。中国では日本のもの以上に多くの品種のカボチャが流通しており、台湾の市場でも日本では見たことのないような珍しいカボチャを見かけることが出来ます。機会があれば食べ比べてみましょう。

それではレシピです。このシリーズを通して様々な素食技法を学んでいきましょう。


中餐乙級葷菜證照の課題料理

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本ブログでも人気の「中餐丙級證照」 シリーズに続いて、いよいよ「中餐乙級證照」シリーズの始まりです。2013年に甲級の資格試験の開始が本格的に議論され始めたので、数年内に甲級試験が はじまる予定ですが、それまでは乙級試験が台湾における中華料理資格試験の最高峰です。乙級は葷菜と素菜、即ち肉を使った料理と使わない料理に分けられて おり、課題で扱う料理が異なります。

ここでは葷菜と素菜に分かれている乙級中餐烹調技術士の葷菜部門の課題料理を解説して行きます。

丙 級では課題の料理が「大体作れているか」 が合否の判断基準ですが、乙級では作る手順だけでなく「味」も合否の基準になります。課題料理は以下に示すように全部で105種類。201、202、203の3グループ、それぞれのグループにつきA、B、C、D、Eの五組の料理があり、それぞれの組に7種類の料理があります。実地試験では 201菜式から一組、202から一組、203から1組の合計21種類の料理を二人一組で作ります。材料は肉に魚介に野菜、調理方法は揚げたり蒸したり炒めたりと非常に幅広い中華料理の技術が試されます。一通り全部作れるようになっておけば中華料理の基礎はほぼ習得したと考えてよいでしょう。

あわせて学科試験もあるので料理以外の座学も必要です。外国人でも受験することが出来るので、腕(と中国語)に自信のある方は挑戦してみてはいかがですか?

  • 201菜式
    • A
      1. 蒸牛肉丸│蒸し牛つみれ(☆)
      2. 煙燻黃魚│揚げ黄魚の燻製(☆☆)
      3. 五柳魷魚
      4. 糖醋佛手黃瓜
      5. 白果燴芥菜
      6. 掛霜腰果
      7. 炸韮菜春捲
    • B
      1. 酸菜炒牛肉絲
      2. 松鼠黃魚
      3. 白果炒魷魚
      4. 涼拌佛手黃瓜
      5. 金銀蛋扒芥菜
      6. 掛霜腰果
      7. 炸肉絲春捲
    • C
      1. 炒牛肉鬆
      2. 拆燴黃魚羹
      3. 椒鹽魷魚
      4. 麻辣佛手黃瓜
      5. 金菇扒芥菜
      6. 掛霜腰果
      7. 炸牡蠣春捲
    • D
      1. 煎牛肉餅
      2. 酥炸黃魚條
      3. 彩椒炒魷魚
      4. 酸辣黃瓜條
      5. 三菇燴芥菜
      6. 掛霜腰果
      7. 炸韮黃春捲
    • E
      1. 彩椒滑牛肉片
      2. 蒜子燒黃魚
      3. 西芹炒魷魚
      4. 廣東泡菜
      5. 竹笙燴芥菜
      6. 掛霜腰果
      7. 炸素菜春捲
  • 202菜式
    • A
      1. 炸杏片蝦球
      2. 粉蒸小排骨
      3. 蔥油雞
      4. 宮保墨魚捲
      5. 佛手白菜
      6. 三絲蛋皮捲
      7. 鮮肉水餃
    • B
      1. 椒鹽蝦球
      2. 京都排骨
      3. 人參枸杞醉雞
      4. 家常墨魚捲
      5. 香菇白菜膽
      6. 高麗菜蛋皮捲
      7. 花素煎餃
    • C
      1. 蝦丸蔬片湯
      2. 豉汁小排骨
      3. 玉樹上湯雞
      4. 金鈎墨魚絲
      5. 什錦白菜捲
      6. 豆芽菜蛋皮捲
      7. 香煎餃子
    • D
      1. 時蔬燴蝦丸
      2. 蔥串排骨
      3. 燻雞
      4. 芫爆墨魚捲
      5. 銀杏白菜膽
      6. 韮黃蛋皮捲
      7. 蝦仁水餃
    • E
      1. 三絲蝦球
      2. 紅燒排骨
      3. 家鄉屈雞
      4. 蔥油灼墨魚片
      5. 千層白菜
      6. 冬粉蛋皮捲
      7. 高麗菜水餃
  • 203菜式
    • A
      1. 滑豬肉片
      2. 五柳鱸魚
      3. 蒸一品雞排
      4. 香蕉蝦捲
      5. 威化洋菇海皇羹
      6. 干貝燴芥菜
      7. 八寶芋泥
    • B
      1. 炒豬肉鬆
      2. 鱸魚兩吃
      3. 油淋去骨雞
      4. 百花豆腐
      5. 鮮菇三層樓
      6. 蟹肉燴芥菜
      7. 芋泥西米露
    • C
      1. 蒸豬肉丸
      2. 松鼠鱸魚
      3. 香橙燒雞排
      4. 沙拉蝦捲紫菜
      5. 翡翠芙蓉羹珍菇
      6. 香菇燴芥菜
      7. 蛋黃芋棗
    • D
      1. 乾炸豬肉丸
      2. 鱸魚羹
      3. 百花釀雞腿
      4. 蘋果蝦鬆
      5. 鮑菇燒白菜
      6. 蜊肉燴芥菜
      7. 紅心芋泥
    • E
      1. 煎豬肉餅
      2. 麒麟蒸魚
      3. 八寶封雞腿
      4. 果律蝦球
      5. 碧綠雙味菇
      6. 芥菜鹹蛋湯
      7. 豆沙芋棗│サトイモ団子(☆)

中餐乙級素菜證照の課題料理

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本ブログでも人気の「中餐丙級證照」シリーズに続いて、いよいよ「中餐乙級證照」シリーズの始まりです。2013年に甲級の資格試験の開始が本格的に議論され始めたので、数年内に甲級試験がはじまる予定ですが、それまでは乙級試験が台湾における中華料理資格試験の最高峰です。乙級は葷菜と素菜、即ち肉を使った料理と使わない料理に分けられており、課題で扱う料理が異なります。

ここでは葷菜と素菜に分かれている乙級中餐烹調技術士の素菜部門の課題料理を解説して行きます。

丙級では課題の料理が「大体作れているか」 が合否の判断基準ですが、乙級では作る手順だけでなく「味」も合否の基準になります。課題料理は以下に示すように全部で90種類。18種類の主材料が6種類ずつ301、302、303の3グループに分けられており、それぞれの材料につきA、B、C、D、Eの五組の料理が課題になっています。実地試験では301菜式から一組、302から一組、303から1組の合計15種類の料理を作ることになります。レシピのそれぞれの組は根菜、豆腐、青菜、素肉、茸、麺・飯の組み合わせになっており、満遍なくいろんな素材を使って様々な料理の技能を確認できるように考えられています。

あわせて学科試験もあるので料理以外の座学も必要です。外国人でも受験することが出来るので、腕(と中国語)に自信のある方は挑戦してみてはいかがですか?

  • 301菜式
  • 302菜式
    • 芋頭│タロイモ
      1. 紅燒芋塊
      2. 酥炸芋條
      3. 三菇芋丁羹
      4. 糖醋芋丸
      5. 鹹味蒸芋絲塊
    • 乾絲│干し豆腐の千切り
      1. 青椒炒干絲
      2. 木樨涼拌干絲
      3. 涼拌三色干絲
      4. 涼拌芹菜干絲
      5. 涼拌辣味干絲
    • 高麗菜│キャベツ
      1. 涼拌糖醋高麗菜絲
      2. 燒三絲高麗菜捲
      3. 蒸什錦高麗菜捲
      4. 炒雙色高麗菜
      5. 炒宮保高麗菜
    • 烤麩│焼き麩
      1. 滷五香烤麩塊
      2. 棗粒燜烤麩塊
      3. 焦溜烤麩片
      4. 鮮筍燴烤麩塊
      5. 燒胡蘿蔔烤麩塊
    • 鮑菇│エリンギ
      1. 酸菜鮑片湯
      2. 腐衣鮑片湯
      3. 糖醋鮑花
      4. 蘿蔔鮑片湯
      5. 竹筍鮑片湯
    • 米粉│ビーフン
      1. 銀芽炒米粉
      2. 沙茶炒米粉
      3. 南瓜炒米粉
      4. 三絲炒米粉
      5. 三菇炒米粉
  • 303菜式
    • 馬鈴薯│ジャガイモ
      1. 糖醋馬鈴薯排
      2. 咖哩馬鈴薯塊
      3. 炸馬鈴薯球
      4. 焦溜馬鈴薯絲
      5. 沙拉醬拌馬鈴薯泥
    • 豆皮│湯葉
      1. 薑汁豆包排
      2. 酥炸三色豆包捲
      3. 燒茄汁豆包塊
      4. 香煎豆包排
      5. 酥炸五色豆包捲
    • 西芹菜│セロリ
      1. 涼拌三色芹菜
      2. 涼拌花生仁芹菜
      3. 涼拌酸辣芹菜
      4. 涼拌蒟蒻芹菜
      5. 炒銀芽芹菜
    • 麵筋│グルテンミート
      1. 酥炸芝麻麵筋
      2. 茄汁麵筋球
      3. 炒三色麵筋片
      4. 燒豆干麵筋片
      5. 滷竹筍麵筋
    • 金針菇│シメジタケ
      1. 金菇豆腐羹
      2. 扁尖金菇湯
      3. 三絲金菇湯
      4. 榨菜金菇湯
      5. 金菇粉絲湯
    • 白飯│ご飯
      1. 翡翠炒飯
      2. 五彩炒飯
      3. 三丁炒飯
      4. 咖哩炒飯
      5. 蕃茄豆包炒飯

牛蒡雞肉湯│ゴボウと鶏肉のスープ

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難易度:☆ 調理時間:1時間以内
本日は炊飯器で作れる『牛蒡雞肉湯│ゴボウと鶏肉のスープ』のレシピを紹介します。ゴボウと鶏肉をその他の材料と一緒に炊飯器に入れるだけで作るお手軽スープです。

皆さん牛蒡の種は生薬になることを知っていましたか?今回は牛蒡の種「牛蒡子(ごぼうし)」、または悪実(あくじつ)について解説してみたいと思います。

牛蒡子はゴボウ Arctium lappa L. の種子を乾燥させた生薬で性味は辛、苦、寒で、帰経は肺、胃です。疏散風熱、透疹利咽、解毒散腫の効能があります。日本ではあまりなじみがありませんが、中医学で風邪に使われる有名な薬「銀翹散(ぎんぎょうさん)」にも配合されています。特に乳腺炎に絶大な効果があるので、漢方薬を使う産婦人科や門前の薬局ではおなじみの生薬かもしれません。皮膚に常在する細菌に優れた殺菌効果を持つことも分かっており、皮膚病に煎じ液を塗布したりして使うこともあります。近年抗腫瘍作用が発見されたことで、今後おおきく消費量を延ばしそうな生薬の一つです。

もちろんその根っこであるゴボウにも似たような作用があります。近年日本ではテレビでゴボウ茶が取り上げられたこともありブームになっているようですが、台湾旅行時に買い込んでお土産にすると喜ばれるかもしれません。

それではレシピです。簡単です。



芝麻三絲四季豆│サヤインゲンと三色野菜の胡麻和え

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
中餐丙級證照」シリーズより、『芝麻三絲四季豆│サヤインゲンと三色野菜の胡麻和え』のレシピを紹介します。茹でて和えるだけのお手軽料理です。野菜しか使わない素食でもあります。

中餐丙級證照」シリーズはやっと2/3が終わりました。早いとこシリーズを完成させて中薬学テキストや「丙級中餐素食」シリーズに取り掛かりたいと思います。更新ペース上げるかもしれません。

本レシピでメインに使う四季豆│サヤインゲンはインゲンマメの食用の莢のことです。数ある食用豆の中でも、高たんぱく、低脂肪、そして安価、なんとアミノ酸スコアがほぼ100という使える食品です。肉類の不足するアフリカ地域などでは主要な蛋白源として食べられてもいます。

インゲン豆は16世紀末にヨーロッパから中国に伝えられました。そして50年ほど経った1654年(明朝末期)、帰化僧である「隠元隆琦」によって日本に伝えられました。この隠元隆琦は福建省福州の出身で長崎の唐人寺に招聘されて日本にやってくるのですが、この時の船を手配したのがかの鄭成功。20数人の弟子を連れて日本にやってきたとされますが、おそらく明朝末期の混乱を避けての意味もあったのでしょう。半数以上の弟子らが日本に帰化し、その一族は今も日本に住んでいます。もしどこかで違う歯車がかみ合っていれば、インゲン豆は隠元隆琦と共に台湾に伝えられ、彼らの腹を満たしていたかも知れません。

インゲン豆と鄭成功は意外なところで繋がっていたのですね。それではレシピいって見ましょう。


廣式滷鴨翅│広東式カモ手羽先煮込み

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難易度: 調理時間:1時間以内
本格『廣式滷鴨翅│広東式カモ手羽先煮込み』のレシピです。香辛料をたくさん使って本格的に作ってみます。本場と同じ味付けをぜひお楽しみください。

今回は生薬「陳皮(ちんぴ)」にスポットライトを当てて見ましょう。日本でも七味唐辛子に香辛料として加えられたり、ぬか床の風味付けに使われたりすることからおなじみの陳皮。ミカンの皮を乾燥させたものというのは、多くの人がご存知のとおりです。もともとは「橘皮(きっぴ)」と呼ばれていましたが、古いもの即ち陳旧のものがよいとされるので「陳皮」と名付けられました。特に広東省産のものを「廣陳皮」と呼び、最高級品とされます。


冬に我々がコタツで食べるあのミカンが、陳皮の元になる植物ウンシュウミカン Citrus reticulata です。皮を乾燥させるとそのまま陳皮になります。実は生薬「陳皮」は加工方法が日本と台湾で若干異なります。日本ではそのまま乾燥させたものを主に使いますが、中国の一部、また台湾では一度蒸してから乾燥させたものを主に使います。一度蒸したものは真っ黒なので、日本の陳皮しか知らない方が、台湾で陳皮を購入するとびっくりするかもしれません。

またウンシュウミカンの成熟した果皮を乾燥させたものが「陳皮」ですが、未成熟果実の皮を乾燥させたものは「青皮」と呼び使い分けます。陳皮が理気調中、燥湿化痰の薬であるのに対し、青皮は疏肝破気、散結消滞と効能が異なります。含まれる成分はほとんど同じなのですが、特定の成分の比率の違いが薬効の違いになって現れるようです。不思議ですね。

他にもミカン科の生薬には、枳実、仏手、香櫞、黄柏、呉茱萸、山椒、橙皮など様々なものがあります。枳実、仏手、香櫞は科だけでなく属まで陳皮と同じです。ほかにも中華料理でおなじみ「花椒(この料理でも使います)」もミカン科の植物の果皮ですので覚えておきましょう。拡大してよく見てみるとミカンの皮に似ていることが分かります。

それではレシピいってみましょう。カモの手羽先専用の調合ですのでもちろんカモ肉との相性はピッタリですが、それ以外の肉類を煮込んでも美味です。いろいろなものを煮込むのに使ってください。


汽鍋雞│汽鍋鶏

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難易度: 調理時間:2時間
本日は『汽鍋雞│汽鍋鶏』という雲南省の伝統料理を紹介します。専用に作った特殊な鍋を使うので、日本で再現するのはまず不可能ですが…、何とか工夫してやって見ましょう。

そういえば雲南料理を紹介するのははじめてかもしれません。というわけで雲南料理の特徴を説明しておきます。雲南省は中華人民共和国の南端、ベトナムやミャンマーとの国境に位置し、明代までは独立王朝がありました。中華王朝の支配域に組み込まれてからは漢人の流入が本格化し、もともとこの地に住んでいた民族は現在少数民族とされています。雲南省特有の有名な料理といえば今回紹介する『汽鍋雞』や『過橋米線』くらいですが、漢人が伝えた四川料理を少しアレンジしたものがよく食べられます。もともとこの地に居住していた民族はタイ人やベトナム人と共通の祖先を持つものがあり、タイ料理やベトナム料理のような民族料理も盛んに食べられます。

『汽鍋雞』の難易度が☆3つであるのは、特殊な形状の「汽鍋」と呼ばれる鍋を使うためです。日本に数件あるという雲南料理の店では現地から取り寄せて使っていると思いますが、個人がこれを手に入れるのは至難の技。雲南省に直接赴いて現地で購入するか、陶芸を習得して自分で焼くかした方が早いかもしれません(笑)。

汽鍋の原理は口で説明するより写真を見ていただいた方が早いでしょう。






上記写真のように鍋の中央部に小さな穴が開いています。






上の図は汽鍋で加熱しているときの断面図です。寸胴鍋でお湯を沸かして上に汽鍋を載せます。A部分で発生した蒸気が、鍋の穴Bから、蓋をした鍋全体に行き渡り、食材を上下から加熱します。蒸し器の原理に似ていますが、蓋をした鍋の中に蒸気を導引するのがこの調理器具の特徴です。蓋を開ける直前まで温度がほとんど下がりません。蒸し器のように蒸気を逃さず蓋の内側に熱を閉じ込めて調理します。面白い調理器具ですね。

どんな環境の下でもほぼ一定の温度で調理でき、原理上調理温度は約85度、ダシをとるには最高の温度です。素材の風味をほとんど逃さずに調理することが可能で、香辛料や生薬を煮出すのにも最適です。汽鍋を使った薬膳料理も数多く存在します。

台北でも食べられますので、美食の次なるステージを目指す方はぜひ一度食べてみましょう。以下のお店で食べられます。

滇味廚房 過橋米線‧汽鍋雞
 台北市信義区永吉路30巷178弄2号
 02-2938-4788

日本で汽鍋を手に入れるのはまず無理でしょうが、レシピでは急須や小型の土鍋で再現しています。

醬爆雞丁│中華風鶏肉の醤油炒め

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
シンプルに鶏肉だけで作る『醬爆雞丁│中華風鶏肉の醤油炒め』のレシピを紹介します。久しぶりの中華料理らしい中華料理かもしれません(笑)。

さて、中国では古くから食用にされてきた「鳥」肉。今でこそニワトリの肉が大部分ですが、大量飼育方法が確立される前はそれはもうありとあらゆる鳥が食用にされてきました。今回は「鳥」という字を詳しく見てみましょう。

「鳥」の字が、鳥類の象形文字であることは皆さんご存知かと思います。この字をよく見ていただきたいのですが、下に四つの点、つまり脚がありますね。小学校ではここまで説明しないので、ご存知の方は少ないかと思いますが…実はこの「鳥」の字は正確には「地面を走る鳥」の象形文字です。なるほど「鶏」は地面を走る鳥ですね。他にも人間が容易に捕獲できる狩りの対象や、生活に密着していた鳥類もこの字を使って表します。

逆に空を飛んでいる鳥の象形文字は「隹」です。小さな隹が「雀」で、他にも隼や雁などに使われています。火であぶって「焦」の字になったり、人の獲物を「奪」ったり、畑を害する鳥を追い払うのに「奮」闘したり…、色々な派生漢字があります。こういった解釈はあくまで後世のものなので何処まで本当かは知りませんがなかなか面白いですね。

この両方を含んでいる字が「鷹」で、「建物の中で、人が、隹に命令して、鳥を捕らえる」の意味を表しています。この漢字ができた当時から鷹匠がいたんですね。他にも鳥にまつわる漢字は非常に多岐にわたります。古代から中華世界では主要な蛋白源としてそれだけ大事だったということでしょう。機会があればどんどん紹介していきますので、お楽しみに。

最後に鳥が天上(正)に飛び去って終「焉」ということで…、レシピいきます!


杞菊貞蓍茶│杞菊貞蓍茶

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難易度: 調理時間:1時間以内
久しぶりの薬膳飲料、その名も『杞菊貞蓍茶│杞菊貞蓍茶』です。「こきくていぎちゃ」と読みましょう。

枸杞」も「女貞子」も「黄蓍」も簡単に当ブログで触れたことがあるので、本日はもう一つの材料「(杭)菊花」について説明したいと思います。

実は菊花は古くは《神農本草經》に記載されている薬物です。キク科イエギク Chyrsanthemum morifolium Ramat. の頭状花序を乾燥させたもので、中国語での植物名は杭白菊といいます。生薬の別名は白菊花、黃菊花、滁菊花、杭菊花など。白菊花と滁菊花は白い花のもの、黃菊花と杭菊花は黄色い花のものを指します。

台湾を訪れる日本人の皆様は旅行中に絶対に“二度”、図案化された菊を目にする機会がありますが、おわかりでしょうか?そう、パスポートの表紙のマークも菊ですね。日本人には非常に馴染みのある植物です。

菊花は中医学では発散風熱薬に分類され、性味は辛、甘、苦、微寒で、帰経は肺、肝とされます。疏風清熱、平肝明目、解毒の効能があります。日本でも刺身のつまとして食用にされることが多いので、解毒の効能を知っている人も多いかもしれません。近代研究によって殺菌作用と血管拡張作用などが明らかになっており、高血圧や心臓病治療などにも応用されています。

細かくは色によって使い分けたりもします。白いものは清熱、明目、平肝の目的でよく使われ、黄色いものは外感風熱によく使われます。もう一つ似た薬に「野菊花」というものもあるのですが、こちらは解毒の作用が比較的強いとされます。野菊花は C. indicum L. という植物を使います。日本でも菊花茶などの名前で普通にお茶として買えます。入手が容易な生薬の一つです。

菊花は補腎の枸杞と組み合わせて腎陰虚による赤目、のぼせ、めまいなどに効果を発揮します。免疫力を高める女貞子と黄蓍を配しているので、放射線療法などの免疫力を低下させる物理治療中に飲んでもよさそうです。また高血圧によるめまいやふらつきなどがあるときにもいいでしょう。

もちろん菊花を単独で煮出してもうっすらと甘いおいしいお茶が出来ます。菊花茶は口内炎や喉のはれなどにも効果がありますので覚えておきましょう。

というわけで本日のレシピです。女貞子の入手が少し難しいかもしれませんが、ご入用の方はメールでご連絡ください。

糖心蛋│中華風半熟卵

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難易度: 調理時間:数日
香辛料を使ったレシピを大公開しております。まだまだありますが、今年の冬は出し惜しみせず生薬・香辛料を使った絶品料理をがんがん紹介していくのでご期待ください。

本日は『糖心蛋│中華風半熟卵』 のレシピを紹介します。

本日も生薬の紹介を。当ブログでも時々目にする香辛料「山奈」について解説したいと思います。

山奈はショウガ科バンウコン Kaempferia galanga L. の根茎を乾燥させたものです。別名を三奈、沙姜、山辣ともいい、中国のレシピ本によってはこちらの名前で記載されていることも多いです。生薬の読み方は「サンナ」で間違いないのですが、日本ではインドからもたらされた時になぜか別の植物と勘違いされてしまい、ショウガ科の別の植物(Hedychium属の植物)にサンナという和名がつけられています。間違えないように注意しましょう。

実は台湾でも日本統治の影響からか Hedychium属の植物を山奈と表記して薬草屋さん(青草行)で売っていることがあります。台湾名を穗花山奈などというので紛らわしく中医学的にも間違いなのですが、店員さんに正しい植物を指摘しても無駄です。諦めましょう(笑)。

この山奈は日本ではあまり使われませんが、中国、東南アジアではとても一般的香辛料でカレーやスープに味付けのために入れられます。ただ複雑なことに例えばインドネシア語で Galangal とよばれる香辛料には、山奈をはじめとする数種類の他のショウガ科の植物がいろいろ含まれます。中国語でも山奈、南姜、(植物の)高良薑をひとまとめにして(香辛料の)高良薑と呼んだりします。面倒くさいですね(笑)。

ショウガに樟脳(学名の由来にもなっています)が混ざったような鮮烈な香りが特徴で、筆者も大好きな香辛料の一つです。日本でも…お寺で使う高級線香などに配合されたりしているようです。甘口男の火鍋にも入ってます。

ショウガ科の薬物らしく、温中化湿、行気止痛の効能があります。Kaempferia もそうですが、 Hedychium も非常に美しい花を咲かせるので、観賞用としてもおすすめです。ショウガのように地下茎で増やせるので、手に入れる機会があったら栽培して見ましょう。

それではレシピです。筆者はレシピを見るだけで涎が出ます(笑)。


藥燉排骨│豚バラの生薬煮込み

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難易度: 調理時間:2時間
夜市や屋台でおなじみ『藥燉排骨│豚バラの生薬煮込み』のレシピを紹介します。食べる前から体に良さそうな香りが立ち込めます。これをおいしそうと感じるか、薬臭いと感じるかは人それぞれです(笑)。

以前も同名の料理を紹介しています。以前のレシピはこちら。本日のコラムには非常に専門的な話題が含まれるので、難しい!と思った方は深く考えずに一気にレシピまで飛んでください。

さて、本日のレシピは少々解説が必要でしょう。日本でもそうですが、台湾や中国では名前をそのまま伝えただけでは買えない生薬がいくつかあります。いったいどういうことでしょうか?

まず材料1にある「牛膝」という生薬を見てみましょう。もちろんこの名前のまま生薬辞典などには載っていると思いますが、その基原植物を見るとヒユ科の懷牛膝 Achyranthes bidentata Bl. と川牛Cyathula officinalis Kuan の根の二種類(またはそれ以上)が記載されています。まったく別の植物がそれぞれ同じ名前の生薬として指定されているのです。懷膝と川膝などとも呼び分けます。基本的にどちらも同じ効能を持つのですが、懷牛脈は補肝腎強筋骨の効能が強く、川牛膝は活血祛瘀の効能に長けているとされます。中医学では使い分けるので注意が必要です。さらにディープな話をすると懷牛膝の野生品や A. longifolia Mak 、A. aspera L. は 清熱利咽、活血通淋の効能が比較的強いとされ、中医師によればこれらも使い分けます。もちろん薬膳で使うくらいなら気にして使い分けることはありませんが、いろいろな植物をまとめて牛膝というということは覚えておきましょう。また「膝」の字を書くのが面倒くさいので音の似ている「夕」や「七」で代用したりもします。異名というか表記が様々なのも牛膝の特徴です。台湾や中国で購入する時は懷牛膝と川牛膝の少なくともどちらかを指定する必要があるので覚えておきましょう。ちなみに日本の薬局方ではA. bidentataA. fauriei Leveillé et Vaniot の二種類が、韓国の薬局方では A. bidentataA. japonica Nakai の二種類が指定されています。A. bidentata 以外の基原植物が国によって違うのも問題を複雑にしています。

今回のレシピでは懷牛膝 Achyranthes bidentata Bl. を使ってください。日本でなら普通に「ゴシツください」といえば買えます。

そしてもう一つ「芍薬」です。こちらもこの名前のまま生薬辞典などには記載されていますが、芍薬は植物ではなくその加工方法によって名前が変わります。ご存知「立てば芍薬、座れば牡丹」のあのシャクヤクの根を乾燥させたものですが、外皮をつけたものを「赤芍」、外皮を除いたものを「白芍」と呼び分けます。赤芍は栽培品も野生品も含まれますが、白芍は栽培品のみという特徴もあります。赤芍は清熱涼血の効能が強く、白芍は補血、止血の効能が強いとされています。日本の薬局方では元になる植物は Paeonia lactiflora Pallas だけ指定されていますが、台湾や中国では他のボタン属の植物のものも結構出回っています。薬剤師や薬学生の方は牡丹皮との違いも復習しておきましょう(笑)。

今回のレシピでは赤芍、白芍どちらを使ってもかまいません。

鬚人参や炙黄蓍の説明もしたいところですが…、またの機会にしておきましょう。

問題は実際に生薬を目にしたときに…どうやって見分けるの?ということですが…。もちろん普通の人はまず無理でしょう。しかし世の中には自分を含めて好きモノが多数いまして、自分の研究している分野の生薬なら見ただけで植物の種類…だけでなく、生育年数(!)、産地(!)、そしてちょっと口に入れれば成分の含有量までほぼ正確に当てることができるようになるのです。筆者の大学時代の研究室にはそういう人間ばかりが揃っていました(笑)。生薬のソムリエみたいなものですね。といわけで、生薬や香辛料の購入は専門家に任せてしまうのが一番です。そういう人は質問すると喜んで答えてくれますので、わからないことはどんどん訪ねてみましょう。筆者もそういう人間の一人なので、分からないことがあればいつでもメールください(笑)。

というわけで、本日は冬場の台湾で絶対に食べたい軽食の一つ『藥燉排骨』の本格レシピです。正直ここまで本格的な生薬を配合して作る『藥燉排骨』は台湾でも少ないと思いますが…。生薬の勉強をしながらぜひ日本でも作ってみてください。


滷牛健│牛スジ煮込み

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難易度:☆(材料入手による)  調理時間:2時間
冬到来ということで特殊な香辛料を組み合わせ煮込み料理を紹介しましょう。『滷牛健│牛スジ煮込み』と名前は単純ですが、香辛料の組み合わせはなかなか面白いものとなっています。

今回のレシピでは「青皮」、「木香」というちょっと珍しい生薬を使います。 簡単に見てみましょう。

「青皮」とはいわゆるポンカンなどの未成熟果実の皮を乾燥させたもので、同じくミカン科の果皮である陳皮や橘皮の仲間の生薬です。精油成分を豊富に含み清冽な香りが特徴です。通常は十字に切れ込みを入れて皮を剥き乾燥させているので、「四花青皮」とも呼ばれます。ほぼ陳皮と同じ疏肝破気、散結消滞という効能を持ちますがその作用は強く、特に消化不良、気鬱などに用いられます。青皮を配合している有名な処方は青皮以外にもいろいろな香辛料が使われていることが多く、そのままスープにして飲むとおいしそうなものばかりです(笑)。

青皮、山楂、神曲、麥芽、草果を組み合わせた「青皮丸」という処方があるのですが、砂糖を加えてそのままお菓子として食べられそうなおいしそうな組み合わせです。涎が出そうな組み合わせですね。

「木香」には実は「雲木香」と「川木香」の二種類がありまして、それぞれ元の植物が違います。日本の生薬で木香といった場合は「雲木香」のことですが、実はこの雲木香 Saussurea costus または S. lappa はワシントン条約で国際取引が全面禁止されています。とても貴重な生薬なのです。雲南省あたりで産出するのでこの名前があります。川木香 Vladimiria souliei は四川省あたりで産出するのでこの名前があります。こちらは特に取引を規制されていはいません。

雲木香も川木香も、どちらも行気止痛の効能を持ちますが、雲木香は更に健脾消食、止瀉などの効能を持ちます。薬として使う場合は普通は雲木香を使います。料理で使うなら、手に入れやすく安価な川木香で十分です。

香辛料を一つずつ味わった経験がないと全体の香りや味を想像するのは難しいかと思いますが、一つ香りを嗅いだだけで胃腸が蠕動を開始し涎があふれ出すような本能を拳骨で叩く鮮烈な香りが特徴です。

味わってみたい方は…メールでご相談ください。香辛料のセット格安で送ります。


東山鴨頭│東山鴨頭

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難易度: 調理時間:2時間
ついにこの料理を紹介するときがやってきました。今回は『東山鴨頭│東山鴨頭』のレシピを紹介します。アヒルの頭を香辛料スープで煮込んで揚げて乾燥させてを繰り返して作る珍味です。

いわゆるゲテモノ台湾料理に分類される料理なのですが…、かなり美味いんです。台北市では饒河街夜市などで食べられます。

もともとは1960年台に台南市東山区で生まれた料理で、現在も発祥のお店が残っています。不思議なことに東山区ではアヒルの養殖は行われておらず、地域の名産を使ったわけでもない料理がそのおいしさから有名になってしまいました。

そしていつもの通りというか…、台湾発祥の料理ではよくあることというか…、わが店こそが創始店だという訴訟がやっぱり起きていまして、未だに決着は付いていません(笑)。その製作過程からもともとは『滷味』の屋台やお店が作っていたことは容易に推察されますが、東山鴨頭の名称を最初に使ったのがどの店で、その店の開業を支援した師匠の店がどこで、その店が参考にした別店舗のメニューがあって…、いつものぐだぐだの争いが展開されています。「東山」というのが地名というのもはっきりとした商標を主張できないポイントとなっているようです。「青森リンゴ」みたいなものですね。

さて台湾の創始店に関する訴訟には実はもう一つ典型的な例があります。創始店も創始者も明らかであるが、その店の二代目三代目が配偶者と「離婚」した場合の商標の帰属問題です。台湾では家族経営の飲食店が多いのも理由の一つです。経営や仕込みのノウハウは後代の社長もその配偶者も同じように持っており、しかも結婚してからの共有財産は基本的に折半。二代目三代目が持っていた商標権やその子供らの親権も裁判で争われ、結果同じルーツを持つ創始店が二つ(家族がバラバラになった場合それ以上)の「元祖」が登場するわけです。特に有名店ではゴシップ記事になってしまうので、離婚の原因が明らかになったりすると本来の血統を継いでいる二代目三代目の店よりも、その元奥さんのお店の方が儲かったりする例も一つや二つではありません。また創始者に子供が数人おり、創始者が突然死亡したりする場合も、たいてい訴訟合戦に発展します。すぐ隣にまったく同じような味の同じような店がある場合は…、大体はそういうことです。台湾の飲食店はこういった闇の部分(?)を大なり小なり抱えています。宜蘭の有名スイーツ店とか台南の有名滷味店とか、例はいくらでもあります。社会学や心理学のレポートでこういう例を題材にしても面白いかもしれませんね。

さて、『東山鴨頭』は台湾では普通夜食や間食として食べられます。調理方法はちょっと複雑で、まず香辛料のスープにした処理したアヒルの頭を浸けておき、味が染みたら油で揚げて、油を切ったら再び香辛料スープで煮込み、取り出して乾燥させたものを、直前に加熱して食べます。材料は安いのですが手間がかかっているためそれほど安くない価格で提供されます。通常はアヒルの頭以外にも首、腸、舌、水かき、ぼんじりなどの部位を使っても作ります。夜市や屋台で見かけることがあったらぜひ購入してみましょう。

食べるのに勇気がいる台湾料理の一つですが、機会があればぜひ一度挑戦してみてください。慣れると病み付きになります。


燒酒雞│焼酒鶏

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難易度: 調理時間:1時間以内
冬の風物詩鍋料理!本日は台湾風の『燒酒雞│焼酒鶏』のレシピを紹介します。色々な香辛料を混ぜた酒ベースのスープで鶏肉を煮込んで作ります。体が芯から温まります。

薬膳や生薬に詳しい方は材料を見てもらうと分かると思いますが、手足の冷えや血虚に効果のある薬剤がずらりと並んでいます。冬に手足が冷えるという方はぜひご賞味ください。

さてこの焼酒鶏、台湾では非常にポピュラーな薬膳料理なのですが、毎年のように同じような問題が発生します。そう、飲酒運転です(笑)。『燒酒雞』のスープの大部分がお酒をベースに作られているため、加熱不足で少量残ったアルコール分が飲酒と同じ効果を与えてしまうのです。

通常は弱火で長時間加熱してアルコールを飛ばしているのですが、煩雑期は作った端から注文が入り、アルコールが完全に飛んでいない状態でお客さんの元に提供されることもしばしば。逆にそうでないと焼酒鶏じゃないという意見もあるのですが、このため毎年のようにお酒を飲んでいないのに飲酒検問に引っかかっては罰金を取られるという事件が発生します。日本なら「即」規制が入るのでしょうが、台湾のおおらかな警察・司法制度はなかなかすぐに改善とは行かないようです。

このレシピで珍しいのは「橄欖」という生薬を使っていること。カンランという植物の実をを乾燥させた中薬材なのですが、「橄欖」という漢字は西洋のオリーブの訳語として使われることもあるので注意が必要です。西洋料理のレシピで「橄欖」が出てきたらオリーブの意味ですが、今回のレシピのようにその他の香辛料と一緒に使われる場合は、生薬「橄欖」の意味なので間違えないようにしましょう。カンランとオリーブの実は見た目が良く似ているのですが、まったく別の植物です。生薬「橄欖」には清熱解毒、利咽消腫の効能があります。

久しぶりに材料を集めるのが大変な料理を紹介しますが、その分寒い冬を乗り越える薬膳効果は抜群、しかもとてもおいしいのでぜひ挑戦してみましょう。材料は全て日本の漢方薬局で手に入りますが、購入と調合が面倒くさい方は甘口男までメールください。材料は日本で買うよりも安く手に入ります。

★甘口男では提携企業の協力で正規輸出をすることが可能になりました。珍しい生薬やハーブを台湾から直接輸入して、日本国内で販売することが可能です。もちろん生薬・ハーブ以外の電子製品やその他の台湾製品も正規手続きで輸出が可能です。興味がある方はぜひご相談ください。



紅油燃麵│紅油つけ麺

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
本日はお手軽麺料理『紅油燃麵│紅油つけ麺』のレシピを紹介します。四川風の『紅油』を使い、ぴりりとした辛味が特徴のつけ麺風料理です。

前回花椒の麻味とRA1触覚器官についてコラムを書きましたが…、なんとGoogleで「RA1神経」を検索すると、体性感覚を解説した記事の真下に当ブログの『川味涼麵│四川風冷やし中華』の記事が来ることが分かりました(笑)。(前回記事ではRA1神経などと書いていますが原文では「Tactile RA1」となっているので今回は「RA1触覚器官」と訳します。)

学術目的でRA1触覚器官を調べる方がひょんなことから記事を読むかもしれないので、あまり適当なことは書けません…。というわけで今回は花椒と味覚について少し込み入った話をしたいと思います。科学が苦手な方は…、レシピまで一気に飛んでおいしさだけを味わってください(笑)。

花椒の成分がRA1触覚器官を刺激することがわかったのはごく最近2013年の8月のこと。RA1触覚器官は与える振動数によって刺激の感覚が異なりますが、花椒の成分はRA1触覚器官がもっとも強く刺激を感じる50-100Hzの振動数と同じような刺激を与えることが分かりました。花椒の有効成分はα-sanshool、β-sanshoolやα-sanshoamidなどで、これらに共通する R1-CO-NH-R2 の酸アミド構造が刺激に関与するということも明らかになっています。(成分の名前から分かるように日本の山椒にも同じ成分が含まれています)。CO基から供給される電子により窒素原子周りの電子濃度が高くなっており、これがRA1触覚神経に強く刺激を与える原因だそうです。また花椒の成分はR1部分にも二重結合を持っており、そこからも電子が供給されて電子濃度が更に高くなっています。窒素原子周りの電子濃度の高さがあの強烈な麻味を引き起こすのです。(原文:Hagura et al., Food vibrations: Asian spice sets lips trembling, Proc. R. Soc. B: Biol. Sci., 280 (1770) (2013), p. 20131680 http://dx.doi.org/10.1098/rspb.2013.1680)

この研究により感覚の最小単位を探求したり、慢性の痺れや麻痺を治療する医薬品を探索する研究の道が開けました。また「旨味」に加えて新しい味覚が定義される可能性もあります。とくに従来の鎮痛剤や麻酔が効きにくい慢性や麻痺性の疼痛の治療の糸口が見つかったのは大きな前進です。今後この分野の研究が進むと、いずれ新しいアプローチで痛みを改善する医薬品が生まれるかもしれません。

『紅油燃麵』は台北の某有名小籠包のレストランでも食べられます。麺さえ茹でてあれば1分もかからずに作れますので、ぜひ挑戦してみてください。それではレシピです。


 
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