観世音霊籤第十六首 - 第二十首

観世音霊籤百首

第十六首 中上

攢眉思慮暫時開
咫尺雲開見日來
宛如汙泥中片玉
良工一舉出塵埃

意訳:
攢眉思慮暫時開
混迷の時はしばらくおちつくだろう。

咫尺雲開見日來
曇り空からも光が差す。

宛如汙泥中片玉
泥の中から宝の原石を見つけ出したら、

良工一舉出塵埃
専門家に任せて磨いてもらうことだ。

説明:
一時の安定や希望を示唆する籤です。
現状を打ち破るためのアイテムや機会が目の前に現れるかもしれません。
しかしこの安定や希望は一時的なもなので、自分で何とかしようとせず手に入れたものは専門家に委託して活用してもらいましょう。

故事:
明神宗要還活海瑞
葉夢熊朝帝



第十七首 中

莫聽閑言與是非
晨昏只好念阿彌
若將妄語為真實
畫餅如何療得飢

意訳:
莫聽閑言與是非
人の言うことに耳を貸すべきではない。

晨昏只好念阿彌
ただ朝晩に念仏を唱えるべし。

若將妄語為真實
もし妄言が現実になったとしても、

畫餅如何療得飢
それは絵に描いたもちに過ぎないのだから。

説明:
他人が何を言おうが、たとえそれが現実の物になろうがあなたには何の関係も有りません。
あなたが今できることは朝晩にただ念仏を唱えることだけです。
見ざる聞かざるで、やるべきことだけを淡々と行いましょう。

故事:
李斯遺藥殺韓非
曹操話梅止渴



第十八首 上上

金烏西墜兔東臨
日夜循環恒古今
僧道得之無不利
工商農士各開心

意訳:
金烏西墜兔東臨
日が沈み、月が昇る。

日夜循環恒古今
古来よりこれを毎日繰り返すのだ。

僧道得之無不利
修行を行う者が道を開き、

工商農士各開心
各業者は満足するだろう。

説明:
金鳥(太陽)と兔(月)が交替するという内容です。
今現在絶頂にあるものに陰りが見え始め、
今まで修行や徳を積んできた「日陰者」、「裏方」の時代がやってくると言っています。
これまで影でがんばってきたあなたがついに光り輝く時が来たという希望に満ちたあたり籤です。

故事:
鬼谷子演課
曹國舅為仙




第十九首 中

急水灘頭放艇時
狂風作浪欲何為
待他浪靜風停後
穩載船歸過不危

意訳:
急水灘頭放艇時
今は水の流れが速く船を出すときではない。

狂風作浪欲何為
何を考えるにしても今の混乱が過ぎてからだ。

待他浪靜風停後
まずは嵐が過ぎるのをただただ待つべし。

穩載船歸過不危
荷を積んだ船は波が穏やかなときに出港するものだ。

説明:
全ての物事には相応の時というものがあります。
今は外海が混乱しているため、出航の時期ではないといっています。
今何かを行ってもけっして上手く行きません。
嵐は必ず去ります。おとなしく時期を待ちましょう。

故事:
揚雄仕新為莽大夫
子儀封王



第二十首 上上

當春久雨喜初晴
玉兔金烏漸漸明
舊事已成新事遂
看看一跳入蓬瀛

意訳:
當春久雨喜初晴
長かった春の雨は止み、晴れ間がのぞくだろう。

玉兔金烏漸漸明
物事の区別がだんだんとはっきりしてくるだろう。

舊事已成新事遂
過去は消え去り、新しい事物が次々とやってくる。

看看一跳入蓬瀛
最高の舞台へ飛び出そう。

説明:
梅雨が明けて初夏の太陽が降り注ぐようなさわやかなあたり籤です。
過去に何があったかはもう関係ありません、新しい楽しいことが次から次へとやってきます。
Yes、No、善悪、白黒の分別もはっきりしてきます。
何も恐れることはありません。
今こそ目の前にあるチャンスを掴みましょう。

故事:
蘇武援官典屬國
姜太公遇文王

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