女貞子 (じょていし、Nǚ Zhēn Zǐ)
英名
Fructus Ligustri Lucidi
説明
最初の記載は《神農本草経》で女貞実の名で「味苦、平。主補中、安五臟、養精神、除百疾。久服、肥健、輕身、不老。生山谷。《名醫》曰︰生武陵、立冬採。案︰《説文》云︰楨、剛木也。《東山經》云︰太山上多楨木。郭璞云︰女楨也、葉冬不凋。《毛詩》云︰南山有杞。陸璣云︰木杞、其樹如樗(陳藏器作栗)、一名狗骨、理白滑、其子為木虻子、可合藥、《司馬相如賦》有女貞。師古曰︰女貞樹、冬夏常青、未嘗凋落、苦有節操、故以名為焉。陳藏器云︰冬青也。 」と記載されている。非常に壮健な植物であり、世界中で街路樹や公園樹として使われる。
厳しい冬にも青い葉をつけ、貞淑な女性の象徴とされたことからこの名がある。
起源
女貞子の始載は《神農本草経》。モクレン科トウネズミモチ Ligstrum lucidum Ait. の果実を蒸すか茹でるかした後乾燥させたもの。
別名
女貞実、冬青子、爆格蚤、白蜡樹子、鼠梓子など
性味
甘、苦、涼
《神農本草経》:“味苦、平。”
《名医別録》:“甘、無毒。”
《本草従新》:“甘、苦、涼。”
帰経
帰肝、腎経。
《本草経疏》:“入足少陰経。”
《本草再新》:“入肝、肺、腎三経。”
中医における効能
補肝益腎、清熱明目
配合応用
- 女貞子は肝腎の陰気をよく補い、清補の品である。
- 肝腎陰虚が頭昏目眩、腰膝痠軟、鬚髪早白などを引き起こしているものを治す。
- 女貞子の作用は緩和であり、長期服用しても問題ない。
- 単品を酒に浸けて用いる。
- 補肝腎の効果を高めるため、墨旱蓮と配合した二至丸《医方集解》。
- 二至丸
補腎
補腰膝、壯筋骨、強陰腎、烏髭髮。價廉而功大。 冬青子(即女貞實。冬至日采。不拘多少、陰乾、蜜酒拌蒸、過一夜、粗袋擦去皮、曬乾為末、瓦瓶收貯。或先熬乾、旱蓮膏旋配用) 旱蓮草(夏至日采、不拘多少、搗汁熬膏、 和前藥為為丸)。臨臥酒服。一方加桑椹乾為丸、或桑椹熬膏和入。 此足少陰藥也。女貞甘平、少陰之精、隆冬不凋、其色青黑、益肝補腎。旱蓮甘寒、汁黑入腎補精、故能益下而榮上、強陰而黑髮也。(李時珍曰:女貞上品炒藥、古方罕用、何哉?) - 速攻を求める場合は、上の配合に生地黄、熟地黄、黄精、莬絲子、桑椹などを配合して効果を高める。
- 女貞子は肝腎の陰気をよく補い、肝腎の陰を清補し、中を滋補し、苦泄涼清の効果がある。
- 陰虚が内熱を生み、潮熱、心煩などに至るものを治す。
- 単独で用いる。
- 単独では効果が弱い場合、滋陰退虚熱の効果がある生地黄、熟地黄、地骨皮、白薇、青蒿などと配合して用いる。
- 肝は竅目を開き、目は血を受けて能く視る。
- 肝腎陰虚、精血虧乏し、視力が減弱或いは目暗不明などを治す。
- 補肝腎明目の効果のある熟地黄、枸杞子、莬絲子、楮実子、覆盆子などと配合して用いる。
- 単独では効果が弱い場合、滋陰退虚熱の効果がある生地黄、熟地黄、地骨皮、白薇、青蒿などと用いる。
- 眼薬として用いる。
- 視神経炎に用いる。
- 草決明、青葙子と配合し視神経炎を治す。《浙江民間常用草薬》
- 女貞
應用
2.視神經炎:果實、草決明、青葙子各一兩、水煎服。 - 点眼薬として風熱赤眼を治す。
- すりつぶして軟膏状にし、清潔な瓶に入れて蓋をし、地中に7日埋めておく。これを毎日点眼する。《済急仙方》
成分
果実には、
トリテルペノイド:Oleanolic acid, acetyloleanolic acid, ursolic acid, acetyl ursolic acidなど。
アルコール類:p-hydrocyphenethyl alcohol, 3, 4-dihydroxyphenethyl alcohol, p-hydroxyphenethyl-β-D-glucoside, 3, 4-dihydroxyphenethyl-β-D-glucoside, aceteoside, 10-hydroxy ligusteroside, nuezhenide, oleuropein, 10-hydroxy oleuropein, oleoside dimethylester, ligustroside, lucidumoside A, B, C, D, isonuezhenide, specnuezhenide, nuezhengalaside, nuezhenidic acid, neonuezhenide, ligustrosidic acid, oleuropeinic acid など。
イソフラボノイド:eriodictyol, taxifolin, quercetin, cosmosiin など。
脂肪酸類:palmitic acid, stearic acid, oleic acid, linolenic acid など。
各種多糖類。
揮発油類:thioketone, 2-ethoxypaopane, 1-methyl-1-propyl hydrazine, 4-aceteyloxy-2-butanone, 2-ethoxy-butane など。
種子には、
トリテルペノイド:ligusterin, 19α-hydroxy-3-acetylursolic acid, sodium oleanolate, betulin, dammar-24-ene-3β-acetate-20S-ol など。
揮発油類:α, β-pinene, limonene, 4-terpineol, eugenol など。
各種配糖体:8-epikingiside, cosmossin-7-O-β-D-glucoside, p-hydroxyphenethyl-β-D-glucoside, p-hydroxyphenetyl-α-D-glucoside, salidroside など。
各種多糖類:tormentic acid などを含む。
抗がん作用
抗がん作用の本体は白花蛇舌草や半枝蓮などと同じくトリテルペノイドなどであるといわれている。
多数の抗がん作用がある。
臨床では胃がん、肝がん、腎盂がん、膀胱がん、喉がん、脳腫瘍などで肝腎陽虚の者に用いる。
- 胃がん
党参15g、枸杞子15g、女貞子15g、白朮9g、莬絲子9g、補骨脂9gをを毎日1剤、煎じて2回に分けて服用する。《抗癌中薬一千方》 - 肝がん
生晒参5g(或党参12g)、炙黄蓍15g、女貞子12g、夏枯草10g、白花蛇舌草30g、石見穿30g、水紅花子10g、赤芍10g、莪朮10g、姜黄10g、甘草6gを毎日1剤、煎じて服用する。《中医雑誌、1989、(7):45》 - 腎盂がん
生地黄、熟地黄各12g、女貞子15g、枸杞子10g、補骨脂10g、生黄蓍30g、白朮10g、雲苓10g、太子参20g、海金沙15g、瞿麦20g、土茯苓20g、半枝蓮30gを一日1剤、水で煎じて長期にわたり服用する。《中医腫瘤学》 - 膀胱がん
党参15g、黄蓍30g、女貞子30g、桑寄生30g、白花蛇舌草30gを、水で煎じて服用する。《解放軍総医院方》 - 喉がん
女貞子、太子参、生地黄各15g、沙参、丹皮、旱蓮草、白芍各10g、冬虫夏草、甘草、川貝各5g、木蝴蝶3g、青果適量(単独で喉に含む)を、水で煎じて服用する。《抗癌植物薬及其験方》 - 脳腫瘍
女貞子、何首烏、生地黄各15g、丹参、旱蓮草、旋覆花、竹茹、天葵子、紫草、牛膝各15g、白芍12g、生赭石30g(先に煎じる)、珍珠20g(先に煎じる)、陳皮5g、蜈蚣1条、焙蛇蛻3g、黄連3gを、水で煎じ、別にステンレスの鍋で灶心土を高温に熱し、黄連を浸した水を加えたもので服用する。《抗癌植物薬及其験方》
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