観世音霊籤第六十六首 - 第七十首

観世音霊籤百首

第六十六首 

路險馬行人去遠
失群羊困虎相當
危灘船過風翻浪
春暮花殘天降霜

意訳:
路險馬行人去遠
馬とも遠く離れ危険な道を行く。

失群羊困虎相當
群れから逸れた羊が狼に出会うかのようだ。

危灘船過風翻浪
船が嵐の中を進むようにも危ない。

春暮花殘天降霜
日が暮れて花も枯れ、急に霜が降りてくるようだ。

説明:
味方も居らず、孤独に危険な道を行くことを暗示する籤です。
孤独に危険な道を行くにもかかわらず、天すらも味方してくれません。
状況はこれからも悪くなるばかりです。
腹をくくって耐え抜きましょう。

故事:
楚霸王陰陵失道



第六十七首 上上
一條金秤等君情
無增無減無重輕
為是平生心正直
文章不識義皆明

意訳:
一條金秤等君情
金の重さと人の情はよく似ている。

無增無減無重輕
増えることも減ることも、重くなることも軽くなることもないのだ。

為是平生心正直
生涯変わらず正直に生きよ。

文章不識義皆明
これはたとえ言葉を知らなくても分かる自明の理である。

説明:
生涯を通して正直でいる事の真理を金の重さになぞらえた籤です。
黙々と仕事をし、黙々と善行を積みましょう。
結果としてそれが物事を成就する秘訣となります。
たとえ言葉を持たないものであっても正直でいることが正しいことは皆知っているのです。
情動や色欲に負けず中道を貫きましょう

故事:
管仲相齊
金精試竇兒


第六十八首 上上
門庭清吉夢禎祥
積善于門大吉昌
訟理婚成蠶又熟
病逢良藥得安康

意訳:
門庭清吉夢禎祥
昔行った善行が、喜慶となって返ってくる。

積善于門大吉昌
善行によって門を作り、それを通って大吉がやってくるのだ。

訟理婚成蠶又熟
訴訟は理を得、結婚は成功し、商業はますます発展する。

病逢良藥得安康
よい薬と出会い病も克服できるだろう。

説明:
まさに「情けは人のためならず」、今までの行いが報われるときが来ました。
今まで徳を積み、作り上げた善行の門より多くの吉祥が訪れることを暗示するあたり籤です。
結婚、商業は成功し、病気はよく効く薬に出会えることでしょう。
訴訟は理を得るとありますが、これは法に照らして正しい方が報われるという意味です。
あなたが善しい訴えを行っているなら、恐れることはありません。

故事:
李吉甫三代為相
郭汾陽祝壽


第六十九首 中上

冬來嶺上一枝梅
葉落枯枝總不摧
探得陽春消息近
依然還我做花魁

意訳:
冬來嶺上一枝梅
冬の山中に一本の梅の木がある。

葉落枯枝總不摧
葉は落ち、枝にも力がない。

探得陽春消息近
しかし春が近づき暖かくなるにつれ、

依然還我做花魁
見事な花を再び咲かせることだろう。

説明:
一見死に絶えたように見えるかもしれませんが、その内側には生命エネルギーがあふれています。
今は駄目でも再び花開くことを暗示する籤です。
もう一度チャンスは訪れます。
その時にこそ誰にも真似できない最高の花を咲かせるのです。

故事:
程嬰匿孤存趙
梅開二度


第七十首 

朝朝役役恰如蜂
飛來飛去西復東
春暮花殘無覔處
此身不戀舊叢中

意訳:
朝朝役役恰如蜂
働き蜂のようにあちこち飛び回る。

飛來飛去西復東
行っては戻り、戻っては行き、休む間もない。

春暮花殘無覔處
しかし春はもう過ぎてしまったのだ。

此身不戀舊叢中
花咲く頃を思い出しても、もう遅い。

説明:
観音籤では珍しい恋愛に関する籤です。
もちろんその他の状況にも適用できます。
そこら中に花が咲き乱れていたことを思い出し、働き蜂は蜜を求めてあちこちを飛び回ります。
しかし実際には春はもう過ぎてしまったのです。
花は落ち、あなたの苦労も報われることはありません。
いまの苦労が徒労であると早く気づきましょう。

故事:
諸葛瑾與關公說親
李密反唐

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