2016年1月31日日曜日

XO醤|XO醤

難易度: 調理時間:下準備+2時間
広東料理には欠かせない調味料『XO醤|XO醤』を自作してみましょう。日本で手に入る材料で作るオリジナルの『XO醤』のレシピを紹介します。干し貝柱、干しエビをベースにオリーブオイルを使って作ります。

過去に紹介した同名料理のレシピはこちら

いまでは日本でもすっかり定着した『XO醤』。実は材料さえあれば家庭で自作できます。

『XO醤』のXOとは高級ブランデーなどに使われる「eXtra Old」から取られています。ただエクストラオールドが意味する長期熟成の意味ではなく、単に高級感を表す為に使われているだけです。

1980年代という割と最近に香港で生まれた調味料ですが、その開発者には諸説あります。当時の香港は魔都と呼ばれていただけあって、料理の裏の世界が垣間見えます(笑)。

一般的には香港ペニシュラホテルの広東料理レストラン「嘉麟樓」の主任料理人だった許成氏が、ホテル独自のシュリンプペーストに改良を加えて創作したものだといわれています。しかしシュリンプペーストとXO醤は全く別物といって良いほどの違いがあり、この説には長年疑問符が付けられていました。

近年(2010年)香港のテレビ局による調査で、XO 醤は香港の有名な料理人である黃永幟氏が開発したものであると報道されました。これに対して本人からのコメントや別ホテルからの抗議はなく、香港料理界は黙認したと考えられています。

現在でもそうですが、本場香港のXO醤はホテルやレストランによって材料も製法も異なります。当時の香港は各ホテルが様々な新料理を創作しては、他のホテルがそれを改良して発表するということが当たり前だったので、XO 醤もそういう過程の中で生まれてきたものなのでしょう。

台湾でも様々な有名レストランチェーンがオリジナルのXO醤を売っています。どうせ同じ乾物で作るのですから『佛跳牆』の材料で作った『ぶっとびXO醤』を試作してみても面白そうです。材料が揃えば自作もやぶさかではありません。 

2016年1月30日土曜日

醋溜土豆櫻花蝦|ジャガイモと干しエビのサンラー炒め

難易度:☆ 調理時間:30分以内
食欲をそそるおかず料理『醋溜土豆櫻花蝦|ジャガイモと干しエビのサンラー炒め』のレシピを紹介します。細切りにしたジャガイモとピーマン、トウガラシに干しエビを絡め、酢とラー油で味付けした料理です。

中国ではジャガイモのことを「土豆」、台湾では「馬鈴薯」と表記します。また台湾では「土豆」はラッカセイ、ピーナッツのことを指すので注意しましょう。ただし台湾で発表されたレシピでも料理名に土豆をつかうジャガイモ料理が多数あるので注意しましょう。中国北方の料理をアレンジしたものに多いようです。

ジャガイモのイモ部分は植物学的には地下茎(塊茎)といわれる部位で、"茎"が変化したものです。サツマイモは根の変化した塊根という部分が食用で、同じイモ類でも植物学的な部位が異なります。

茎と根の区別はちょっと難しいのですが、日に当てると緑色になる(葉緑素ができる)ものが茎、高等植物では細かい根(側根)を生じるのが根です。ジャガイモは日に当てておくと緑色になりますし、細かな根も直接生じないので茎であることが分かります。対してサツマイモは日に当てておいても緑色にならず、更にサツマイモからは直接細かい側根が伸びてくることから根であることが分かります。食べている野菜が植物のどの部位なのかわかるようになれば、調理も食事も楽しくなるかもしれません。

ダイコンの大部分は根ですが、葉っぱとの付け根、ちょっとだけ青みを帯びる部分が茎になります。判りにくい野菜も多いので、そういうのはうんちくとして丸覚えしてしまいましょう。ではタマネギ、レンコン、ショウガはそれぞれ茎と根のどちらでしょうか?自分で調べて答えに悶々としてみてください。

それではレシピです。


2016年1月29日金曜日

蒜香魚片|白身魚の唐揚げ

難易度:☆ 調理時間:30分以内
ニンニクを利かせた魚の唐揚げ『蒜香魚片|白身魚の唐揚げ』のレシピを紹介します。片栗粉の衣をつけて揚げた白身魚をニンニクの香りたっぷりの調味料に絡めて作ります。冷めてもおいしいので弁当のおかずにも良さそうです。

記事は後日!

2016年1月28日木曜日

桂花南瓜|カボチャの甘露蒸桂花風味づけ

難易度:☆ 調理時間:30分以内
ギンモクセイの香りが香る『桂花南瓜|カボチャの甘露蒸桂花風味づけ』のレシピを紹介します。砂糖と蜂蜜をまぶしたカボチャに桂花(ギンモクセイの花)の香りを移した料理です。カボチャと蜂蜜、そしてギンモクセイの甘い香りが広がります。

ギンモクセイはいわゆるモクセイ(木犀)のことで、中国語では桂花、学名を Osmanthus fragrans と言います。キンモクセイは同じ植物の変種(学名は O. f. var. aurantiacus)です。普通モクセイといった場合は品種ギンモクセイ(O. f. var. fragrans)を指します。

中国にも金桂、銀桂などという変種があるのですが、日本のキンモクセイ、ギンモクセイとは対応していないので注意が必要です。


中国では古くからお酒や料理の香り付けに用いられており、台湾でも良く使われる食材です。ただし市販の桂花は栽培時に高濃度の農薬を使うことが問題視されており、大量の摂取は避けたほうがよいでしょう。料理の香り付けに使うくらいなら全く問題はありませんが、腎臓や肝臓に問題がある方は避けたほうがよいかも知れません。台湾で使われる桂花は輸入販売時に政府機関の農薬チェックを通過しています。全数検査ではないので過信は禁物ですが多少は安心かと。

今回はそんな桂花で香りをつけたカボチャ料理です。桂花の代わりに好みのハーブを使って作っても良さそうです。



2016年1月27日水曜日

櫻花蘆筍|サクラエビとアスパラ炒め

難易度:☆ 調理時間:30分以内
和風中華『櫻花蘆筍|サクラエビとアスパラ炒め』のレシピを紹介します。サクラエビとアスパラガスを醤油でいためた和風中華料理です。ゴマ油を抜けばそのまま和食として出せそうです。

サクラエビは中国名を正櫻蝦といいます。台湾では櫻花蝦と呼ばれることのほうがおおく、台湾語で花殼仔とも呼ばれます。深海エビの一種なので普通の方法では漁獲できず、数十年前までは日本の特産でしたが、近年台湾でも漁獲されるようになりました。

台湾の南端では漁師らに「東港三寶(東港の三つの宝)」と呼ばれる高級魚介類があります。黒マグロ(黑鮪魚)、カラスミ(油魚子、アブラソコムツの魚卵)、そしてこのサクラエビの三種を指し、どれも高級食材として漁師にも消費者にも人気があります。この三種は台湾を代表する高級魚介類なのですが…、ほとんどが日本へ輸出されてしまうため(カラスミ以外)は台湾では余り食べられません。なんでしょう…このもやもやする気持ちは…(笑)。

台湾ではほとんどが干しエビの形で出回ります。台湾長期滞在時にホテルでカップ麺を食べるときなどに加えてみてはいかがでしょうか?

2016年1月26日火曜日

紫米漿|紫米ミルク

難易度:☆ 調理時間:下準備 + 30分以内
話題のライスミルクを紫米と胡麻を使ってより健康的に作りましょう。『紫米漿|紫米ミルク 』のレシピを紹介します。

ライスミルクは穀物ミルクの一種で、米を水とともにすり潰して作ります。もともと牛乳を飲めない人(乳糖消化不全やベジタリアンなど)向けに世界各地で飲まれていましたが、健康志向の高まりもあって普通の人にも人気が高まっています。

台湾など中国南部では(米が豊富なこともあって)中世から飲まれていました。普通は玄米(台湾では普通の白米)を使ってピーナッツ色のライスミルクを作りますが、今回は紫米と胡麻を使って黒いライスミルクを作ります。紫米はもち米なので腹持ちがよく、胡麻のセサミンもたっぷりで普通のライスミルクよりもヘルシーです。

米で作ったライスミルクが有名ですが、その他の堅果類でも様々な『穀物ミルク』が作れます。レシピの分量比率は他の穀類でもほとんど変りません。

穀物:水 = 1:10

を目安に作りましょう。

ピーナッツ、ダイズなどの豆類、クルミ、カシューナッツ、ヘーゼルナッツなどの堅果類、オオムギ、コムギ、トウモロコシなど穀類、松の実、カボチャ、ヒマワリ、ゴマなどの種子類など様々な材料で作れます。普通はいくつかの材料を組み合わせて作るので、オリジナルの雑穀ミルクを毎日の習慣にしてみてもよいですね。台湾でも朝ご飯代わりによく飲まれます。


生で食べられないものは加熱するのをお忘れなく!

それではレシピです。



2016年1月25日月曜日

糟醉雞片|鶏むね肉の甘酒サラダ

難易度:☆ 調理時間:30分以内
付け出しなどにもってこいの中華小皿料理『糟醉雞片|鶏むね肉の甘酒サラダ』のレシピを紹介します。鶏むね肉を甘酒ベースのソースに絡めた料理です。一晩冷蔵庫で冷やしてから食べると、よりおいしさが増します。

ニワトリを含む鳥類が恐竜から進化したという学説は、近年の研究でほぼ確定的になりつつあります。恐竜といえばティラノサウルスやトリケラトプスが有名ですが、これらを中国語で何というのか調べてみました。

まずは恐竜の代名詞ともいえるティラノサウルス。中生代白亜紀末に活躍(?)しました。学名は Tyrannosaurus rex 、いわゆるT-REX というやつです。中文名は暴龍、別名を霸王龍ともいいます。学名のTyranno が暴君、saurusがトカゲ、rex が王の意味です。別名の霸王龍のほうが意味的にはしっくり来ますね。

続いてトリケラトプス。ティラノサウルスと同時期に同じ場所(北アメリカ)に存在した恐竜です。Triceratops prorsus T. horridus の二種を総称してトリケラトプスといいます。中文名は三角龍で、学名と同じ意味です。この時代の北アメリカの草食恐竜のほとんど全ての種はこのトリケラトプスであったといわれています。

ステゴサウルスはジュラ紀から白亜紀前期にいた恐竜で、アメリカの Stegosaurus armatusS. mjosi と中国 S. homeheni が知られています。Stegoはラテン語で屋根の意味です。ゴジラみたいな背びれが有名な恐竜です。中国語では劍龍、背中のヒレを剣に見立てています。

巨大な体が有名なブラキオサウルス(またはアパトサウルス)はステゴサウルスと同時期に現在のユーラシア大陸(大陸移動があるので現在とは全く形が違います)にあたる場所にいた草食恐竜です。Brachiosaurus 属の種を総称して呼びます。学名は前足+トカゲの意味で、中文名も腕龍。その他の爬虫類と異なり、前足が後ろ足よりも長いことから名付けられました。歴史上存在したすべての陸上動物の中で最大を誇ります。

多くの人がよく知る翼竜プテラノドンは Pteranodon属の恐竜で、学名は古代ギリシャ語 Pteron(翼) + an(否定詞) + odous(歯)に由来します。中文の無齒翼龍というのが特徴をよく表しています。活躍したのは白亜紀後期、同時期に多くの翼竜が空を飛びまわっていました。昆虫以外で空に生活の場を広げた最初期の動物です。

いまは滅びてしまった動物たちに思いを馳せることができるのも人類の特権です。恐竜復活の研究も行われているようなので、いつか恐竜の肉を現代の料理人が調理する…という時代が来るのかもしれません。



2016年1月24日日曜日

咕咾肉|酢豚

難易度:☆ 調理時間:
日本でもおなじみ『酢豚』のオリジナルともいわれる中華料理『咕咾肉|酢豚』のレシピを紹介します。日本のものとほとんど作り方は変りません。老若男女誰からも好かれる中華のひとつです。晩ご飯のレパートリーに入れておきましょう。

過去に紹介した同名料理はこちら

料理名にある「咕咾」とは中国語で喉を鳴らす時の音を表す擬声語です。日本語だと「ゴクリ」、「ゴクゴク」、「ゴックン」みたいな単語です。台湾人も時々使います。

台湾語に擬声語が豊富なこともあって、台湾人の使う中国語は中国人のものよりも擬声語を多用する傾向 があります。日本統治時代に日本語の教育を受けたことがあることも影響しているのかもしれません。

筆者の聞いたことがある範囲だけでも、「ピリパラピリパラ」、「キャ」 、「プルル」、「ババババ」、「シューン」などなど。何の音や様子を表しているかも文脈により様々で、日本語の感覚では思いつかないような面白いものがたくさんあります。慣れてくるとオリジナルの擬声語や擬態語を使って台湾人と音の持つ"ニュアンス"だけで会話することも可能です(笑)。そういえばもっちりとした食感を表す「QQ」も台湾で生まれた擬態語の一つでした。よく使うので、台湾を訪れる際は覚えておきましょう。

こういった擬声、擬態語は専門的にはオノマトペというのですが、これらが生まれるのはその言語を使う高IQの人による「共感覚」が元になっているという説があります。味覚や視覚を言語という別の感覚に置き換えて表現しているわけです。数字を見ると形が浮かぶとか、音を聞くと色が見えるとかのアレです。これが言語に対して起きると新しいオノマトペが生まれるということらしいです。なかなか興味深いですね。少々古い論文ですが、興味がある人はこの辺(Williams, J.M (1976) “Synaesthetic adjectibes: A possible law of semantic Change,” Language52, pp.461-478.)から読んでみましょう。

それではレシピです。



2016年1月23日土曜日

子薑牛肉|牛肉のショウガ漬け炒め

難易度:☆ 調理時間:半日
ショウガの香りたっぷりの『子薑牛肉|牛肉のショウガ漬け炒め』のレシピを紹介します。生姜で漬け込んだ牛肉を炒め、生姜の千切りを添えて食べます。食欲増進間違いなしの絶品料理です。冷めてもおいしいのでお弁当のおかずにもどうぞ。

台湾のスーパーで売られているショウガにはいくつか種類があります。

まずは生姜(薑)。普通に日本で使われるショウガと同じもので、地下茎が幼いうちに掘り出したものを指します。赤紫色の鱗片が残っていることも。普通ショウガは体を温める作用がありますが、若いものはわずかな涼性をもち、清肺の作用を持つとされます。

続いて粉薑。上の生姜をもう少し生長させたもので、外皮が黄土色になったものを指します。別名を肉姜ともいい、この辺までは日本で普通にショウガとして売られているものです。温性があり、食欲増進を目的に薬膳にも使われます。

老薑は、粉薑を更に成長させたもので、内部が幾分繊維化しています。ショウガのなかで一番辛い時期で、外皮も土色に灰色が混ざります。温性も強くなり、潤肺の効能が出てきます。

そして薑母。薑母はショウガを翌年以降まで土の中で成長させたもので、枝分かれした若い地下茎(子薑)を除いた部分です。『薑母鴨』などの料理に使われます。活血化瘀の効能があり、ものによってはクルクミンを少量含むことも。COX-2を阻害する作用を持つものもあります。

台湾ではこのように成長度合いにあわせて、何種類もの生姜を使い分けています。それぞれ外見だけでなく味も大分違うので、機会があれば食べ比べてみましょう。今回の料理では薑母から枝分かれした子薑を使って作りますが、日本で再現するなら普通のショウガでつくりましょう。



2016年1月22日金曜日

醋溜雞片|鶏肉の甘酢炒め

難易度:☆ 調理時間:30分以内
弱った胃腸にやさしく活を入れる『醋溜雞片|鶏肉の甘酢炒め』のレシピを紹介します。鶏肉と野菜を酢と砂糖で炒めたさっぱりした料理です。とても簡単に作れるのでお試しあれ。

一般的な食酢はアルコールを酢酸菌と呼ばれる特殊な細菌を使って酢酸発酵することで作られます。代表的な菌は Acetobacter aceti  など。しかしほとんどの酢酸菌は、クエン酸回路を持つため酢酸の生成で発酵が止まらず、エタノールを二酸化発酵まで分解してしまいます。そのため酢の生成には酢酸発酵を行い、かつクエン酸回路を持たない特殊な菌株を用いています。Acetobacter aceti   が命名されたのは1898年のことですが、2000年代に入ってからも世界の伝統的な酢から新種のAcetobacter属菌が多数見つかっています。地域ごとに種類の違う酢が製造されている中国で本格的に探したらもっと色々見つかりそうですね。

もともと自然界に存在する菌ですが、それを選別して食品製造に数千年も用いてきた人類の知恵には驚かされます。


2016年1月21日木曜日

中式牛排|中華風ステーキ

難易度:☆ 調理時間:1時間以内
中華風にアレンジされた西洋料理『中式牛排|中華風ステーキ』のレシピを紹介します。日本でも和風にアレンジされたステーキがあるように、中国にも現地風にアレンジされたステーキがあります。今回はオーソドックスな『中華風ステーキ』です。ソースに豆板醤が少量入ります。

このレシピではソースには「A1ソース」という1824年にイギリスで開発されたソースを使っています。アメリカやヨーロッパ諸国では非常にポピュラーなソースで、日本では余りなじみがありませんが沖縄のステーキハウスなどには置いてあります。2014年まで"A.1. Steak Sauce"というのが正式名称でしたが、販売元のクラフトフードは真ん中の"Steak"を除くと宣言し、現在はただ"A.1. Sauce"と呼ばれます。

オリジナルのA1ソースが生まれたのは1824年、キングジョージ四世のシェフであったヘンダーソン・ウィリアム・ブランドという人によって開発されました。王がこのソースをいたく気に入り"A1"の名称を与えたと多くの人が信じているそうです。1831年から"王が名付けた"のキャッチコピーの元販売が開始されました。しかし当初販売していた会社は1850年に破産、販売の権利を得た会社が1873年にA1の名を商標登録し、1950年代までイギリスの工場でのみ生産されていました。

アメリカで商標登録されたのは1895年、1906年から輸入販売が始まりました。1931年はカナダにも伝わります。最初期は開発者のヘンダーソンが自らの会社で売っていましたが、その会社も倒産して買収、合併、また買収を繰り返し、現在はクラフトフーズが製造販売元となっています。

材料はトマト、レーズン、オレンジピューレ、コーンシロップ、ビネガー、ニンニク、タマネギに各種ハーブ、そして増粘材としてキサンタンガム。材料は百年近く変わっていません。

未経験の方は一度食べてみましょう。


A1ソースは「白蘭氏A1醤(汁)」の名で台湾・中国でも購入できます。そのままでもステーキに良く合うので、一本常備しておくのも良さそうです。


2016年1月20日水曜日

糖醋里肌|豚ロースの甘酢あんかけ

難易度:☆ 調理時間:30分以内
定番中華『糖醋里肌|豚ロースの甘酢あんかけ』のレシピを紹介します。揚げて火を通した豚ロース肉にケチャップベースの甘辛いソースを絡めて食べます。野菜も適量採れますし、白身魚などでも作れる応用の幅の広い料理です。ソースの比率も簡単で覚えやすい料理です。

中国には四大名酢と呼ばれる酢のブランドがあります。日本でもおなじみ江蘇省の「鎮江香醋」、山西省の「山西老陳醋」、福建省の「永春老醋」、四川省の「保寧醋」の四つがそれです。すべて黒酢に分類されます。

鎮江香醋はもち米を原料に一度酒を作った後、籾殻と酢酸菌を加えて3週間発酵させ、その後半年から5年ほど寝かせて作ります。籾殻が分解するときにできるアミノ酸による独特の香りと旨みが特徴です。日本では食材というより健康食品として知られており、大体どこの薬局でも手に入るかと。

山西老陳醋はモロコシを原料に、オオムギとエンドウから作った麹を大量に加えて作ります。発酵後にサンショウなどを加えて香りをつけながら酢化するのが特徴で、黒紫色の独特の風合いを持ちます。寒暖差の激しい野外で長年熟成させたものは極めて濃厚な風味があり、「天下第一酢」を自称します。

永春老醋はもち米をベースに、黒ゴマと福建名物の紅麹を加えて作ります。今でも宋代から変らぬ伝統の製法で作られ、防腐剤などの添加物を全く加えないのが特徴です。原料由来の発酵微生物が生の状態で豊富に含まれており、この点で他の酢と区別されます。天然製法ですがかなりの長期保存が可能だそうです。

保寧醋はもち米やトウモロコシを原料に、黄連、杜仲、白豆蔲、荊芥、客家など70種類近くの生薬を配合して作られる特殊な酢です。大量の生薬が配合されているため「薬酢」とも呼ばれます。赤紫色の美しい酢で、殺菌、風邪防止、開胃健脾、清心益肺、血圧効果、食欲増進など様々な効果を持ちます。

どれもおいしそう、何より体に良さそうです。 他にも中国各地にそれぞれの土地を代表する酢の産地があり、それぞれの伝統料理にも欠かせない調味料となっています。全部まとめて手に入れて飲み比べてみたいですね。

一口に酢といっても色々な作り方があり、味や風味も全く異なるようです。同じ料理をいろんな酢で作って食べ比べ、そんな贅沢な一日を過ごしてみるのはいかがでしょうか?


2016年1月19日火曜日

麻油松阪豬肉|ピートロのゴマ油炒め

難易度:☆ 調理時間:30分以内
台湾でも人気の家庭料理『麻油松阪豬肉|ピートロのゴマ油炒め』のレシピを紹介します。豚の頸肉(ピートロ)とありあわせの野菜で作るお手軽料理です。材料は好みでアレンジして作りましょう。

台湾でしばらく生活すると疑問に思うことの一つに「松阪豬肉」というものがあります。松阪牛じゃなくて?豚?と多くの日本人が感じることでしょう(笑)。これは台湾でもブランドとして知られる霜降り牛肉「松阪牛」にあやかって豚の霜降り部位であるネックを「松阪豬肉」と呼ぶようになったためです。台湾の「松阪豬肉」はブランド名ではなく部位名であることに注意しましょう。ただし台湾の(一人当たり)年間豚肉消費量は日本以上ですが、スーパーなどでは「松阪豬肉」を見かける機会がなかなかありません。日本で豚ネックが食べられるようになったのも2000年代に入ってからなので、台湾での流行もそれ以後でしょう。そのためある程度以上の年齢の台湾人は「松阪豬肉」の存在自体を知らない人も多く、食べたこともありません。そんな「松阪豬肉」未経験の台湾人を日本の焼肉店に連れて行き、ピートロを注文して食べさせると「これ何?豚?嘘だ!豚肉がこんなにおいしいわけない!」と驚かれます(笑)。台湾でもかなりの量の「松阪豬肉」が生産されていると思うのですが、時々見かける「松阪豬肉」の値段はキロ1000-1500元ほど。高いです。

台湾では「松阪豬肉」と呼ばれるネック肉ですが、あくまで俗称で正式な名称は豬頸肉で中国大陸部でもこちらの名称を使います。

豚肉の旨味の中心は脂です。今回の料理はその脂が肉にほど良く散らばった「松阪豬肉」を使った中華です。日本でもおいしく再現してみましょう。



2016年1月18日月曜日

心太軟|ナツメケーキ

難易度:☆ 調理時間:1時間以内
中国の伝統デザート『心太軟|ナツメケーキ』のレシピを紹介します。現代風にアレンジされえたものも数多く出回りますが、今回は古方に則ってナツメに米粉の生地を挟んだもののレシピを紹介します。古くは不老長寿の実とも言われたナツメの栄養をたっぷり取り入れましょう。

『心太軟』は伝統的なナツメを使ったデザートの名前ですが、その字義である「心(芯)がとろけるくらい軟らかい」から洋菓子『チョコレートフォンダン』の中国語名としても使われます。小型のチョコレートケーキの中からチョコレートが流れ出してくるアレです。今回紹介する『心太軟』とは同名の別物なので覚えておきましょう。

今回は台湾の選挙報道について紹介します。

今回の台湾総統選、立法委員選をはじめ、統一地方選などの重要な選挙では、各ケーブルテレビ局がこぞって開票の行方を実況します。ほとんど全ての投票所兼開票所にメディアのバイトが手配され、開票の途中経過と結果をテレビ局に伝えるのです。各局はその結果をリアルタイムで計算して報道している…はずなのですが、いつもいつもその途中経過には大きな疑問符がつきます。

どの選挙区を見ても「こんな接戦なの?」と思う数字が並ぶのです。

いくつか例を見てみましょう。どれも開票開始1時間半時点の報道画面です。









どうでしょう?こんなシーソーゲームを報道されたらテレビにかじりついてしまいます。が、これは視聴者をひきつけるためのテレビ局の巧妙なトリック。

桃園4、5、6選挙区では最終的にこの時点で得票率通り僅差で選挙が終わりましたが、その他極僅差の新竹県や北市(台北市)3、4、5では、最終的にかなりの得票差がついて終わりました。新竹県や北市5などは結果が逆転しています。特に注目どの高い選挙区の結果は途中まで僅差で、結果がめまぐるしく入れ替わり、最終的にどちらかが勝つという報道のされ方が多いようです。というか、必ずそうなります(笑)。
 
日本では各局独自に投票所で出口調査を行い、その結果から「当選確実」などの速報を出します。相当の接戦でもない限り、早目に選挙の結果が明らかになるので選挙速報の本来の仕事をしています。対して台湾は視聴者を以下に自社報道にひき付けるかというのが前提としてあるようで、結果として選挙に対する関心を高めています。ただどのチャンネルも同じ手法で速報を出しているので、結果としてザッピングしまくるということにもなるのですが(笑)。

開票後すぐに当選確実の報道が出て、事務所で喜ぶ様子やインタビューが流れたほうがよさそうな気もするのですが、台湾人には台湾式の報道があっているということなのでしょう。

新しい立法委員のスキャンダルや選挙の不正があったなかったという報道がぽちぽち出てくると思いますが、よほどのことがない限り選挙ネタは今回で終わりにしたいと思います。台湾全土を巻き込んだ4年に一度のお祭り騒ぎが終わりました。これからは普通の料理ブログに戻ります。

それではレシピです。


2016年1月17日日曜日

左公雞|ジェネラルツォーズチキン

難易度:☆ 調理時間:30分以内
日本でよりもアメリカで有名な中華料理『左公雞|ジェネラルツォーズチキン』のレシピを紹介します。もとは湖南料理とされる辛味と酸味のバランスが取れた見事な料理です。日本の家庭でも『唐揚げ』感覚で再現できますので、ぜひ挑戦してみてください。ご飯と合います!

『左公鶏』は別名を『左宗棠鶏』とも呼ばれ、アメリカで根強い人気のある料理です。それもそのはず、アメリカの海兵隊学校では食堂の定番メニューとなっており、軍人らにとっての「学食の味」という地位を得ているからのです。料理名の「左宗棠」は中国湖南省出身の実在の将軍の名前で、英語では『General Tso's chicken』などと表記されますが…左宗棠はこの料理と余り関係ないのだとか…。また湖南料理…とはされていますが、湖南出身の料理人が台湾で開発したという説もあり正直なところ名前の由来ははっきりとしていません。とてもおいしいので、ぜひ日本でも再現してみましょう。前に作った『自家製ラー油』も使えます。

というわけで、総統選挙が終わりました。大方の予想通り民進党の蔡英文候補が次期総統に確定し、立法委員も民進党が過半数を取りました。

選挙結果は
1.比例代表
 民進党18席 国民党11席 時代力量2席 親民党3席
2.小選挙区
 民進党49席 国民党20席 時代力量3席 親民党0席 無所属1席
3.原住民
 民進党1席 国民党4席 時代力量0席 親民党0席 無党団結聯盟1席
となり、合計で
 民進党68席
 国民党35席
 時代力量5席
 親民党3席
 無党団結聯盟1席
 無所属1席
となりました。

民進党は前回の40議席から大幅に議席を伸ばし、全113席の過半数をゲット。逆に国民党は前回の64席から大幅に数を減らし野党に転落しました。また2015年に結成されたばかりで今回初参戦の時代力量が5議席を獲得する大躍進、親民党は議席維持、無党団結聯盟は1議席、無所属が1議席という結果になりました。

民進党は1986年に国民党の独裁に反発する勢力が集まってできた台湾初の野党で、徐々に勢力を伸ばし、一度は陳水扁氏を総統の座につかせます。しかし彼の汚職により支持を失い、再び野党へ。国民党への不満が再び募っていたところに、2014年の統一地方選で圧勝、今回の選挙でも歴史的圧勝となり、党主蔡英文氏を総統につかせることになりました。民進党はもともと台湾の独立自治を掲げている政党で、一時はウルトラCの裏技(そのうち紹介するかも…)で台湾を独立させようともくろんだりもしていましたが、内外の環境変化によって現在は独立への態度を軟化させ「ひとまず現状維持」、「現状を変える場合は国民に問う」と至極全うな路線へ転換しています。

中国国民党は言わずもがなの外来政権で、もともと生粋の台湾人(日本統治を経験した内省人)にはあまり支持されていません。ただし大陸から渡ってきて現在の台湾の政府機能を数十年に渡って担ってきた実績(とそれを国民に浸透させる教育能力)があり、軍人や公務員、大企業などに強い基盤を持っていました。その分…汚職や悪政(圧政、誘拐、スパイなど)の実績も積み重なっており、叩けば埃の出る身…というか埃だらけの旧来政権でした。それでも何とか政権運営は行えていましたが、現職の馬英九総統が中国へ急接近、中華民国の独自性が脅かされると考えた民衆の支持を失い、また今回の選挙に当たって党内のゴタゴタが次から次に発生し大敗しました。とはいえ民進党の政策次第では次の選挙で息を吹き返す目もあるので、党内の結束を固めるのに尽力してほしいものです。国民党が絶対優勢の選挙区というのが台湾内にいくつかありますが、それ以外はほぼどこも辛勝でした。中南部での議席もことごとく失いましたし、今回獲得した北部の議席も0.3%差とかの僅差での勝利が目立ちました。今回新北市選挙区で民進党候補に議席を 奪われる展開が目立ちましたが、新北市市長の座を捨てて総統選に立候補した朱立倫氏がそのまま新北市で選挙の応援を行っていれば、もう3-4議席は維持で きていたのではないでしょうか…。満身創痍ですが、どこまで回復できるでしょうか。

今回第二野党となった新進気鋭の時代力量はそもそも馬英九総統の失政がなければ誕生しなかった政党です。2015年初頭に台湾のメタルバンド閃靈樂團のメインボーカル「Freddy」こと林昶佐氏や学生運動の裁判や企業汚職の告発などで活躍した台北大学の教授黃國昌氏が中心となって結成されました。党内各人がそれぞれの専門分野で「今のままでは台湾が危ない」という危機感と「台湾を救いたい」という目的を共有し、同じように感じる台湾国民から一定の支持を獲得することに成功しました。党員はもともとが法学や政治学、言論、ライブパフォーマンスのプロフェッショナルであり、一風変った選挙戦を行ったのも記憶に新しいところです。党内の意見が対立したときに、どれだけ結束を固められるかが今後の焦点でしょう。日本の小規模政党のように空中分解してしまわないことを祈ります。

親民党は国民党が分裂してできた政党で、小規模ですが強固な地盤を持ちます。国民党がいやになった国民党の政治家が国民党の票を奪う形で合流し、徐々に徐々に勢力を増している感があります。ただ国民党の二番煎じのイメージが強く、アンチ国民党派の支持が得られないため現状は国民党の基盤を切り崩すので精一杯です。 今回国民党が支持を失ったのと同じように議席を減らしましたが、もともと議席数が少ないのであまり印象は変りません。国民党内の不正を告発するなど、対立路線を明確にしたほうが票は伸びそうです。

最後に無党団結聯盟、今回は元歌手で原住民の高金素梅氏が当選しました。時代力量と同じく無党派の政治家が集まってできた党で、いわゆる中道政治を掲げています。台湾ではあまり成功しない政治理念ですが、全体的にうっすらと支持されているといった感じでしょうか。複数政党に順位を付けて投票できるようになると三番目か四番目あたりで票を集められそうです。

次回は台湾の選挙報道の面白い点について。選挙は終わりましたが、もうちょっとだけ時事ネタ続けてから本来の料理コラムに戻ります。

それではレシピです。


2016年1月16日土曜日

麻辣牛肉|牛筋のラー油和え

難易度:☆ 調理時間:2時間
ラー油を使った四川料理『麻辣牛肉|牛筋のラー油和え』のレシピを紹介します。じっくり煮こんで軟らかくした牛筋にラー油ベースのソースを絡めた料理です。濃い目の味付けでご飯のお供にも、またお酒のおつまみにもよさそうです。

市販のラー油でももちろん作れますが、前回の『自家製ラー油』を使って作ると更においしさアップ間違いなしです。

今日はもうおとなしく選挙の結果を見送ろうと思っていましたが、やはりただでは済みませんでした。政党得票率を左右するニュースが報道されました。

韓国のJYPという芸能事務所に所属するTWICEというガールズグループに周子瑜という台湾人の女の子がいます。13歳で韓国に渡り、厳しいダンスレッスンを重ねて昨年本格デビューしました。まだ16歳です。韓国のテレビでも「私は台湾人です」などと自己紹介しており特段問題はなかったのですが、昨日、選挙の前日に狙ったかのようにある事件が発生しました。

TWICEは1月6日に中国のテレビ局に招かれてライブパフォーマンスを行い、その時彼女が手にしていた台湾国旗が問題となりました。これに真っ先に飛びついたのが過去に台湾から中国に渡り、現在も芸能活動を行っている「黄安」という芸能人。台湾出身で中国で活動している芸能人が、同じように台湾出身で中国で活動する芸能人のパフォーマンスに文句をつけたのです。

これが発端となって中国では周子瑜に関する批判と擁護が交錯しいわゆる炎上状態となります。これを受けて中国のテレビ局はその後に予定されていたTWICEの公演を中止しましたが、なんとJYPへの出演料の返却はなし。JYP はこの事実を公表し日に油を注ぐ事態になりました。1月13日に黄安は台湾メディアのインタビューを受け、周子瑜に「一つの中国の原則(九二共識)を認識し、自身は中国人であると発表すると同時に謝罪すべき」との声明を発表します。同じ立場であるはずの台湾人が16歳という未成年に対して政治的に謝罪を要求するという前代未聞の珍事に台湾も中国も、そして韓国の世論もざわつきました。JYP は"자사 아티스트 쯔위 본인은 하나의 중국이란 원칙을 이해하고 존중한다。(自社のアーティスト周子瑜本人は一つの中国と原則を理解し、尊重する。)"という公式のアナウンスを出し、火消しに乗り出しまし、また周子瑜の公式プロフィールも「国籍:TAIWAN」とされていたものが「出生地:TAIWAN」に変更されました。まぁ韓国の芸能会社なので炎上商法はいつものことで、これでグループの知名度が上がれば儲けもんくらいに思ってそうです。

周子瑜はJYPの公式ページを通じ、謝罪と反省また、しばらく中国での活動を控えること、一つの中国の原則を今後も守っていく旨の声明を動画で発表し、すぐに世界中に拡散しました。黄安はすぐにこの動画を絶賛し、彼女を許すと共に、台湾と中国は一つの国家であることを強調したのです。もちろん台湾人からは非難轟々、台湾の韓国芸能界に対する失望も広がりましたが、それ以上に「いい大人が未成年に対して何やってんだ」という台湾と中国の政治温度の違いを浮かび上がらせ、台湾人であることのアイデンティティを強めてしまったのです。ちなみに蔡英文は「一つの中国の原則は政府として尊重しなければならないが、それにより個人が何らかの圧力を受けることがあってはならない」と、宋楚瑜は「この件に関する政府(国民党)の態度に怒りを覚える」などと表明しています。

また大きな問題となったのは事件中に国民党が公式ページで「周子瑜を支持する」と表明していたこと。「一つの中国の原則」は多くの台湾人が理解することですが、自身は中国人ではないと考える台湾人が大多数であり、なかには独立を望む声も少なからずあります。国民党はその機運を強めてしまい、自分たちの支持層を失ってしまいました。しかも選挙前日に。一部ではまるで選挙を狙ったかのようにおきたこの事件が国民党の陰謀(しかも大失敗)であるとささやかれています。また黄安は、彼らの送り込んだスパイであるとも(笑)。議席の一つ二つは飛んでいくことになりそうです。

開票まであと3時間。毎年どこかで開票作業中に問題(停電とか、票の書き換えとか)が発生するので、今回はそんなことなく進んで欲しいものです。ちなみに開票作業は不正を防ぐ為に市民が見に行くことができます。現在台湾在住で暇な方は開票作業を見に行ってみてはいかがでしょうか?

※追加ニュース
以前紹介した「台湾阿成」氏が投票に赴いたそうですが…、身分証を紛失したため投票が出来なかったそうです(笑)。


2016年1月15日金曜日

辣椒油|台湾自家製ラー油

難易度:☆ 調理時間:一瞬
台湾料理の辛味を付けるのによく使う『』のレシピを紹介します。日本で調理するならラー油や豆板醤などで代用できますが、ちょっと風味が違うので自作して冷蔵庫に入れておくと便利です。次回はこれを使ったピリ辛料理を作ってみましょう。

いよいよ明日が2016年台湾総統選の投票日です。蔡英文氏の勝利はほぼ確定していますので、今回は次期総統候補である蔡英文氏のプロフィールを紹介したいと思います。

蔡英文。1956年8月31日生まれ、台湾屏東県枋山郷生まれの客家人(とされていますが、出生は台北市中山区、戸籍が屏東らしいです)。台湾大学法律学士、アメリカコーネル大学で法律学修士、イギリスロンドンスクールオブエコノミクスで法律学の博士号を取得。台湾に戻ってから東呉大学と政治大学で法学の教授を務めました。専攻は国際貿易法と反トラスト法など、また教授在任中に中央銀行や行政院経済部「國際經濟組織」の首席法律顧問を勤め、台湾のWTO加盟などに長年尽力してきました。

李登輝政権時には中国(香港・アモイ)との直行便の周航を成し遂げ、両岸貿易を促進させる法整備に尽力しました。2004年に民進党から出馬して立法委員に、2006年の陳水扁政権時には行政院副院長と副首相となりますが、2007年に一度全ての政治職を辞し、数ヶ月の隠遁生活を故郷で送ります。2008年には民進党首席となり、2012年には総統選に出馬して馬英九と争い80万票の差で敗れました。これを受けて党主席を辞退しましたが、2014年に歴代最高得票で再び民進党主席となり今回の総統選挙に臨みます。

非常にクリーンなイメージの政治家で、その政治実績もさることながら「どれだけ叩いても埃が出ない」という清廉さが高く評価されています。政治家としてのカリスマ、リーダーシップはその他の民進党の政治家に一枚劣るのですが、ここ数年政治家(特に国民党)の汚職、裏金、企業との癒着の問題がこれでもかとニュースになクリーンな政治を求める世論が高まり、台湾人の求める理想の政治家像に合致した経歴も高支持に繋がっています。2014年の統一地方選で民進党が大勝利したのも評価のポイントで、百人規模の集団内で発揮する指導力は抜群のものがあるのでしょう。三国志なら中隊長くらいの位置で活躍しそうですね(笑)。

政策の柱は
 1.實現世代正義(世代正義の実現):若者の失業や創業困難などの解決、年金改革など
 2.改革政府效能(政府効能の改革):政府情報の公開、窓口の単一化、財政改善など
 3.啟動國會改革(国会改革の推進):議長の中立化、比例代表の議席増加など
 4.落實轉型正義(トランジショナルジャスティスの実施):原住民差別の撤廃、軍政時代の利権撤廃、228事件の解明など
 5.終結政黨惡鬥(政党闘争の終結):進歩大聯盟の結成、政党間対話の増加など
の五つです。

具体的な数値目標がほしいところですが、経済対策があまり入っていないのが珍しいですね。中国との関係は「現状維持」、「臨機応変」だそうで、この辺は他の政治家から批判されることも多いようです。

日本語の勉強歴や観光に来たこともあるそうで、割と親日家で通っています。主要な政策ではありませんが、日本との観光や文化交流を通じた関係強化もうたっています。ちなみに台湾の総統はなぜか(中国との関係で)日本を訪れることができないので、訪日して日本の首相や政治家と会談を行うことができません。総統就任後は外交ルートを通じた非公式の折衝が行われることに期待しましょう。

台湾初の女性総統が誕生した暁には、どのような政治が行われるのでしょうか?明日の結果を見守りましょう。



2016年1月14日木曜日

越式酸魚湯|ベトナム風魚スープ

難易度: 調理時間:30分以内
たまには台湾で定番の南洋料理から。『越式酸魚湯|ベトナム風魚スープ』のレシピを紹介します。白身魚とパイナップルなどをナンプラーとタマリンドベースのスープで煮込んだベトナム料理です。

四年ごとの台湾総統選挙、各政党ほぼ戦略が出尽くして選挙戦も落ち着いてきた感があります。選挙前の下馬評通り、民進党の蔡英文候補の勝利はほぼ確定的で思ったより選挙は盛り上がりに欠けました。

さて今回は選挙に関する経済学的な"数学的モデル"というものをいくつか紹介してみましょう。数学といっても使うのは小学校で習った加減乗除だけです。

まずは投票に関する行動モデルから。(本来は難しい専門用語を使いますが、適宜なじみのある単語に言い換えます。)

B = E[Ux] - E[Ey]  ……… (1)

政党XとYがあるとして、E[Ux]は政党Xが政権を取ったときのあなたへの利益、E[Uy]はYが勝ったときの利益だとします。B>0ならあなたはXに投票し、B<0ならYに投票します。記号は難しいですが、簡単にいえば「Xが勝ったときのウマミ」と「Yが勝ったときのウマミ」の差を比較して投票する、というだけです。ウマミの部分は立場によるので個人で異なります。(記号はB:Benefit、E:Expectation、U:Utility。)

続いて

R = PB + D - C ……… (2)

Bは(1)のBで、それに「その投票が選挙結果に与える確率の"主観的"予測」のPが掛かっています。Dは民主主義に貢献するという信念、または義務感、Cは投票にかかる費用です。客観的にはPは限りなくゼロに近い、つまりあなたが投票に行かなくても選挙の結果には影響がないのですが、主観的予測はそれよりもかなり大きな値をとります。Dは投票に行くこと自体の快感です。「選挙に行こう!」という広告を見ることや、教育によりUPします。Cは…実は日本では大きな問題となります。投票に行くための交通費や消費する時間、仕事を休むことによる損失、候補の政策を吟味するための労力、子供を預ける手間などが全て含まれるため、特に日本で忙しく仕事や家事をしている人はこの数値がとても高くなる傾向があるのです。そのため最終的にR:利得がマイナスになり、投票に行かない(R = 0、つまり現状維持)という選択肢を取ることになるのです。(記号はR:Reward、P:Probability、D:Democratic valueまたはDuty、C:Cost。)

この数式は同じ民主主義でも国により大きく数字が異なります。日本ではCの高さ(相対的にDの低さ、Pの低さ)が問題となり、他の国よりも投票率が下がります。アメリカでは政党による政策の差がはっきりしているためBが大きく、Dも高くなります。韓国もBやDが高くなります。

では台湾ではどうでしょう?アメリカと同じようにPとBも比較的高いのですが、特筆すべきはDの高さです。台湾人は選挙を四年に一度のお祭りのように捉えている節があり、ある種の敬虔さをもって選挙に臨みます。道教のお祭りや廟へ参拝しているときのような状態になっているのではないかと筆者は推察しています。要は選挙のことを考えると脳内麻薬が出るという条件付けがされているのです。そしてそれは道教の信仰の記憶とリンクしているのでしょう。今回のように余りパッとした候補がいない選挙でも、高い投票率になると予想されているのはそういうことなのかもしれません。

日本で選挙の投票率を高めたいなら、Cを減らすために選挙の投票者全員に1000円分の地域振興券を渡すなどすると良いかもしれません。

ちなみに(1)式のBの求め方は大まかに、イメージで決める、過去の業績で決める、自分の所属するコミュニティの総意に従う、そして政策を自分で判断して決めるなどの方法があります。最初の三つなどは衆愚政治に陥る危険をはらんでいますね(笑)。人によって無意識にどれかを選好していることが多く、無意識の行動であるためなかなか変えることができません。台湾に滞在する期間が長くなれば、選挙をきっかけに政治について語る機会も多くなります。(中国語が堪能なら)あなたの周りにいる台湾人がなぜ、どうして投票に行くのか、どういう基準で候補を選ぶのかを聞いてみると面白いと思います。よほど暇なら候補者を訪ねてみるのも良いでしょう。割と…相手してくれます(笑) 。

投票は16日で、即日開票されます。日本人の私には台湾の国政選挙はほとんど関係がないのですが、やっぱりなんだかドキドキしてきました(笑)。

それではレシピです。



2016年1月13日水曜日

大腸麵線|モツ麺線

難易度: 調理時間:30分以内
台湾人のソウルフードの一つ『大腸麵線|モツ麺線』のレシピを紹介します。日本ではなかなか手に入らない「紅麺線」という特殊な麺を使って作る台湾料理です。紅麺線は台湾でもなかなか市販されていない(工場や農協で手に入ります)ため、難易度は☆三つとさせていただきます。調理自体は☆一つ~二つくらいの手間なので、ソーメンで代用してもそれっぽいものが食べられます。

またまた選挙の話です。政治学の世界ではよく知られた「デュヴェルジュの法則」というものがあります。政治学や経済学を学んだ人ならピンと来る方もいらっしゃるかもしれません。もともとは政党の数がある一定数に収束していくという経験則でしたが、現在は選挙区の票が当選者数+1に収束していくという風に理解されています。

これだけではさすがに難しいと思うので、簡単に例を上げて説明しましょう。例えば今回のある国の大統領選挙ではC、Z、Sという三人の候補がいます。当選者数はもちろん1名です。世論調査の結果Cが有利で、二位がZ、三位がSということが分かりました。

もしあなたがSの支持者だとしましょう。このままではあなたの票は死票です。投票してもしなくても結果は変わりません。あなたが応援するのはもちろんSですが、ZのこともCよりはマシと考えているとすると…、あなたの最善手はどうせ落選してしまうSに投票するよりも少しでもZの当選確率を上げるためにZに投票するということになってしまいます。全てのS支持者が自分の票を少しでも有効に活用しようとした場合、実際に投票される候補はCとZの二人、即ち当選者数+1人に収束していくという法則です。三人がほとんど同率に支持されている場合は、世論調査の結果次第でかなり大きく票が動くことがあります。

仮に候補者が6人で当選枠が3の場合、票は4人に集中していきます。日本の比例代表選挙でも割と綺麗この法則が現れます。

台湾の選挙の面白いところは、国民党支持者は民進党には投票しない、民進党支持者は国民党に投票しないというルールが加えられることです。歴史経緯が深く関連しており、実際の世論調査でも概ねこの傾向が現れます。国民党の不支持がそのまま民進党の支持に繋がるわけではない(逆も然り)のが台湾政治の面白いところなのです。数式を使って上手くモデル化できると、企業のマーケティングなどにも応用が出来そうですね。

台湾の選挙分析は例年多くの大学院生が修士・博士論文のテーマにします。それだけ若者の政治への関心が高いということでしょうか。旅行雑誌には「台湾では政治ネタは避けるのが無難」などかかれていたりしますが、今は誰もが四年に一度の選挙熱に浮かれています。話をしないほうがおかしいくらいなので、どんどん話を聞いてみましょう。自分にも相手にもよい刺激となるはずです。

熱く語ってお腹がすいたら、台湾軽食の出番です。空腹に染みる『大腸麵線|モツ麺線』、ぜひ挑戦してみましょう。


2016年1月12日火曜日

蒜燒赤鯮|チダイのニンニク焼き

難易度:☆ 調理時間:30分以内
レストランで食べられる高級魚料理『蒜燒赤鯮|チダイのニンニク焼き』のレシピを紹介します。一度焼いたチダイとニンニクを醤油ベースのソースで煮詰めて作ります。とても簡単に作れるので自宅で再現したほうが安上がりです。

チダイは学名を Evynnis tumifrons といい、名前から分かるようにタイの仲間(タイ科)の魚です。パッと見にはマダイ(Pagrus major)とは、背びれの形、エラあたりの色、尾びれの形と色で見分けます。売る時にマダイと表記して売るのはもちろん違法なのですが、「タイ」としてレストランで出す分には全く問題がありません。マダイは縁起物として日本の結婚式などでも使われることが多いですが…、よく見てみましょう。あなたがマダイだと思って食べたほとんどはたぶんチダイです(笑)。中国語ではチダイを「赤鯮」、マダイを「真鯛」と書きます。

見分け方は下の画像を参考にして下さい。次食べることがあれば要チェックですね。チダイはチダイでおいしいですけど。



日本でもそうですが台湾でもチダイがマダイとして売られていることがよくあります。いわゆる食品偽装です。気をつけましょう。

またまた選挙ネタです。

台湾にももともと外国人でありながら中華民国国籍を取得して政治家として活動している人がいます。今回はその筆頭とも言える「吾爾開希・多萊特」候補についてみてみましょう。今回の立法委員選挙では大愛憲改聯盟という政党から比例代表で出馬しています。名簿では二番目。1968年生まれのウイグル人で、出身地は北平市、現在は中華民国に帰化しています。そう、彼は中華人民共和国出身の台湾人政治家なのです。国共内戦で台湾に逃れてきた国民党の議員と違って、近代に入り台湾に帰化した中国人。どんな理由があるのでしょうか…。

先に答えを言ってしまうと…彼は六四天安門事件の学生指導者の一人で、記憶に新しい2010年ノーベル平和賞を受賞した中国の劉暁波氏の教え子の一人です。天安門事件後に中国で指名手配され、香港経由でアメリカへ逃亡、ハーバード大学などで学位を取得後、台湾へ到り国籍を取得しました。

今まで数度あの手この手(香港経由や日本の大使館経由)で中華人民共和国に入国(自首)しようとしていますが、すべて入国を拒否され台湾に送還されています。

台湾でも言論活動その他の政治活動を行っており非常に知名度は高いのですが、台湾の政治家として何をするかという政治ビジョンが不明瞭で政治家としては余り人気がありません。

他に今回国民党比例代表出馬でカンボジア出身の林麗蝉氏や国共内戦前の中国大陸部出身候補などがいます。海外出身の政治家は政策が偏りがちで、政党としては使い方が難しいですが、はまると大きな力を発揮するのが特徴です。

もしあなたが日本出身の政治家として台湾の議員に立候補するとしたら…、そういう目線で旅行してみるのも新しい発見があって面白いと思いますよ。筆者なら…まずはスクーターの排ガス規制から始めます。絶対に(笑)。


2016年1月11日月曜日

魚丸湯|台湾風魚つみれスープ

難易度:☆ 調理時間:30分以内
台湾夜市の定番中の定番軽食『魚丸湯|台湾風魚つみれスープ』のレシピを紹介します。普通の家庭ではカジキマグロやタラ、サバヒーなどで作った「魚丸(魚つみれ)」を買ってきてスープを作りますが、今回はその魚つみれから自作してみましょう。

台湾全土を巻き込んだ選挙戦もいよいよ佳境です。総統候補は全国遊説に出かけ、各選挙区で立法委員候補たちの最後の追い込みが続いています。日本では選挙法違反にあたるようなビラやポスターもどんどん配られています。対立候補のネガティブキャンペーンも本格的です。特に国民党候補は今までの悪事(といっても大半が政治的な失策)を喧伝され、不利な戦いを強いられているようです。今まで立法委員であったことがここまで不利になる選挙もなかなかないことでしょう。

さて、ほとんどの日本人はご存じないかと思いますが、実は中国大陸全土でも"一度だけ"民主主義の原則に則った正式な選挙が行われたことがあります。その後の経緯もなかなか面白いので簡単に紹介しましょう。(ちなみに台湾に限れば日本統治時代の1935年と39年に地方選が行われています。)

時は1947年、第二次世界大戦後すぐのことです。当時中国全土を支配していた中華民国政府は憲政期に移行しており、憲法に則った国民大会議員と立法委員の同時選挙を行いました。有権者数はなんと民主主義史上最大となる4.6億人(現在はインドが世界最大の民主主義国家とされます)。しかし共産党の妨害により鉄道などの公共機関が破壊され有権者の移動と集合が妨害されたために予定した日時での同時選挙はならず、国民大会の選挙は1947年11月、立法委員の選挙は翌1948年に延期して行われました。とはいえすでに中国東北部は完全に共産党の支配下に落ちており、近隣の省で流民らの投票を行うなどの無茶もありましたが、南部では比較的平和裏に選挙が行われました。(とはいえ、かなりの選挙違反や無効票もあったそうですが…。)

こうして第一回の中華民国立法委員選挙は行われ、760名の議員が誕生しました、が、すぐに共産党の攻勢を受け、中華民国政府はほとんど全ての政府機能を台湾に移転することになります。約半数の議員が政府と共に台湾に逃げ延びてきましたが、ほとんどの議員の代表する地域はすでに共産党の手に落ち、改選も不可能となってしまいました。そのため中華民国政府は彼らの議員資格を無期限に延長する法律を作りました。これによって台湾地域の住民の民意を代表していない、そして無期限の議員資格を持つという奇妙な国会議員が多数誕生することとなったのです。(さらにいえば全中華民国を代表する立法委員と、台湾省の地方議員が台湾の政治を行うという二重行政問題もありました。これは後に解消されます。)

立法委員の増員や死亡した議員の欠員補充などで形ばかりの選挙が何度か行われますが、大多数を占める万年議員らはほとんどが国民党員で、改選で当選する新議員も党の息がかかった人ばかり。批判が続出しますが法律で定められたことで、しかも軍政真っ只中、反政府勢力への弾圧も横行しており、そのまま法律改正の機会もなく万年国会は1992年まで続くことになりました。台湾の国会が一院制で速やかな法律の改正を特徴とするのもこうした背景があってのことです。

1992年から数えて15年目の今年、記念すべき9回目の立法委員選挙と14代目の総統選挙が行われます。大勢は決しているとはいえ、選挙は今回で終わりではありません。もしあなたが各政党のブレーンだったとしたら、どのような戦略を取るでしょうか?一発逆転にかけるか、次に繋がる手を売っておくか、対立政党の政策の穴をつくのか、それとも協調するのか…?そして相手の策を封じるにはどうしたら良いのか?無数に有る戦略の中には一発逆転のシナリオもまだ残っているかもしれません。たっぷり頭を使ったらおいしいもので栄養を補給しましょう。

それではレシピです。


2016年1月10日日曜日

炒荷蘭豆蟹肉腳│カニ足とエンドウの中華風炒め

難易度:☆ 調理時間:30分以内
手軽に作れる豪華な料理『炒荷蘭豆蟹肉腳│カニ足とエンドウの中華風炒め』のレシピを紹介します。サヤエンドウとカニ肉を使った炒め物で、色の対比が美しい料理です。お客さんが来たときなどに作りましょう。

荷蘭とは中国語でオランダのことです。「荷蘭豆」で扁平なサヤエンドウのことを指します。丸いエンドウマメは「蜜豆」と呼び分けますが、どちらか判断がつかない品種も多数有るのでただ「豌豆」と呼ぶのが間違いありません(笑)。

またまた選挙の話題を。なんせ4年に一度のお祭りなので…、あと数日お付き合い下さい。

民進党からの総統候補である蔡英文氏が総統選に勝利するのはほぼ間違いないのですが、結果次第で面白い現象がおきそうなのが113の議席を争う立法委員。地域ごとの世論調査の結果は出ていませんが、前回の比例代表の比率を元に、議席を予測してみましょう。

まずは世論調査の結果をおさらいです。民進党33.8%、国民党21.5%、親民党6.2%、時代力量6.1%、台聯2.1%、新党1.8%、緑党社民党聯盟1.5%、無党団結聯盟1.5%、民国党1.4%、残りは1%未満です。

(ちなみに今回の台湾の立法委員選挙では比例代表に全部で18の党が候補者を送り出しています。それぞれの党を横に並べて(順番はくじ引きで決まった番号順)一枚の紙に印刷することが法律で決まっているのですが、今回の選挙では政党数があまりに多いためなんと紙の横幅が75cmにもなるという珍事が発生してしまいました。さすがに不便だと問題視されており、法律改正が叫ばれています。)

支持率1%未満の政党を除き、小選挙区でもこの比率通りに議席が埋まると仮定して全体の議席を予想すると、民進党が50、国民党が32、新民党が9、時代力量が9、残りが3、3、2、2、2の順です。四捨五入の関係で議席が一個余るので、無所属か弱小政党が取ると仮定しておきましょう。

民進党の議席が多いですが、どの政党も単独では過半数を取れていません。 この数字を元に政治学や経済学の世界で使われる「投票力指数」というものを算出してみます。

まずはシンプルなShapley-Shubik 指数 (S-S指数)を見てみます(興味が有る方は自分で調べてください)。超簡単に言うと、誰がキャスティングボートを握るかというのを計算する指数です。これを計算すると民進党が0.56と高く、国民党と親民党、そして時代力量が0.11とまったく同じ値になります。どういうことかというと、民進党は他のほとんどの政党と組むだけで過半数を取れてしまいますが、逆に残りの政党が全て合致して過半数を得たとしても、国民党、親民党、時代力量のどれか一つが抜けるだけで過半数に届かなくなってしまうということを示しています。

似たような考え方で、Banzhaf 指数 (Bz指数)、中でも正規Bz指数というものを計算すると、上のS-S指数と同じように、民進党が0.59、国民党、親民党、時代力量が0.08で同値となります。他にもD-P指数では台聯と新党の少数議席の党の影響力が国民党、親民党、時代力量の影響力を超えます。少数議席政党ならではの「どの政党の組み合わせに乗るか」の選択肢の多さを示しています。面白いですね。

上のような仮定では民進党が極めて有利、そして少ないながらも国民党、親民党、時代力量が議席数に関わらず等しい影響力を持つことが分かりました。ただ実際には親民党や時代力量は全ての地区で候補を準備できていないこともあり、実際の票はもう少し民進党と国民党に偏ることでしょう。

しかし現在与党の国民党がこうも落ちぶれてしまうとは…、2012年に馬英九が総統に続選したときには考えられなかったことです。逆にいえば今回民進党が政権をとったとしても、特に民衆の望む経済と失業の問題を解決できなければすぐに支持率を落としてしまうことになるでしょう。弁護士出身の蔡英文氏は副総統候補に中央研究院副院長出身の陳建仁氏をおいています。

日本の経済政策に口を出すいわゆる「エコノミスト」たちはあまり成果を出してくれませんが、台湾の中央研究院はリベラルな雰囲気で現実の経済を利害関係なく分析し対策を練るのに長けています。また中央研究院は台湾大学や政治大学など名門大学の政治経済学研究者らにも強いパイプ(というかほとんどの研究者らが大学で教鞭もとっています)があるので、いざ民進党が政権をとれば、それこそ国を挙げて台湾の経済発展のためにどんな政策が必要なのかという議論が始まることでしょう。(少なくとも筆者は期待しています。)

一週間後の台湾国民の判断に注目です!


2016年1月9日土曜日

帝王蟹腳│蒸しタラバガニ

難易度:☆ 調理時間:30分以内
日本でも冬の高級料理として有名な『』のレシピを紹介します。家庭ごとに食べ方はそれぞれかと思いますが、今回は台湾の高級料亭などで使われるソースの作り方をメインに紹介します。ソースはショウガと酢を利かせて作ります。タラバガニが手に入ったら試してみましょう。

本日は総統選前に発表された最後の世論調査(台湾では「民調」といいます)の結果を見てみましょう。ソースはすべて「台湾指標民調」という私立機関です。(ちなみに台湾の法律では選挙への影響を最小限にとどめるため1月6日から世論調査を行うことが禁じられています。ただSNSのアンケート機能など使って、個人で調査を行うことは可能です。)

まずは総統・副総統選の支持率から。
民進党 蔡英文・陳建仁 ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||(40.1%)
国民党 朱立倫・王如玄 ||||||||||||||||||(17.5%)
親民党 宋楚瑜・徐欣瑩 |||||||||||||||||(16.8%)

時系列で見ると民進党は50%に迫るもう少し高い支持率だったのですが直前でじわじわと支持率が落ち、その分を親民党が支持率を伸ばしました。親民党の支持率が国民党に並ぶという前代未聞の状態で、大きなニュースになりました。細かくデータを見ると民進党は男性、40歳以下など、国民党は70歳以上、親民党は台湾東部などの田舎と40-50台に高く支持されていることが分かります。また前回国民党に投票したが今回国民党に投票しないと答えた人、つまり国民党支持を止めた人の半数以上(投票政党を決めていない、選挙にいかないと答えた人を除く)が民進党ではなく親民党に票を投じると答えています。民進党と国民党の軋轢はなかなか根深いものがあるようです。逆に新民党は第三党としてなかなか良い仕事していますね。

続いて政党支持率。全部で18党あるのですが、支持率が1%未満の党は省略します。
民進 ||||||||||||||||||||||||||||||||||33.8%
国民 ||||||||||||||||||||||21.5%
親民 ||||||6.2%
時力 ||||||6.1%(*時代力量)
台聯 ||2.1%
新党 ||1.8%
緑社 ||1.5%(*緑党社民党聯盟)
無團 ||1.5%(*無党団結聯盟)
民国 |1.4%


これによる比例定数枠34席の予想獲得議席は民進党が16-17、国民党が11-12、親民党が3、時代力量が3となっています。残りの少数政党が全部団結すると面白い第三党が生まれるのですが、そこまでの指導者はいないようです。小選挙区の世論調査の結果はなぜか出ていないので、全議席の予想は難しいのですが、一時期50%を越えていた民進党への支持率はじわじわ落ち、その分他の党へ票が回っています。一時期期待されていた民進党の単独過半数というのは難しそうです。

私見ですが…蔡英文からは全くカリスマを感じないんですよねぇ。日本のように官僚が優秀ならいいんですが、台湾の官僚は諸外国に比べてゴニョゴニョ…。

ちなみに国民らが政府に期待しているのは一番に経済発展、二番目が失業率の改善です。いわゆる政策の王道をゆけば解決できる問題ですが、一番目は諸外国との軋轢が、二番目は一番目の改善と連動するので、なかなか即効性のある手がないのです。期待して見守りましょう。

なかなか面白い選挙になりそうですね。

2016年1月8日金曜日

汕頭麵│台湾ザルラーメン

難易度:☆ 調理時間:30分以内
台湾の軽食『汕頭麵│台湾ざるラーメン』のレシピを紹介します。湯きりした麺に豚肉やエシャロットフレークなどの材料を乗せ、塩ラードを少量絡めて食べる料理です。南部から桃園あたりまでは良く食べられますが、なぜか台北にはお店が少ないという変な料理です。

前回に続き選挙ネタを。

今回は台湾の世論調査の推移と予想議席、そしてゲーム理論の観点から議席数にまつわるエトセトラを解説してみようと思っていたのですが…。

想像を超える伏兵(?!)が登場しました。

先日全国各地で立法委員候補の政見放送が行われました。数百人の立法委員候補がいますが、一躍全台湾の耳目を集めた候補が登場しました。

その候補の"名前"は「黃宏成台灣阿成世界偉人財神總統」氏、台湾中部にある嘉義市から立法委員に立候補しています。この時点で何がなんだか分からないと思いますが…、戸籍として登録されているきちんとした本名です。姓が黃で名が「宏成台灣阿成世界偉人財神總統」、た…台湾で最も長い氏名を持つ男性です。(もとの名前は「黃宏成」で、一度目の改名で「黃宏成台灣阿成」、二度目の改名で「黃宏成台灣阿成世界偉人」、そして最近改正された法律で三度目の改名が可能になってから現在の名前に改名したようです。)ちなみに行為芸術家だそうです。

名前だけでも注目に値するのですが、彼の行った政見放送は…、私の感想より実際に見たほうが早いですね。 衝撃の映像をご覧ください。(*口に物を含んで見るのは止めましょう。)



日本でも泡沫候補があの手この手の政見放送を行うことがありますが、ここまではっちゃけた政見放送は世界でも稀なのではないでしょうか…。良くも悪くも印象に残ります。

大衆やカメラの前で臆面もなく主張を行えるというのは、現代の政治家に必要な能力の一つです。しかし政見放送が上手いかどうかと実際の政治能力は余り関係ありません。民主主義に本当に必要なのは、演説に優れた政治家ではなく、うわべの言葉に惑わされず優れた政治家を見極める眼を持った民衆なのかも知れませんね。

とにかく衝撃でした…(笑)。

ではレシピです。それと歌って踊った後すぐに食べるのは胃に負担がかかるので止めときましょう。


2016年1月7日木曜日

天婦羅│台湾風てんぷら

難易度:☆ 調理時間:30分以内
基隆名物『天婦羅│台湾風てんぷら』のレシピを紹介します。衣をつけて揚げる『天ぷら』ではなく、魚のすり身を揚げて作るいわゆる『さつま揚げ』です。もちろん日本統治時代に伝わったものが定着したもので、通常はカジキマグロやイカのすり身を混ぜ合わせて作ります。キュウリの浅漬けを添えるのが台湾風。

今月1月16日は台湾の総統選があり、同日に国会議員(立法委員)の選挙も行われます。日本では大日本帝国憲法下から数えて衆議院だけで47回も選挙が行われていますが、台湾ではやっと今回で9回目です。投票率も高く盛り上がりが違います。

台湾の選挙制度は日本と少し異なっています。

まず立法委員の定員は113名。第7回選挙から約半数に減りました。

その内小選挙区で争われる議席は73席。台湾の自由地域(注:原住民居住地域以外)を議席数で割り、選挙区の人口がほぼ21万人になるように調整されています。単一の県や離島地域で選挙区の人口が20万8千人に届かない場所でも一地区最低一議席が割り当てられます。各選挙区で最大得票した一名だけが選出され、過半数に満たない場合も当選します。

続いて日本にはない原住民枠が6席。これは更に平地原住民枠3席と山地原住民枠3席に分けられます。それぞれ平地と山地の原住民籍を持つ人しか立候補と投票を行います。一般の台湾人には全く関係がありません。単記非移譲式投票という方式で選挙が行われ、政党に関係なく得票数上位3名ずつが当選します。政党ごと何人の候補者を擁立し、どれだけ均等に票を分散させるかという選挙戦略が重要になってきます。今回国民党は平地に2名、山地に3名、他の党は最大で1名の候補を送り出しています。国民党はただでさえ不利なのに票が割れて議席が減ったらどうするんでしょうか。

残りの34席は名簿式比例代表制で争われます。政党に投票する制度で、各政党の得票率に応じて名簿上位から当選が確定していきます。いわゆる比例代表制と呼ばれる方法です。民進党も国民党も30名以上の候補者を出していますが、他の正統はせいぜい10名程度の出馬に留まります。ざっと目を通してみましたが…びっくりしたのが国民党のリストの最後尾。なんとまだ23歳の大学生なんですが…台湾だと被選挙権あるんですねぇ。

というわけで、選挙ネタ続きます。明日は直近の世論調査の結果を見てみましょう。


2016年1月6日水曜日

酸白菜石老│白菜漬けとイラの蒸し物

難易度:☆ 調理時間:30分以内
日本では余り好まれませんが、台湾では石老の名で親しまれる魚イラを使った『酸白菜石老│白菜漬けとイラの蒸し物』のレシピを紹介します。日本で作るならキンメダイなどの中型の白身魚かコブダイの切り身などを使って作りましょう。

イラは学名を Choerodon azurio といいます。中国語での正名は「藍豬齒魚」といい、台湾では石老の名で食用魚として親しまれています。日本では九州辺りで摂れます。日本では身が水っぽいとして余り人気がないそうですが、台湾では美味とされ高級魚に分類されます。海域で味が変るのかもしれません。

さて、今回は魚の話はこれくらいにして…。

台湾では1月16日の総統選が近づいてまいりました。日本の選挙公報のようなものも各家庭に配布されました。日本ではなかなかお目にかかる機会もないと思うので、台湾の大統領選の選挙公報を紹介したいと思います。







B2サイズ(たぶん)の大きな紙に今回の総統と副総統選挙に出馬する3党の候補が書かれています。この後のページには原住民や各小選挙区の候補や各政党の紹介がずらり。B2サイズの両面を使って5枚と結構なボリュームです。

同時に行われる立法(国会)議員の候補の紹介には各候補の政見が列挙されているのですが、総統候補には政見欄がありません。上の写真の通り、学歴や経歴の欄が大きくて各人のマニュフェストや理念はまったく紹介されていないのです。総統=党の方針ということなのでしょうか。大統領なので党を越えてかなりの権限を持っているはずなんですけど…。

誰が総統になるかで日本との関係も少し変ってくるかも知れません。総統選に候補者を送り出している三党の政策を紹介したいと思います。

まずは民主進歩党(民進党)。
1.五大政治改革の推進:世代正義の実践。政府効率の革新。国会改革の実施。トランジショナルジャスティスの実施。政治汚職の終結。そして人権保障の推進、憲政および司法の改革
2.五大社会安定計画:永続、公平、安全な社会体制の構築。安心の住宅、食品の安全、コミュニティの保護、年金の永続性、治安の回復などの推進。
3.五大研究計画のスタート:ベンチャー、就業、適切な分配による新しい経済発展の方式をもってアジアシリコンバレー、生命科学技術、人工知能、クリーン技術および国防産業などの産業経済政策を推進する。
4.永続的で優良な農業の構築:農民の所得と食料自給率の向上。クリーン農業の奨励。農業保険の推進。家畜の疫病リスクの低下。市場販売と農産品付加価値の強化。
5.国土および環境保護の強化:国土の利用限界の強化。水資源の利用効率の向上。空気品質の改善。脱原発の推進。環境正義の保護。完全なるリスク対策。
6.多元教育と文化の発展:国民教育の向上。技術教育職の競争力向上。大学の特色の発展。文化公民権の実施。文化多様性の確保。コミュニティ発の豊富な文化。
7.族群平等の保障:母語教育の推進。社会福祉待遇の平等化。地場産業の発展。創業就業の促進。原住民自治の推進。新移民の教育および就業機会の向上。
8.労働者および社会弱者の権益の確保:各専門職及び非正規雇用者の権益の確保。労働災害の予防と保護の強化。社会弱者の住居、教育、就業、介護保障の促進。
9.財政改革とインフラ整備の促進:政府債務増大のコントロール。資源の効率的分配。財政効率及び修繕効果の向上による共同建設の応援。
10.自由民主の現状強化。両岸の平和の維持および交流の透明化と公開。外交と国防の強化。

続いて親民党。
1.台湾経済利益の確保を前提とした両岸モノ及びサービス貿易の協商を立法する。「参与、透明、監督」を原則に、《両岸協議監督条例》及び両岸事案を推進する。
2.対外情報機関を設置し、外交による台湾企業の発展を支援する。「小、精、強」の国軍を発展させ国防と経済を相互に支援して発展させる。
3.国会再造、革新プログラム委員会、議事の透明化、閣揆同意権を推進するためテレビの国会チャンネルを設立する。また投票権を18歳まで引き下げる。
4.財政規律の整理、財政問題の緩解、健全な租税体制の構築:消費者金融の保護重視、オンライン販売の発展。
5.TPP及びRCEPへの参加支持。ただし産業転換を導き、中小企業の商機を保護する。
6.人民の食の安全の保証。食品安全管理機構を設け、「産品最終責任法」を推進する。
7.健康保険を保護し、医療看護従事者の就業環境の改善と薬価の公開、透明化を主張する。
8.台湾を一周するブルーライン(海路)、鉄道の整備。住商一体型都市環境の整備、インターネット品質の改善、メディアの保護。
9.低炭素経済の推進。環境保護教育の実施。グリーン建築と代替エネルギーの発展。
10.三生農業の発展。農地分類の見直し。小規模農業の精密化。農業の科学化。科学技術による養殖の発展。観光漁業。
11.青年の負担の軽減:奨学金、宿舎費用の補助。32393計画。育児負担の軽減。産学連携、技術教育による就業率の向上。若者の創業補助。
12.婦女幼児、一人親家庭の保護。銀髪住宅、銀髪友善運動の提唱。
13.客家文化の重視、客家産業の促進。原住民文化の保存、原住民自治の実施。就業機会の増加。新住民専門機構の設立、言語格差の改善、子女教育の扶助、貧困栄民の調査、補助、生活保護。
14.観光と体育国際行事の結合。冬春期の運動訓練基地の建設。オンライン競技を体育項目として加える。
15.民間、地方を優先し、他元素が融合した特色ある文化政策を支持する。
16.防災総署を設立し、災害救助体系を構築する。
17.花、東、嘉、屏、澎観光を推進し、無煙産業を構築する。

最後に中国国民党(国民党)。
 台湾はグローバリズムの波の中で、数々の重大な挑戦に遇った。しかし中国国民党執政団体と民衆は強い協力の下、1997年のアジア通貨危機、2008年のサブプライム問題、2011年のヨーロッパ通貨危機などの試練を安全に乗り切り、国家を安定して発展させてきた。
 中国国民党は2008年に政権を失って以来「九二共識、一中各表」の基本の上に、両岸交流を推進してきた。2015年に両岸統治者会談を為しとげ、両岸の平和発展を強固なものにした。これは台湾海峡の安定化だけに留まらず、アジア太平洋区域の平和と安定に大きな寄与をした。
 未来に向かって責任ある政党として、中国国民党は「民有、民治、民享」の精神で、台湾経済、社会、政治、文化など各方面の発展を促進してきた。中国国民党の立法委員候補は皆「関懐、分享、公義」の理念の下、「推建設」、「新制度」、「調法規」および「強人力」の四大主軸を通して、「成長、均富、永続」という目標を達成する。人民のため以下の願いを実現させる:外にはブルーラインを創設し、 中には生産力の向上;環境保護を強化し、優れた環境を作る;富を創設し、永続的にシェアし、社会均衡を発展させる;教育品質を高めて均等化し、青年の才能を伸ばす;司法正義を実現させ、低エネルギー政府をつくる;政府改造を実施し、行政効率を強化する。
 民衆の困難を解決し、台湾人民の幸福な未来を作り、国家の軌道を健康で美しい道に乗せるのが中国国民党の指名である。中国国民党の候補は皆社会弱者、専門家、国会議員経験者、社会賢達などの各層の一員である。候補者の誰もが政党の意思を貫徹し、民衆の福祉を勝ち取るために全力を尽くし、国会の監視機能を発揮するだろう。全国民の願いを裏切りません。

です…。疲れた…。

もともとが漢字ばっかりなので、翻訳も漢字ばかりです。時間もないので大分適当に訳してますが、それでも各政党の方針くらいは読み取れるのではないでしょうか?法律や政策の名前は中国語そのままなので、意味の分からない単語が出てきたら自分で調べてみて下さい。

あくまで私見ですが…、国民党の政見は全く具体的なことが書いてなく、何がやりたいのか見えてきません。議席維持は諦めちゃったのでしょうか?逆に内容の善し悪しは別として、予想外に良い線いってるのが万年泡沫候補の親民党です。今回の選挙で民進党が思ったより票を伸ばせなかった場合、第三党として政治地位を一気に高める可能性があります。他にも今回は無所属や小規模政党が多数議席を獲得しそうなのですが、これらが超党派で団結すると国政を左右する権力を握りそうで面白いです。この辺はまた別の機会にでも解説したいと思います。

台湾政治の勉強にもなる当ブログをこれからも宜しく(笑)!

では、レシピです!

2016年1月5日火曜日

炸醬麵│台湾風ジャージャー麺

難易度:☆ 調理時間:1時間以内
こちらも夜市の定番メニュー『炸醬麵│台湾風ジャージャー麺』のレシピを紹介します。豚肉やシイタケをみじん切りにし、醤油やテンメンジャンベースのソースで煮込んだものを麺にかけて食べます。日本でもおなじみの中華料理です。

日本でもすっかりおなじみの『炸醬麵』はもともと中国北部、湖北、山東省あたりの麺料理です。料理名にある「炸」は「炒」よりも多い油で揚げるようにして作る手法です。本来の『炸醬麵』は出来上がったソースが比重の関係で油の底に沈みます。北部の料理らしくけっこう油っこいです。ソース(醤)自体を油で揚げているように見えることから「炸醬」の名前がついています。

中国でも地方によってソースの味付けがかなり異なり、大別して本家北京(山東)風、ケチャップを使った広東風、そして甘辛い台湾風の三派に分けられます。日本の『ジャージャー麺』は台湾のが伝わったものです。また韓国にも『짜장면│ッチャジャンミョン』という山東風の『炸醬麵』が伝わったものがあり、出前などで食べるお手軽料理として根強い人気があります。本家と比べて更に黒いソースが特徴です。

旅行者は夜市くらいでしか食べられませんが、どの夜市にも『ジャージャー麺』の店があるわけではないので…。筆者も時々出没するお店を紹介します。日本語は通じませんがメニュー指差して何とか注文してみて下さい。炸醬麵(小)で十分お腹が膨れます。味はまぁまぁ…(笑)。『魚丸湯』の魚丸はおいしいです。

金華麵店
住所:台北市大安區潮州街56號
開店時間:10:00-22:30(日曜休み)

行き方:
MRT古亭駅6番出口から羅斯福路を北上(中正紀念堂方面へ、)、そのまま潮州街とぶつかるまで歩いてから右折して道路の右側の住所番号をたよりに56号まで歩けばOK。ショートカットするなら羅斯福路から杭州南路二段に斜めに入り北上、潮州街とぶつかったら(左全面角にすき焼の店があります。)右折、後は同じく住所案内を頼りに56号へ。和平東路から路地抜けてもいけます。詳しくは下の地図をご覧ください。




2016年1月4日月曜日

綜合蟹麵│海鮮カニうどん

難易度:☆ 調理時間:30分以内
基隆などの漁港側の夜市では定番のメニューの一つ『綜合蟹麵│海鮮カニうどん』のレシピを紹介します。カニのフライとエビ、イカなどを盛りつけた贅沢なメニューで、現地では陽春麺、米粉、冬粉など様々な麺を選んでトッピングできます。一皿の量が少ないので小腹が空いたときに軽食として食べるのもいいですね。

基隆をはじめ、台湾にはパッと見で「え?日本?」と思えるような地名がたくさんあります。今回はそんな和風の地名を紹介したいと思います。細かい地名を言い出すとキリがないので、郵便番号の頭三桁で区切られている郵遞區號レベルの地名で見てみたいと思います。括弧の中が郵便番号です。いつもは地名は繁体字で書くのですが、今回は分かりやすく日本の漢字で記載します。

まずは台北市から飛行場でおなじみ松山(105)。新北市には三重(241)、汐止(221)、金山(208)、そして板橋(220)などが多数、新竹には有名な関西(306)、横山(312)があります。台中には神岡(429)や豊原(420)、清水(436)が、彰化には田中(520)という地名も。南投には竹山(557)、嘉義には水上(608)、台南まで下ると白河(732)、東山(733)といった地名も。高雄には日本人なら一発で覚えられる岡山(820)と美濃(843)が、更に南の屏東には春日(942)や竹田(911)、さらに満州(947)という地名もあります。台湾の東側では花蓮の瑞穂(978)などが目に止まります。

日本人ならすぐに覚えてしまう地名をざっと集めてみましたが、他にも"っぽい"のは多数あります。実際に日本に縁のある地名も多いのが台湾の面白いところです。台湾に旅行にきたら、ぜひ書店で台湾の地図をゲットして帰国後に広げてみながらニヤニヤしてみましょう。

そういえば、日本と領有権をもめている「尖閣諸島(台湾では釣魚台列嶼)」にもしっかりと郵便番号が設定されています。番号は290番で、なぜか新北市と同じ括りとなっています。ただし住民がいないので実際に手紙を出すことはできません。


2016年1月3日日曜日

涼麵│台湾風冷やし中華

難易度:☆ 調理時間:一瞬
台湾風の味付けの『涼麵│台湾風冷やし中華』を作ってみましょう。ゴマドレッシングをベースにピーナッツペーストと酢を使って台湾現地の味を再現します。




記事は夜に更新します。

2016年1月2日土曜日

花枝羹│イカあんかけスープ

難易度:☆ 調理時間:30分以内
台湾夜市の定番メニューの一つ『花枝羹│イカあんかけスープ』のレシピを紹介します。和風のカツオだしで、イカを煮込んで作ります。イカの身とすり身をあわせて作るのがふっくらとした食感を出すコツです。

(しばらく前にちょっとしたニュースになったのでご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、)イカの上下は足を上にするのが正式です。イカの仲間は学術的には「頭足類」と呼ばれますが、これはその名の通り"頭に足がついている"動物を指します。ラテン語の学名は Cephalopoda で、これはギリシア語の kephal (κεφαλ、頭) + podi (πόδι、足)が由来になっています。頭足類という名称もこれをそのまま漢字にしたもので、中国語でも「頭足網」と書きます。

我々が普通に目にする動物は上から「頭-胴-足」の順になっていますが、頭足類は「足-頭-胴」の順になっており、頭足類の頭と胴の関係を他の動物と同じように並べるとと足(触手)が上になるというわけです。ちなみにタコやオウムガイも足のほうが上にするのが正しい上下の書き方です。図鑑を見れば足を上に書くのが正式だと分かります。


陸上にいる他の動物とはほとんど別の進化の過程を歩んだ種ですが、なぜか同じような構造の目(収束進化といいます)を備え、水中での優れた運動能力を獲得しました。イカやタコは釣りのターゲットとして、またおいしい食材として人類に多大なる貢献をしています。彼らについてよりよく知ることで広がる世界もありそうです。当ブログの読者の方はまずは食の方面から彼らにアプローチしてみましょう。


2016年1月1日金曜日

蝦仁肉圓│エビ肉円

難易度:☆ 調理時間:1時間以内
台湾南部夜市の定番メニュー『蝦仁肉圓│エビ肉円』のレシピを紹介します。通常の『肉圓』より小ぶりで皮がゆるく、餡にエビが入っています。価格も安く4-5個を40-50元で食べられます。日本で再現して見ましょう。

「えび」とはもともとブドウのような色を表す言葉(えび色)でしたが、色が似ているということから動物のエビの名称として用いられることとなり、そのまま定着しました。

エビは中国語で「蝦」と書きます。日本語と同じ漢字です。虫偏は置いといて、旁の部分を見てみましょう。「叚」は手で物に布などの薄いものをかぶせる動作を表した漢字です。この漢字を単独で使うことはまずありませんが、人偏を付けて「假」、「仮」、虫偏で「蝦」、雲冠で「霞」、王偏で「瑕」などの漢字を作ります。どれも表面の、被せた、覆った、一時的な、という意味があります。

ほかにも「嘏」、「葭」、「瘕」、「遐」、「豭」、「猳」、「犌」、「腵」、「貑」、「麚」、「婽」、「徦」、「椵」、「煆」、「鰕」、「溊」、「碬」、「縀」、「赮」、「鍜」、「騢」、「睱」などの漢字があるので、興味がある人は意味を調べてみましょう。

あと時々質問されるのであらためて書いておきますが、当ブログでよく使う「サツマイモデンプン」は、日本では「わらび餅粉」として変えます。唐揚げの衣に使うとサックリするので台湾料理ファンは常備しておきましょう。


それではレシピです。