難易度:☆☆ 調理時間:1時間以内
世界中で古代から食用にされてきた栗。全世界で20種ほどあるブナ科クリ属の植物の実を総称してクリ類といい、日本とその他の地域の栗は種が異なります。
日本に自生し縄文時代から食べられている「クリ」は、学名を Castanea crenata といい、中国にある「シナグリ Castanea mollissima」よりも大型で、渋皮が剥きにくいという特徴があります。実は台湾でも日本統治時代に持ち込まれたクリが栽培されており、時々市場でも見かけますが皮が剥き難いため輸入品のシナグリほど人気はない様です。手で簡単に渋皮を剥くことができる「シナグリ」は、日本でも甘栗などとして人気です。近年渋皮が剥けるタイプの「クリ」の品種が開発されたそうなので、日本原産の「クリ」も今後見直されることでしょう。マロングラッセに使われるヨーロッパグリや、絶滅寸前のアメリカグリなど世界各地で果実を食用にします。
学名を見てピンと来た方はご名答。楽器カスタネットも学名も、そのもの「栗」を意味するギリシャ語の kastaneia が語源になっています。英語の chestnut も、中世英語の chasteine が由来で、同じ単語が語源です。
食料として非常に長い歴史のある栗は、当ブログでも時々登場する《本草綱目》にも記載があります。栗に関する記述は長いので引用はしませんが、無毒で補腎、益気など効果があり、子供の鼻血を止めたり、渋皮を煮込んで傷口の化膿止めに使ったりもしたようです。
クリの一種であるアメリカグリは近代に入り、「クリ胴枯病」という病気によってほとんど絶滅に近い状況にまで追い込まれてしまいました。1920年ごろから30年代にかけて、十数年をかけて北米にあった40億本ものクリの木がほぼ全て枯死してしまったのです。日本のクリと中国のシナグリはこの病気に耐性を持っているため問題がないのですが、世界三大樹木病害に数えられるほど深刻な被害を受けたそうです。話を聞くだけで悲しくなってしまいます。
この病気に対抗するための研究は植物学界でも主要なトピックの一つで、世界中(そして特にアメリカ)で多くの研究者が研究を進めています。いずれ克服され、最高の品質とされたアメリカグリが安心して食べられる世の中になって欲しいものですね。
今回のレシピは日本のクリでも作れますが、調理を簡単にするため既に調理済みの甘栗(シナグリ)を使って調理します。これからの季節にはうってつけの、ほっこり温まる料理です。
[材料]
調理済み甘栗 ……… 80g
鶏もも肉 ……… 1本
干しシイタケ ……… 3個
ショウガ ……… 5g
トウガラシ ……… 1本
[調味料]
オイスターソース ……… 大さじ3
砂糖 ……… 小さじ1
片栗粉 ……… 小さじ1
酒 ……… 大さじ1
ごま油 ……… 少々
水 ………50cc
[作り方]
1.鶏もも肉はよく洗い栗よりもすこし大きめに切っておく。トウガラシは輪切りにする。栗は皮を剥いておく。干しシイタケは水に浸けてやわらかくしておく。ショウガはみじん切りにする。
2.作り方1の鶏もも肉、干しシイタケ、干しシイタケの戻し水、トウガラシ、ショウガ、全ての調味料をよく混ぜ合わせておく。
3.炊飯器に作り方2の材料を入れ、材料が浸かるくらいの水を足し、炊飯のスイッチを入れる。炊きあがりのアラームがなったら完成。
シナグリは割れやすいので、他の材料と混ぜ合わせるときは力を加えすぎないよう気をつけてください。
炊飯器で完全に火が通らなかった場合は、再度スイッチを入れてもいいのですが、中身をフライパンに移してサッと炒めて火を通すほうが簡単です。
生のシイタケを使っても作れますが、旨みが格段に落ちます。味の素や固形ブイヨンで味を足してください。
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