難易度:☆ 調理時間:30分以内
吉林省の伝統料理『拔絲白果│中華風揚げ卵』のレシピを紹介します。料理名に「白果」と入っていますがギンナンを使うわけではなく、卵だけを使ってパリパリフワフワした珍しい食感の料理を作ります。人によっては遼寧料理ということもありますが、まぁ、東北地方の伝統料理です。
さて吉林、黒竜江の両省は古来より多くの国が勃興し手は消えていった戦乱の多い地域です。当然暮らしは貧しく(あくまで"比較的に"ですが)産業や文化も中原地域に比べて華々しく発達することはありませんでした。しかし!清朝を建てた女真族はこの地域、満州に拠点を置く部族です。特に吉林省の伝統的な文化はそのまま清朝の王宮文化に変貌を遂げることになります。
中華王朝のバックグラウンドとなった文化が発達しないわけはありません。他の料理体系に比べて歴史こそ短いため八大菜系には入りませんが、吉林料理には他の料理体系にはない「宮廷菜」と呼ばれる下位分類の菜系があるのです。今から100年前に清朝が倒れるまで、約250年間に渡って当時世界最速で最先端の進歩を遂げた料理が吉林料理のうちの宮廷菜です。
吉林料理はつい最近までその下位分類がはっきり決まっていなかったのですが、1990年ごろから省総出で料理体系の研究が行われ数年をかけて民族菜、民俗菜、宫廷菜、山珍菜の四種類に大別することに決まりました。民族菜は言わずもがな少数民族の伝統料理、民俗菜は大衆料理、山珍菜は山間部の特殊な材料を使った料理、そして宮廷菜が清朝の宮廷で食べられていた料理です。現時点で省が認定する吉林料理の専門料理人はわずか80数名のみ!あれだけ広い中国で80人ちょっと…、吉林省以外で本格吉林料理を食べる機会は現状ほとんどないでしょう。
こうしてみると吉林料理、特に宮廷菜が一体どんなものなのか…気になってきますね。レシピは公開されているものが多いので、そのうち紹介してみたいと思います。
ひとまずはじめて紹介する吉林料理は民俗菜から『拔絲白果│中華風揚げ卵』!お菓子と間違うような料理ですが、シンプルでおいしいんです。
[材料]
卵 ……… 5個
コーンスターチ ……… 大さじ2
水 ……… 適量
ゴマ ……… 小さじ1
[調味料]
砂糖 ……… 大さじ3
塩 ……… 少々
[作り方]
1.卵一個分の卵白だけ別にとり、残りすべての卵をボウルに割り入れてよく溶いておく。
2.フライパンに薄くサラダ油(分量外)をひき、作り方1の卵液を薄く延ばして両面を焼き上げる。これを何度か繰り返して薄い卵焼きを数枚作る。
3.作り方2の薄い卵焼きの荒熱が取れたら、まな板の上に置いて包丁で一口サイズのひし形に切り分けておく。
4.作り方1で取っておいた一個分の卵白にコーンスターチを混ぜ合わせ、適量の水を加えて糊状の液を作る。
5.鍋に揚げ物油を入れ、140度に熱する。作り方3の切り分けた卵焼きの片面に作り方4の卵液を付け、鍋に入れて膨らんできつね色になるまで中火で揚げる。火が通ったら取り出して油を切っておく。
6.すべての卵焼きを揚げ終わったら鍋に少量の油を取り除き、砂糖と塩を加えてゆっくり加熱しながら溶かしてカラメルを作る。カラメルが出来たら揚げた卵焼きを入れ、カラメルが馴染むようにざっくり混ぜ合わせる。最後にゴマを散らして完成。
Point!
生地に包む卵焼きをリンゴやサツマイモに代えると『拔絲蘋果』、『拔絲地瓜』という料理になります。フルーツを使う場合は最後のカラメルで糸を引いたり、ゴマの代わりにココアを振りかけたりと様々なアレンジがなされます。また本物のギンナン(白果)を使った文字通りの『拔絲白果』もおいしそうですね。
0 コメント :
コメントを投稿