客家清燉猪肉湯│客家風豚肉スープ

難易度:☆ 調理時間:2時間以内
客家に伝わる『客家清燉猪肉湯│客家風豚肉スープ』のレシピを紹介します。分類的には広東料理ですが、客家料理の一部です。台湾の客家料理とはまた一風変った独自の料理体系を持つ本土の客家料理で、容器ごと蒸し器で加熱して作ります。炊飯器や普通の鍋でも作れますが、なるべくオリジナルの調理法で作りましょう。

明末から清代にかけて台湾に移住した客家はその大半が広東省潮州あたりの出身です。彼らの話す客家語と台湾華語、或いは台湾語は相互に意思疎通が不可能なほど差がありますが、その客家語も細かく分けると五種に分類することができるそうです。

まずは廣東省嘉應州府の梅縣や近隣の長樂縣、興寧縣、鎮平縣、平遠縣出身の客家が多く住む苗栗あたりでは四縣腔(苗栗腔)と呼ばれる客家語が話されています。(「腔」は"なまり"の意味です。)大陸部では梅縣話と呼ばれます。台湾でもこの四縣腔が標準客家語とされ、地下鉄の公共放送やラジオ放送はすべてこの四縣腔で行われています。また廣東省梅州市の大埔縣出身者が台中市の一部に居住しており、四縣腔とちょっとだけ違う大埔腔(東勢腔)と呼ばれる客家語を話すそうです。廣東省潮州府の饒平縣、惠來縣、普寧県、揭陽縣、海陽縣、潮陽縣出身者が用いる客家語は饒平腔と呼ばれ、台湾では苗栗縣卓蘭鎮、彰化縣員林鎮、永靖郷、田尾郷、及び新竹縣の一部で使われています。発音は大埔腔と似ているそうです。これら三種の客家語方言はほとんど違いがありません。

廣東省惠州府の海豐縣、陸豐縣出身者の多い新竹では海陸腔(新竹腔)と呼ばれる客家語が話されています。こてこての客家語話者同士だと"お、新竹の人だね!"と分かる程度の差があるそうです。

最後に詔安腔と呼ばれる客家語があるのですが、これはもともと福建省漳州府の詔安縣、南靖縣、平和縣、雲霄縣出身者が用いる客家方言で、他の客家方言と最も隔たりがあります。同じ客家話者同士でも聞き取り辛い方言といわれており、台湾でも話者が数千人と非常に珍しい方言となっています。台湾語(閩南語)と同じ漢字の単語を聞き比べると声調がまるで反対のように聞こえるそうです。

客家語は古代中国語の特徴を色濃く残す言語で、中国語の歴史を探る上で非常に重要です。2007年時点で世界中に4400万人近くの話者がいるそうなので、しばらく絶滅の心配は要らなさそうですが、純粋な客家語話者は台湾でも中国でも数を減らし続けています。

清末に中国南部で成立した太平天国では客家語が公用語とされたこともあり、歴史の流れ次第では中国全土まで勢力を拡大した可能性もありました。今でこそ普通話を標準語のように使っていますが、歴史のIFによっては閩南語や広東語、上海語が標準語となっていた可能性もあったのです。

何歳になっても言語を身につけるための脳の機能は衰えない(勉強法次第です)そうなので、中国語をある程度話せるようになったら、いろいろな方言にチャレンジしてみるのも面白いかもしれません。語順も文字もほとんど同じで、発音を覚えるだけで行けます!それが難しいんですけどね…(笑)。



[材料]
豚肩ロース肉 ……… 350g
大棗 ……… 7個
ショウガ ……… 15g
水 ……… 1000cc

[調味料]
塩 ……… 適量

[作り方]
1.豚肩ロース肉を3mmほどの厚さのうす切りにする。大棗に種が残っていれば包丁で割り、種を取り出しておく。ショウガはうす切りにする。

2.耐熱容器に水、豚肩ロース肉、大棗、ショウガを入れ、ラップをして容器ごと蒸し器に入れて中火で1時間半から2時間蒸す。

3.容器を蒸し器から取り出し、スープに塩を加えて味を調えたら完成。

Point!
種抜きの大棗が手に入る場合はそのまま使って下さい。種がついたままだと余計な酸味や苦味がでます。

蒸し器に入るサイズの耐熱容器がなければ、炊飯器か普通の鍋を極弱火で沸騰させないように加熱して作りましょう。火にかけてさえしまえば後は放置で作れます。

加熱時間が長いので、蒸し器の水が途中で枯れてしまわないよう注意しましょう。

他の具材を加えるなら、まずはレンコンがおすすめ!そして白キクラゲ、緑豆、トウモロコシを試してみましょう。どれも客家のスープによく使われる食材です。

ジャガイモと醤油、みりんを加えたら客家風の『肉じゃが』になりそうです。


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