薬膳シリーズ:生化湯│生化スープ

薬膳シリーズ:生化湯│生化スープ

本日は知っている人はよく知っている、知らない人はまったく知らないそんな料理のレシピを紹介します。特定の年齢以上の台湾人女性なら『生化湯│生化スープ』という名前を聞いてピンと来るかもしれませんが、日本人でこれを知っている人は超台湾通です。というか普通の日本人がこれを知っていたらおかしいです(笑)。

Googleで『生化湯』を検索しても日本語のサイトがヒットしない日本では紹介されたことがないのでしょう。ということはこのブログが最初の日本語記事になるのかもしれません。本邦初公開の『生化湯』のレシピと解説です!

台湾では子供を出産した産婦は二ヶ月ほど「坐月子」といって、子宮や身体を休ませる習慣があります。出産という一大イベントで疲労した身体をこの期間に回復させるのです。台北の郊外各所にはこの坐月子のためのホテル式保養施設がたくさんあり、専門の看護婦や栄養士が面倒を見てくれるのです。以前紹介した『四物湯』などもこの時に提供される料理です。また生理の不安定な若い女性も体調の調節のために飲むことがあります。

さて、『生化湯』は台湾の産婦がほとんど確実に食べることになる料理です。もともと清朝初期の婦人科医師(傅青主)が開発した処方で、『傅青主女科』という書籍で紹介されています。

もともとの処方では材料を煮詰めるのに酒と「童便(子供のおしっこ)」を半々使うとされていますが、現代では普通に水で作ります。中国東陽市の名物、かの有名な子供のおしっこで作るゆで卵などと同じ考えですね。

その効果は「古い血を取り除き新しい血と入れ替える」といわれ、「生化」の名前にも現れています。要は妊婦さんの血の健康を取り戻すための処方です。産後のお母さん以外にも流産後の腹痛や異常出血などにも用いられます。詳しい効果はまた別の機会にしておきましょう。

さて、この『生化湯』は自然出産後なら数日様子を見て出血が少なくなってきたところで飲むのが普通です。当帰が多く使われているので、出血の多い人は医師の判断を待ちます。2週間ほど毎日一杯ずつ飲んで、体の調子を観察します。個人の体調にもよりますが1ヶ月以上続けて服用することは稀です。

日本で作るなら漢方薬局で注文することになると思いますが、医師・薬剤師に相談してから使うのがよいでしょう。台湾では街中の薬局や大手スーパーで瓶入りのものが普通に手に入ります。自分で作ってもそんなに手間ではないので、産婦の家族が自宅で毎日作ってあげたりもします。



台湾にはこんな料理もあるんだよ、という本日のレシピでした。



難易度:
☆☆

調理時間:
1時間以内

材料:
当帰 ……… 30g
川芎 ……… 12g
桃仁 ……… 3.5g
炮姜 ……… 3.5g
炙甘草 ……… 3.5g

調味料:
水 ……… 500cc
水 ……… 400cc


作り方:
1.材料をよく洗い、鍋に入れ、水500ccを加えて約半量(200cc)まで煮詰める。スープを漉して別の器に取り分けておく。

2.作り方1で漉した材料を再び鍋に入れ、再び水400ccを加えて約300ccまで煮詰める。これを更に漉し取り、作り方1で分けておいたスープとあわせて完成。


Point:
弱火で1時間以上かけて煮詰めるなら水全量(900cc)を半量になるまで煮詰めても作れます。こちらの方が簡単かもしれません。上記方法なら40分ほどで完成します。

日本では漢方薬の一種として分類されそうですが、台湾では産後に使う身近な薬膳料理として割とポピュラーです。台湾人でも男性はほとんど知りません。

砂糖も塩も加えず作りますが、産婦の体調に合わせて他の漢方材料を加えて作ることもあります。






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