料理名にある「泡饃」とは唐宋代にイスラム教徒が中国に流入してきたときに伝わったとされる小麦粉で作った団子のこと。最初期には練った小麦粉を団子状にしたものをスープに入れて食べていた料理とされています。当時は羊肉のスープがベースでしたが、時代が下がるにつれて様々なスープに入れてちょうりされるようになりました。
20世紀に入るまで西安の地方料理に過ぎなかったのですが、1900年、義和団事件のいざこざで西太后が西安まで逃げたとき、この『牛肉泡饃』を食して大絶賛。中国中にその名がとどろくことになります。時は日清戦争前後、台湾が世界史の荒波に翻弄されていた時期ですね。台湾に伝わってきたのは数十年前、戦後に入ってきてからのことです。
日本で団子汁といえば大分、筆者の故郷である福岡でも時々食べていました。九州の人はこの料理を食べると懐かしさを感じるかもしれませんね。
団子から作るので少々手間が掛かりますが、西太后が絶賛したという『牛肉泡饃』、一度味わっていただきたいと思います。
難易度:
☆☆☆
調理時間:
2時間
材料1:団子
中力粉 ……… 500g
塩 ……… 小さじ1
熱水 ……… 100cc
冷水 ……… 150cc
材料2:牛肉スープ
牛筋 ……… 900g
豆板醤 ……… 大さじ4
醤油 ……… 200cc
砂糖 ……… 大さじ1
紹興酒 ……… 200cc
ネギ ……… 4本
ニンニク ……… 2個
八角 ……… 6個
小茴香 ……… 小さじ1
花椒 ……… 小さじ1
陳皮 ……… 3g
材料3:
板春雨 ……… 1玉
香菜 ……… 適量
中華スープ ………1000cc(適宜増減)
調味料:
ごま油 ……… 適量
味の素 ……… 適量
塩 ……… 適量
作り方:団子
1.中力粉と塩をふるいにかけ、真ん中をくぼませて熱水を加えて少しずつよく練り合わせる。
2.更に冷水を2回に分けて加えながら玉にならないようによく混ぜ合わせ、団子状になったらボウルなどに入れて上にぬれ布巾をかぶせて1時間ほど発酵させる。
3.生地を100gほどの塊に分け円盤型に成形したら、油をひいたフライパンで両面を焦がさないように焼き、表面がパリパリになったら完成。
作り方:牛肉スープ
1.香辛料を綿袋などに入れておく。
2.鍋に牛筋と牛肉スープの材料すべて、作り方1の香辛料袋と水(分量外、牛筋が浸るくらいまで)を入れ、中火で90分煮込む。
3.牛筋に箸を刺し、火が通ったのを確認したら火を止めてそのまま3時間味をしみこませる。
4.味の染みた牛筋を一口サイズに切り分けて取り分けておく。
作り方:牛肉泡饃
1.板春雨を水に浸け柔らかくしておく。
2.鍋に中華スープを入れ沸騰させる。続いて手ごろな大きさにちぎった団子、牛筋、作り方1の板春雨を加えて2分ほど煮込む。
3.アクを取り除き、ごま油、味の素、塩で味を整える。器に盛り付け香菜を散らして完成。
Point:
団子は発酵が終わったらスープができるまで冷蔵庫に入れて起きましょう。食べる直前に焼くのが美味しく作るコツです。
スープには団子一つ分だけをいれ、残りは別の皿に盛り付けて食べる人が自分でスープに浸けて食べます。
団子だけを別のスープ料理に添えてもOK。こちらが本来の「泡饃」の食べ方です。カレーやシチュー、味噌汁にも合うと思うので、色々なスープ料理と組み合わせてお楽しみください。
途中スープがなくなったら、団子で牛筋を挟んで食べましょう。
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