2016年4月5日火曜日

復元湯│復元スープ

難易度: 調理時間:1時間以内
明代に発明された薬方が由来の『復元湯│復元スープ』のレシピを紹介します。四川料理の一つとされますが辛くありません。羊肉と補気の薬剤を薄い粥で煮込んで作ります。オリジナルのレシピとはかなり形が変わっています。

『復元湯』は≪魯府禁方≫(別名を≪魯府秘方≫)という書籍が原典となっています。明代、1554年に龔廷賢という医師によって書かれた医学書で、筆者の経験をまとめた処方となっています。全四巻でそれぞれの巻に福、壽、康、寧の名前が付けられています。

ちなみに原書の記載は以下の通り。第一巻福集、傷寒の項に記載があります。

復元湯
有患傷寒無頭痛,無惡寒,身微熱,面赤微渴,目無精光,口出無論語,脈數無力,此汗下太過,下元虛弱,無根虛火泛上,名曰戴陽症。
 熟附 黃連 甘草 人參 五味子  麥門冬 知母 芍薬 童便
 姜棗煎。臨服藥入蔥白二茎搗汁調之,温服。

附子、黄連、甘草、人参、麦門冬、知母、芍薬、そして童便(子供のおしっこのことです)と、現代のレシピとは全く異なる内容となっています。当時の復元湯は風邪で、頭痛も悪寒もなく、微熱で顔が赤く、少し喉が渇き、…、というような症状の人に使うと書かれています。虚弱すぎて高熱の出ないインフルエンザなどに使ったのでしょうか。童便さえ除いてしまえば今でも高齢者の風邪に通用しそうです。

現代の復元湯はきちんとした料理に変貌を遂げており、羊肉を使った栄養補給が目的の薬膳スープとなっています。特に男性機能の改善、 陽痿早泄…いわゆる早漏へ効果があるとされています。というか全くの別物ですね(笑)。

ちなみに薬材を一切使わずに羊肉と薄めの粥を使っただけのスープは風邪や病中病後の体力回復に効果的です。味もなかなかなので手に入る食材だけ使って作ってみましょう。

  
[材料]
羊肉 ……… 500g
米 ……… 100g
ヤマイモ ……… 50g
肉蓯陽 ……… 20g
莬絲子 ………10g
桃仁 ……… 5g
 (炙ったものを使うとよいですが、そこまでしなくてもよいと思います)
白ネギ ……… 2本
生姜 ……… 10g
八角 ……… 3g
花椒 ……… 2g
胡椒粉 ……… 少々
羊骨 ………500g
水 ……… 適量(2000cc前後)

[調味料]
酒 ……… 大さじ1
塩 ……… 少々

[作り方]
1.羊肉を薄切りにする。山芋を食べやすい大きさに切る。白ネギをぶつ切りにし、すりこぎなどで搗きくずしておく。ショウガを薄切りにする。

2.肉蓯陽、莬絲子、桃仁、八角、花椒を麻袋などに入れる。

3.羊骨に熱湯をかけてあくを抜く。鍋に水、羊骨、米、作り方2の薬材、作り方1のすべての材料、酒を入れ、30分ほど煮込む。

4.作り方3のスープから薬材とネギ、ショウガを取り除き、器に盛り付ける。最後に塩と胡椒で味付けをして完成。

Point!
日本では肉蓯陽と莬絲子の入手がネックでしょうか。漢方薬局で手に入ります。

桃仁が手に入らなければアーモンドで代用してください。


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