前回紹介した『芋泥』を使って作る団子『芋頭酥│紫芋団子』のレシピを紹介します。サクサクのパイ生地で前回紹介した芋餡を包んで作るお菓子です。お菓子作りが得意な方はぜひ挑戦してみてください。
前回、前々回は料理と関係ない台湾の刑法についてちょこっと書きました。面白かったという人も割と多かったので、今回は民法について。
中華民国の民法は中華民国が成立してからしばらく後の1931年に施工されました。とはいえ当時の台湾は日本領土、台湾で施工されていた民法は日本の民法です。日本統治時代の台湾では当初から1923年までは台湾の旧習に則った民法が施行されていました。この時期を律令民法時代と呼びます。日本の民法が施行された1923年から終戦までは日本民法時期です。そして国民党が遷台後ようやく現在の中華民国民法が台湾に持ち込まれました。
日本の民法も中華民国民法もドイツ民法を踏襲したもので、台湾の日本統治が終わってから中華民国政治が始まってからも大きな混乱は起きませんでした。戦前の台湾には日本語の法学文献や判例を読みこなせる法律家が多数おり、中華民国統治が始まってからも当時の日本の最新の判例や研究を読みこなせる人が台湾には多数残っていました。このため70年代頃までは台湾の民法は日本の法律研究の後を追う形で、最新学説に言語上の問題なく触れることができたのです。その後ヨーロッパに留学していた研究者らが最新の学説を直接持り始めたことにより、日本統治時代以前から残る台湾の旧習、特に家族意識や男女意識に大きな影響を与え始めました。例えば台湾に根強く残る家長絶対優位制度や、男女差別が法律上は解消されていきます。実生活上はまだまだ家長優位制度が色濃く残っていますが、揉めたときに裁判所に調停を依頼すると(旧習からすれば)男性側に著しく不利な判断がなされることが多いです。
ドイツ民法を受け継いでいるはずの台湾民法の最大の特徴(?)は、前にも書きましたが不動産として土地と建物が分離していることです。(これは日本の民法も同じです。)これにより土地と建物の所有権を別々に移転することが可能なので、遺産相続の裁判時などに本家のドイツにはない判決が出たりします。あとは建築途中の家屋をいつから独立した不動産とみなすかなど、面白い研究もあります。
台湾と日本の民法で大きく異なる点といえば「債権の移動」が代表として挙げられます。日本の民法では双方で譲渡の意思の確認が取れた場合にすぐに債権が移動します。例えば抵当に入っている物件があり、債務不履行があった場合はその抵当物件はすぐに債権者のものとなります。(もちろん後日登記の変更は必要ですが)権利自体は双方の意思による時点で債務者から債権者に移動するのです。対して台湾の民法では登記を移転してはじめて債権者の手に抵当物件の権利が移動することになります。どちらが良いかはケースバイケースですが、ほかの法律と矛盾が生じたりもするので今なお研究がおこなわれています。
あとは必要以上に土地耕作人を保護する規定が散りばめられているのも特徴と言えるでしょう。
他にもいろいろあるのですが、どんどん難しい話になりそうで、筆者のキャパシティーを超えるものも多いのでこの辺にしておきます。興味があれば自分で調べてみてください。
それではレシピです。
[材料1]
芋餡 ……… 360g
[材料2]
中力粉 ……… 125g
無塩バター ………45g
水 ……… 100cc
紫米 ……… 50g
[材料3]
薄力粉 ……… 120g
無塩バター ……… 60g
[作り方]
1.材料2の紫米を軽く洗い、水を加えて1時間ほど漬けておく。水に色素が移ったら水だけを漉しとって紫米水の完成。(→Point参照)
2.作り方1の紫米水60ccをボウルにうつし、材料2の中力粉と無塩バターを加えてよく混ぜ合わせる。均一に混ざったらボウルにラップか濡れ布巾をかぶせて10分ほど生地を寝かせておく。
3.作り方2とは別のボウルに材料3の薄力粉と無塩バターを入れ、よく混ぜ合わせる。均一に混ざったらラップをして冷蔵庫で冷やしておく。
4.作り方2の紫色の生地を40gずつと作り方3の白い生地を30gずつ、そして材料1の芋餡を30gずつに分ける。それぞれの生地を円形に薄くのばし、紫色の生地の上に白い生地を乗せる。中央に芋餡を乗せ、生地の片側から芋餡を巻き込むようにして10cmほどの長さの棒状に伸ばす。両端をすぼめて芋餡を包んだら、そのまま10分ほど生地を寝かせる。
5.棒状の生地を中央で二つに切り分け、切った面の生地を集めて口を閉じる。全体を球形になるように軽く整形し、切り口の面が下になるようオーブンの天板に並べる。
6.170度に熱したオーブンに団子を並べた天板を入れ、20分ほど焼き上げる。焼きあがったら天板ごと取り出し、粗熱が取れるまで放置して完成。
Point!
紫米は色を取るだけで料理には使いません。色を抜くのに使った紫米は3-4倍の水と一緒に炊いて粥を作り、砂糖とコンデンスミルクを加えて食べましょう。白玉などを加えてもおいしい『紫米露』というデザートです。
レシピでは生地に味をつけていないので餡を少し甘めに作りましょう。生地に砂糖を混ぜ込んでもよいですが、焦がさないよう注意です。
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