台湾の家庭料理『三色蛋│三色卵』のレシピを紹介します。ピータンと塩漬けのゆで卵を茶碗蒸しにして作る卵、卵、卵づくしの料理です。塩漬けゆで卵(『鹹蛋』)は日本で手に入らないと思うので、過去記事を参考に自作してください。それも面倒なら普通のゆで卵でも作れます。
『鹹蛋』の作り方はこちら。
今日は少々毛色を換えて台湾の刑法について簡単に解説します。台湾法律シリーズ第一弾!
台湾の刑法は清末から現在まで、四度にわたって大きな改正がありました。第一は清代の中国法時期、第二に日本統治時代の日本法時期、第三に国民党遷台から近代までの他国法の継承時期(30年体制と呼ばれます)、最後に現行法が完成するまでの四区分です。
近代法の体系が整備されたのはもちろん日本時代からで、当初は独自法を施工していましたが1923年以降は内地延長主義の下、本土と同じ法体系が適用されました。その後終戦までほぼすべての法律が日本内地と同じように適用されましたが、唯一民法の家族条項だけは台湾の旧習に則って処理するという特例がありました。台湾における家族関係が日本の"家族"の概念と大きく異なったためです。現在でも台湾の民法には土地と家屋を別々の不動産として取り扱うという日本民法の影響が残っています。(西洋の民法では土地も家屋も不動産としてひとくくりにします。)。
日本統治が終わり中華民国国民党が台湾に移ってきてからは、中華民国政府が南京で制定した刑法が台湾で適用されました。もともと各国刑法のごった煮の様相を呈していた中華民国刑法でしたが、戦後しばらくは日本語を話せる法律家が多数いたことから日本的な解釈をしながら運用が行われていきましたが、その後ヨーロッパ留学組が帰国してからはドイツ色が強くなってきました。また戦後数年で法曹界のトップのほとんどは大陸から渡来した国民党一派に占められ、国民党独裁時期は多くの恣意的な法運用がなされました。例えば民主化運動を扇動したものには死刑すらありえました。
国民党独裁体制が終わり住民の生活が安定してから、ようやく近代的な法整備が行われるようになり、ドイツ法を中心に各国法の寄せ集めであった台湾各法は多くの学者や実務家の涙ぐましい努力により、近代的に整備されていきます。
現在の台湾刑法は数度の部分改正を経てはいますが、1935年に施工された中華民国刑法が元になっています。中華民国刑法はドイツ刑法の影響を強く受けているのですが、ドイツ法になく中国の伝統的な習慣の影響を受けた条項として「倫理条項」が今でも残されています。いわゆる尊属殺人など、家族に対する危害を加えた場合は一等罪を重くするという条項で、これは台湾刑法の特徴です。(日本でも明治民法に尊属殺人などの規定がありましたが、現行刑法では削除されています)。
さらに台湾刑法には「義憤殺人(または傷害)罪」、「生母殺嬰罪」と呼ばれる珍しい罪があります。それぞれ文字通り「義憤に駆られて」、「その場で」、「殺人を犯した」場合と「生母」が「嬰児を殺した」場合に適用される罪です。義憤殺人(または傷害)罪は、それぞれの条件が(完全に)満たされた場合、通常の殺人罪よりも少し軽い刑罰となります。義憤とは、自分や親族が重大な侮辱を受けた場合や、恋人や妻が目の前で強姦されていた場合などの特殊な状況で衝動的に沸き起こる感情です。生母殺嬰罪は母親が生まれたばかりの赤子を自分の手で殺した場合に適用される罪です。例えば強姦などにより身ごもった子供を、誰にも相談できずに出産、その場で母親が殺害(または遺棄致死)してしまった場合などに適用されます。(別に間引きのためとかではありません。)どちらも非常に特殊な罪で、適用例も多くなく、判例も珍しいものばかりです。どちらも日本では通常の殺人罪に情状酌量されます。
台湾法のほとんどはドイツ法の影響を色濃く残していますが、会社法や金融取引に関する法律などはアメリカ法を軸にしています。そして多くの実務家が日本の判例を引き合いに出して裁判を行いっています。ちなみに日本の判例は公正で公平であるとしてアジアの裁判でも割と人気です。
料理とは全く関係がありませんでしたが、台湾好きなら雑学として知っておきましょう。いつか役に立つ日が来る…かもしれません(笑)。
それではレシピです。
[材料]
卵 ……… 2個
ピータン ……… 1個
鹹蛋 ……… 1個
[調味料]
塩 ……… 少々
胡椒 ……… 少々
みりん ……… 小さじ1
酒 ……… 小さじ1
[作り方]
1.卵を割って溶き、すべての調味料と混ぜ合わせる。
2.ピータンを沸騰したお湯で30秒ほど茹でて火を通し、荒くみじん切りにする。鹹蛋を荒くみじん切りにする。
3.適当な大きさの容器の表面に適量のサラダ油(分量外)を塗り、作り方1の卵液を流し込む。更に作り方2のピータンと鹹蛋を均等に散りばめる。容器ごと蒸し器にかけ、中火で10分蒸す。火が通ったら中身を取り出し、食べやすい大きさに切り分けて完成。
Point!
ピータンはそのままでも食べられますが、卵黄部分が生のままだと少し粘ります。沸騰したお湯に入れて軽く火を通しておけばみじん切りにするときに型崩れせずに作れます。
容器に油を塗らず、ラップを敷いて作ってもよいでしょう。
あまり強火で蒸すと卵に鬆(す)が入ります。 中火で蒸しましょう。
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