2015年8月17日月曜日

胡辣湯│河南風胡椒スープ

難易度:☆ 調理時間:30分以内
河南地域の名物軽食『胡辣湯│河南風胡椒スープ』のレシピを紹介します。現地では朝ご飯のメニューとして、そして酔い覚ましとしてとても有名な料理です。胡椒と香辛料を利かせたとろみのあるスープで肉類を煮込んだスープ料理です。特に逍遥地方の『逍遥胡辣湯』は全国的にも有名な料理です。

『胡辣湯』の歴史は非常に古く、いくつかの資料によると周代にはその原型となる料理が河南地方で食べられていたそうです。ただ周代は胡椒がまだ中国に伝わっていなかったため、胡椒を使った現在のような『胡辣湯』はそれよりもずっと後世、宋代や明代に作られたのではないかといわれています。

有力な説としては唐代に胡椒が伝わってから作られた『酸辣湯』と『肉粥』が、宋代になぜか混ぜ合わせて食べられるようになったというもので、最初期は長江以北の少数民族によって食べられていたといわれています。
 
そして元代、モンゴル人により羊肉食が伝わると、スープに羊肉が加えられるようになります。ほぼ現在のものと変わらない『胡辣湯│河南風胡椒スープ』がここに完成しました。当時は『蔥油餅』などと共に定番の朝食として河南人に食べられていたそうです。また当地の官僚らには風邪薬としても飲まれていたという伝説が残っています。
 
なお料理名の「胡」はもちろん胡椒が使われていることをあらわしているのですが、スープにとろみが付いているため胡と発音が同じ「糊」 の意味もかけられています。清代には宮廷料理としても取り入れられ、「胡(異民族の意味)」の字を嫌った満族により『宮廷禦錦湯』と名前を変えて食されていたこともあります。
 
以前紹介した同名料理のレシピはこちら
 
 
 
[材料]
羊肉 ……… 80g
ワンタンの皮 ……… 50g
ワカメ ……… 10g
厚揚げ ……… 15g
ダイコン ……… 25g
ショウガ ……… 2g
中華スープ ……… 500cc
小麦粉 ……… 75g
水 ……… 100cc
水溶き片栗粉 ……… 大さじ1
  
[調味料]
塩 ……… 適量
酢 ……… 大さじ3
ごま油 ……… 大さじ1
胡椒 ……… 小さじ1/2
五香粉 ……… 少々


[作り方]
1.羊肉を薄切りにし、幅1cmほどの短冊状に切っておく。ワンタンの皮を幅1cmほどに切る。ワカメを水で戻して食べやすいサイズに切り、沸騰したお湯で色が変わるまで煮込んでぬめりを取っておく。厚揚げを千切りにする。ダイコンを2mmほどの千切りにする。ショウガをみじん切りにする。

2.小麦粉をボウルに入れ、水100ccを加えてよく練る。ダマにならないよう混ぜ合わせてから5分ほど寝かせたらガーゼ袋などに入れてきつく搾って水気を抜き、固めの生地を作る。これを冷水の入った器に沈めておく。

3.鍋に中華スープを入れて沸騰させ、羊肉、ワンタンの皮、ワカメ、厚揚げを入れる。塩で味を調えるたら強火で沸騰させ、少量の打ち水をする。作り方2の生地を取りだし、両手に掴んで大きく伸ばしながら鍋に入れる。再び沸騰させたら火を止め水溶き片栗粉を入れてスープにとろみを付ける。鍋のそこからスープをかき混ぜたら胡椒、五香粉、作り方1のダイコン、ショウガを加え、もう一度沸騰させてから小皿に盛りつける。

4.食前に酢とごま油を振りかけて完成。

Point!
小麦粉を練ってからスープに入れるまでがちょっと難しいかも知れません。なくても作れますし、ワンタンの皮を多めに入れたりきし麵で代用したりすれば簡単です。

『酸辣湯』に似ていますが辛くはありません。胡椒をピリリと利かせて作りましょう。

二日酔いの朝にもってこいの料理です。

サトイモやヤマイモなどのイモ類を千切りにしたものや、香菜、ニンジンなどの野菜を加えてもOK。

ワンタンの皮と麺生地を粉條に代えて作ったものは河南省逍遙鎮の名物料理『逍遙胡辣湯』と呼ばれます。全国的には普通の『胡辣湯』よりもこちらの方が有名です。

なお現地では「『胡辣湯』の素」が売られているので、これを使えば材料を煮込んでスープの素をお湯に溶くだけで作れます。

牛肉や鶏肉などの別の肉を使って作ってもOKです。


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