台湾の家庭料理『金銀南瓜│ゆで卵とピータンと南瓜蒸し』のレシピを紹介します。ピータンとゆで卵の白黒とカボチャの鮮やかなオレンジのコントラストが美しい料理です。
「ピータン」は中国語で「皮蛋」と書きます。歴史については過去の記事を参考にしてください。
今回は中国語と日本語の「タマゴ」について簡単にまとめて見ましょう。日本語の漢字では「玉子」 または「卵」と書きますが、中国語で卵を意味するのは「蛋」、どうしてこのような違いが生じたのでしょうか?
「蛋」の字がタマゴの意味を持って書物に登場するのは唐の時代以前から。古書に鴨蛋(カモのタマゴ)などの明かにタマゴを表す語がいくつか登場します。「疋」は動物や虫を数える「匹」の意味があるので、もともと虫の数や虫の卵の数をあらわしていたものが転じて他の動物の卵にも使われるようになったものなのでしょう。
古代の上海あたりに「蜑」という水上生活民族がいました。「蜑」は商や周代あたりの古書にも登場する有名な民族なのですが、唐代あたりからこの「蜑」という字が「蛋」に書き間違えられて書物に登場することが多くなります。そして宋代あたりには「蜑」の字がほぼ絶滅してしまい、「蛋」の字だけが残ってしまいました。これにより「蛋」はとある民俗とタマゴの二重の意味を持つようになりました。いくつかの日本語ブログで"「蛋」はもともと古代民族の名前"と書かれていることがありますが正確には間違いのようです。ちなみに「蜑」の一部は日本に流れ着いて漁や海女の技術を伝えたとも言われます。海人文化の担い手とも言われる「蜑」については多くの研究論文があるので、興味がある方は自分で調べてみましょう(過去記事参照)。
もう一方の「卵」は「蛋」よりも更に歴史が古く、紀元前200年ころ戦国時代にははっきりと「鳥獣の卵」や「卵生の生き物」のような使い方で書物に登場します。「卵」の字は元々は「卯」に点を二つ加えて強調したもので、「卯」は「ω」みたいな象形文字が元になっており、…そのまんま男性の睾丸を表します。つまり「卵」はもともと男性の睾丸、それが転じて「タマゴ」の意味で使われるようになったものだそうです。中国でも「卵管」や「卵巣」など器官の名称としては現在でも「卵」を使います。
中国では動物のタマゴには「蛋」、生物学には「卵」と使い分けていますが、日本ではほぼ「卵」だけが生き残り現在のような別が生まれました。
今の日本では「蛋白質」くらいにしか「蛋」の字を使いませんが、この語ももともとは「卵白質」になる予定だったのが、漢字の由来を考えて「蛋白質」に決まったのだとか。この語がなければ日本では「蛋」の字は絶滅していたかもしれませんね。
もし漢字のレッドデータブックみたいなものがあれば「蛋」を第I類に載せて保護するのがよさそうです(笑)。それではレシピをお楽しみ下さい。
[材料]
カボチャ ……… 500g
ピータン ……… 1個
ゆで卵 ……… 1個
ニンニク ……… 10g
[調味料]
酒 ……… 大さじ1
塩 ……… 小さじ1/4
水 ……… 大さじ2
ごま油 ……… 小さじ2
[作り方]
1.カボチャの種を除いて一口サイズに切り、耐熱の容器に並べる。
2.ピータンとゆで卵の殻を剥き、カボチャの半分ほどの大きさに切り分ける。すべての調味料を混ぜ合わせてピータンとゆで卵と和え、カボチャの上にのせる。
3.容器ごと蒸し器に入れ、強火で20分蒸したら完成。
Point!
炊飯器でも作れます。
ゆで卵は固ゆでにして、切った後ちょっと塩を振りかけておくとよいでしょう。
0 件のコメント:
コメントを投稿