浙江省の伝統料理『百鳥朝鳳│浙江風蒸し鶏と水餃子』のレシピを紹介します。蒸した鶏肉と水餃子をあわせた日本にはない珍しい中華料理です。食べたことのある人はほとんどいないと思いますが、日本で完全再現が可能です。
料理名は「百の鳥が鳳に向(朝)かう」の意味で、中央の大きな鶏肉を鳳凰に、周りの水餃子を鳥に見立てています。「大人物には多くの小人物が付き従う」くらいの意味でしょうか。とても中国らしい料理ですね。
鳳凰は伝説の神鳥で、中国、日本だけでなく中華文化の影響を受けた各地に様々な意匠で登場します。日本では一万円札の意匠に使われてもいます。非常に古くから存在する霊獣で、商の時代にはすでに平安の象徴として祭られていました。古代中国の文献に登場する頃にはすでにいろんな伝説がごちゃ混ぜになっており、正確な起原を推し量ることは非常に難しいと考えられています。
中国においては鳳凰の霊的地位は竜に次ぐ第二位であるとされ、天下泰平のときに王朝に飛来するとも言われています。西洋のフェニックスと同一視されることもありますがまったくの別ものです。
考古学的考証によると、有史以前の中国は気候が現在よりもはるかに温暖で、特に南部地域では現在のアフリカのようにいたるところで「ワニ」などの大型爬虫類と「ダチョウ」のような大型鳥類が見られたそうです。実際に古代中国の遺跡からはワニとダチョウの骨が見つかったりもしています。最新の学説によるとワニが竜伝説へ、ダチョウが鳳凰伝説へ姿を変えたと考えられており、中華の形成に伴ってその他の地域の伝説を取り込みながら現在のような形になったのだといわれています。
鳳凰の元ネタは孔雀やオウムとばかり思っていましたが、なんとダチョウ(または類似の大型鳥類)…だったのですね。
それではレシピです。
[材料]
鶏肉 ……… 1匹(約1200g)
ハム ……… 200g
餃子 ……… 12個
ネギ ……… 10g
ショウガ ……… 10g
[調味料]
塩 ……… 小さじ1
味の素 ……… 小さじ1/2
鶏油 ……… 大さじ1
[作り方]
1.鶏肉を下ごしらえし沸騰したお湯で茹でてアクを抜いておく。ネギの半量をぶつ切りにする。ショウガをうす切りにする。ハムをうす切りにする。
2.蒸し器の底に作り方1のショウガ、残り半量のネギ、ハムを敷き詰め上に作り方1でアクを抜いた鶏肉を乗せる。鶏肉の上から紹興酒を振りかけ、蒸し器にかけて弱火で鶏肉の内部に火が通るまでじっくり加熱する。
3.鶏肉が蒸しあがったら、容器を取り出しショウガとネギを取り除く。蒸し器の底にたまったお湯のアクを取り除き、塩と味の素を加えて味を調える。このお湯を加熱して沸騰させ、餃子を入れて茹でる。火が通った餃子は取り出して鶏肉の周囲に盛り付ける。
4.最後に鶏肉の上に鶏油を塗り、塩(分量外)を散らして味を整えたら完成。
Point!
水餃子で作りますが、蒸し餃子を使ってもかまいません。この料理に焼き餃子は使わないので、皮の厚いタイプのものを茹でて使ってください。
鶏肉は若鳥やブランド地鶏など良いものを使って作りましょう。もし手に入ることがあればダチョウ肉で作ってもよいかもしれません。(台湾ではダチョウ肉買えます。)
鶏肉を一度部位ごとに切り分け、調理した後に器に盛り付けると調理時間が短縮できます。
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