南京地区伝統の牛肉料理『金葱牛方│金葱牛方』のレシピを紹介します。弱火でじっくり、とろけるほど柔らかく煮込んだ牛リブロースの料理です。北京あたりに行くと『京葱牛方』と名前が変わります。
この『金葱牛方』はもともと淮揚料理ですが、南京地区の冬の風物詩としても有名です。台湾で言う『薑母鴨』のようなイメージの料理でしょうか?
南京は台湾にある中華民国のもともとも政府が置かれていた場所です。中華民国の歴史をざっとおさらいしてみましょう。
時は清末1912年、この年の2月12日に清朝皇帝の退位を持って清王朝は正式に閉幕を迎えます。もちろんそろそろ清王朝がヤバイという雰囲気はかなり前から全国民が感じ取っており、それより少し早い1月1日、革命党の人員らが集って南京で「中華民国臨時政府」を立ち上げました。前年1911年12月29日に行われた選挙でご存知孫文が大総統に任命されています。法律の草案や組閣など急ピッチで行い、同年3月に北京に政府機能を移転して清朝の政府機能を継承し正式な政府となります。1912年1月1日の臨時政府始動から1917年の中華民国政府を「北洋政府」と呼びます。
1912年から1915年までの短期間ながら袁世凱が中華帝国を名乗り一部で帝政を敷いたり、清朝の残党が各地で蜂起したり、諸外国からの干渉があったりと非常に混乱した時期ですが少なくとも民主的に選ばれた最初の首長が政治を行った時期として中国歴史史上非常に重要な政府とされます。
北洋政府は一部官僚の暴走が目立ち、袁世凱の支配から解放された南部の諸省はこれに反発して次々と独立を叫び始めます。これに呼応した孫文は広州で蜂起して中国南部の軍部を巻き込み、護法運動と呼ばれる北洋政府と対立する運動を始めました。1917年から1928年まで中華民国では南部の軍と北部の政府が対立する内戦状態になります。1925年に勝利を感じた蒋介石らが南京で「国民政府」を設立、その後すぐに北京の北洋政府を打倒し新たに国民政府が政府機能を担うようになりました。同年3月に肝臓がんを再発した孫文が死去。国民政府は帝国主義に傾倒していきます。国民党軍は当時の国民政府は合議制を取っており、国策を決める委員会の面々はソ連や共産党との関連も深く、対立の火種はそこかしこにくすぶっていました。現在台湾にある「一府五院」の行政制度や「三民主義」の大本は国民政府設立から北伐を完了するまでの時期に作られたものです。
国民政府が始動して間もない1927年今度は中国南部で共産党が反乱を起こし始めます。国内はまったく安定せず、日本など諸外国からもちょっかいをかけ続けられる中華民国国民政府。そして1933年盧溝橋事件(中国では七七事変と呼びます)が発生し、国民政府は本格的に抗日戦争を始めます。
国民政府は1937年、南京に迫る日本軍から逃れるため首都機能を一時重慶に移転させます。そして終戦、1945年に南京に凱旋した国民政府は蒋介石を筆頭に国家の憲法を作ったり、インフラを整えたり国家の基礎固めに本腰を入れ始めるのです。
しかし!
超大国ソ連の支援を受けた中国共産党が各地で一斉に蜂起、国共内戦と呼ばれる泥沼の内戦が始まってしまいます。中華民国の建国からまだ30年ちょっとしか経っていません…。日本も無関係ではありませんが中国も大変ですね。
結局南京を追われることになった中華民国政府は台湾に移転。蒋介石は軍事独裁政権を敷き、台湾に古くから住んでいる内省人とそれ以前から続く台湾の形に手を加えながら、政府機能を拡充していきました。それから60年、やっと今の台湾にたどり着くのですが、それはまた別の機会に紹介したいと思います。
それではレシピです。
[材料]
牛リブロース(塊) ……… 1250g
白ネギ ……… 400g
シイタケ ……… 80g
ショウガ ……… 10g
丁香 ……… 5-8粒
水 ……… 1000cc
ごま油 ……… 大さじ1
[調味料]
ピーナッツオイル ……… 200cc
紹興酒 ……… 大さじ5
醤油 ……… 大さじ5と1/2
味の素 ……… 1g
砂糖 ……… 適量(大さじ4~6)
[作り方]
1.牛リブロース(塊)を鍋に入れ、冷水を加えてゆっくり加熱しながら沸騰させ、8分ほど火を通す。取り出して常温まで冷まし、両面に2-3cm間隔で十字に切れ込みを入れておく。切れ込みを入れたら両面に適量の醤油をよくすり込み、ラップで被って5分ほど味をしみこませておく。白ネギをぶつ切りにする。ショウガをうす切りにする。シイタケをいしづきを取ってうす切りにする。タケノコを下処理し、うす切りにする。
2.熱した鍋に100ccのピーナッツオイルをひき、作り方1の牛リブロース(塊)を入れて両面に軽く焦げ目が付くまで焼く。更に50ccのピーナッツオイルを加え、白ネギを加えてこちらも全体に軽く焦げ目が付き、きつね色になるまで炒める。
3.作り方2の鍋にショウガ、丁香、残りのピーナッツオイル、醤油、紹興酒、砂糖(→Point参照)、水を加え、蓋をして加熱して沸騰させる。沸騰したらそのまま牛リブロースが柔らかくなるまでとろ火で約3時間煮込む。
4.煮込み終わったら一度強火でスープを対流させ浮いてきた丁香を取り除く。最後に味の素を加え、器に盛りつけたらごま油を振りかけて完成。
Point!
甘目が好きな方は砂糖を多めに加えましょう。逆にまったく加えなくても作れます。
ネギの味をいかにして肉に移すのかがポイントです。軽く焦がしたネギの旨味を弱火で長時間じっくりと煮込んで肉にしみこませましょう。
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