2014年10月4日土曜日

叫化雞│叫化鶏

難易度: 調理時間:3時間
たまには江蘇料理を。江蘇省は淮揚の『叫化雞│叫化鶏』のレシピを紹介します。様々な具材と鶏肉をハスの葉で包んで作る絶品料理です。

中華料理を分類する方法は「八大菜系」と呼ばれる手法が一般的で、江蘇料理はその一つに分類されます。この江蘇料理はさらに、金陵菜(または京蘇菜)、淮揚菜、蘇錫菜、徐海菜に分けられます。今回紹介する『叫化雞』は淮揚菜に属します。

この淮揚菜は非常に古い歴史を持ち、八大菜系のさらに上位分類である四大菜系に四川料理、広東料理、山東料理と名前を並べています。

秦の始皇帝の中華統一から現在まで、今の江蘇省揚州は周辺地域の政治経済の中心でした。秦の始皇帝の時代にはすでに「食といえば揚州」と呼ばれていたほどで、その美食の歴史はさらにさかのぼることができます。今でこそ福建料理や四川料理が中華料理の代名詞のように語られていますが、長い中華の歴史を通して美食といえばほぼ一貫してこの淮揚菜だったのです。

…こういう説明を聞くと、途端に食べたくなってきますね…。

今回紹介する『叫化鶏』は淮揚菜を代表するといわれる料理で、『黃泥煨雞』、『乞兒雞』などの別名があります。もともとは清朝時代にたまたま一匹の鶏を得た乞食が、調理器具もない、調味料もないという状況で苦肉の策で編み出した料理が元になっているといいます。

鶏肉を食べようにも調理する鍋がなかった乞食は羽がついたままの鶏に泥をまぶし、たき火の中に投げ込んで泥が固まるまで焼いてから、泥を落として鶏肉を食べました。泥を隔てた加熱でじっくりと火を通した鶏肉は泥中の塩分で絶妙に味付けされており、乞食はその味に驚いていろんな場所でこの料理を自慢します。この調理方法に目を付けた料理人が少し手を加えて再現したところ非常なる人気を博し、その名は一気に全国に広がりました。1950年代は国賓をもてなすのにもつかわれていたそうです。今では様々に手を加えられたレシピが伝わっています。

日本で作るならハスの葉を手に入れさえすれば、再現が可能です。鶏丸ごと一匹のうまみを一滴も漏らさずに肉の中に閉じ込めて作りますので、そのうまみはまさに極上。いい鶏肉が手に入ったらぜひ再現してみてください。


[材料]
鶏肉 ……… 1匹
シイタケ ……… 5個
エシャロット ……… 1個
小麦粉 ……… 300g
ネギ ……… 30g
ショウガ ……… 15g
水 ……… 210㏄

[調味料]
塩 ……… 小さじ1
酒 ……… 大さじ1
醤油 ……… 大さじ2
オイスターソース ……… 大さじ2
胡椒 ……… 少々
ハスの葉 ……… 1枚
花椒 ……… 5g

[作り方]
1.鶏肉は内臓を抜いてきれいに洗い、関節を外して畳んでおく。ハスの葉は水に浸けて柔らかくしておく。

2.ネギ、ショウガ、ニンニクをみじん切りにし、塩、酒、醤油、オイスターソース、胡椒と混ぜ合わせる。これを鶏肉の表面に塗り、余ったものは体内に入れておく。

3.花椒をフライパンなどであぶって香りを出し、すりおろして鶏肉の上からまんべんなく振り掛けておく。鶏肉はラップで包んで冷蔵庫で1時間寝かせておく。

4.シイタケとエシャロットは千切りにする。

5.冷蔵庫から取り出した鶏肉の表面をきれいにし、除いたネギ、ショウガ、ニンニクなどはシイタケ、エシャロットと混ぜ合わせて体内に入れる。鶏肉の上に胡椒を少しまぶしておく。ハスの葉を広げて鶏肉を包んでおく。

6.小麦粉に水を混ぜ合わせパン生地を作る。濡れ布巾などをかぶせて5分ほど寝かせたら、薄く延ばして鶏肉を包んだハスの葉の上からさらに包む。表面に刷毛などでサラダ油(分量外)を塗っておく。

7.160度に熱したオーブンで80分焼き上げる。

8.火が通ったらパン生地とハスの葉を除き、腹に包丁を入れて具を取り出す。器に具と一緒に盛り付けて完成。

Point!
鶏肉は包丁でたたいて骨を砕くか、関節を外して丸くなるほうに成形しておきます。首や足を切っておいても作れますのでお好みで。

鶏肉と調味料を冷蔵庫で寝かせるときは、途中一度身をひっくり返して均等に味が回るようにしましょう。長時間浸けるとそれだけ味がしみます。

ハスの葉で包む前に胡椒と一緒に五香粉などを振りかけると中華っぽさが増します。

ハスの葉を水に浸ける時間は10分ほどで構いませんが、夏場などで葉が少し乾燥している場合は30分ほど浸けて葉を柔らかく、みずみずしく保ちましょう。

焼けたパン生地は食べません。鶏肉とハスの葉の香りを中に完全に閉じ込められるよう、穴が開かないよう完全に覆いましょう。

作り手によって鶏肉の味付けに使う材料が異なります。レシピで紹介したもの以外にもタケノコ、ピーナッツ、タマネギ、ソーセージなどで香りや味を付けることがありますので、なれたら好みで様々な材料を添えて作ってみましょう。

使用する鶏肉はなるべくいいものを使いましょう。鶏肉の差がもろに出ます。


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