お待ちいただいていた薬膳ファンの方!甘口男の薬膳シリーズが戻ってきました!まぁ、他の仕事が忙しかっただけなのですが…、お待たせしました。
さて、今回は『姜糖飲│生姜ドリンク』、いわゆる最もシンプルな形の「生姜湯」になります。1964年に中国で出版された《兒科證治簡要》という書籍に記載されている処方で、書籍名から分かるように大人の病気というよりも小児の血色が悪い、母乳を飲まないなどの症状を改善するために使われます。もちろん生姜本来の力で大人の風邪や冷え症などにも効きます。
ちなみに日本の漢方と中医学とではこの料理で使う「生姜(ショウキョウ)」の加工方法が異なります。日本の漢方では「乾燥させたショウガ」を、中医では漢字の意味そのまま「生のショウガ」を用い、日本の薬剤師が中医学を学ぶときに最初に混乱する原因となっています(笑)。日本の漢方で使う生姜、つまり乾燥させたショウガは中医学では「乾姜(カンキョウ)」と呼び、効能が異なるものとして使い分けます。
日本も中国も色々と歴史的な変遷があって一概には言えないのですが、日本では明治時代に最初の日本薬局方を作るとき、「生姜(ショウキョウ)」を生ではない乾燥品を用いることになりました。これは間違えて記載されたと言うよりも表記の統一をするためであったと考えられ、同じ「乾姜」でも様々な加工方法があり、それぞれ性味が異なるという中国の現状とは一概に比べられません。
さて、生薬としてのショウガは学名を Zingiber officinale と呼び、始載はおなじみ《神農本草経》。“乾薑 味辛溫。主治胸滿咳逆上氣、溫中止血、出汗、逐風濕痹、腸澼下利、生者尤良。久服去臭氣、通神明。生川谷。”と記載されています。現在もほとんど同じ目的で使用し、書籍に記載された当時にはすでにその使い方が確立していたことが推察されます。記録によれば紀元前500年にはすでに中国やインドで栽培されていたそうで長い歴史を持ちます。
ショウガは食材、薬として長い歴史を持ち、現在でも非常に重要な商品作物です。
以前広東省の名物デザートとして紹介した『姜汁撞奶│広東風ショウガプリン』もお忘れなく!
[材料]
生姜 ……… 10-20g
三温糖 ……… 20g
水 ……… 600cc
[効能]
溫中散寒、暖血益胃。治不乳癥。先天虛寒或後天為寒邪所傷、致脾陽不振、運化失職、出生後二三日内不吮乳、面色灰暗或微青、四肢發涼、哭聲無力、指紋青暗、舌質淡、苔白潤。止嘔吐、除風濕寒熱、發汗解表、和中散寒。適用于風寒感冒、發熱頭痛、身痛無汗者。
[作り方]
1.ショウガをスライスして水を加えて20分ほど煎じる。砂糖を加えて完成。
Point!
これにネギ15gを加えた『姜糖飲』もあり、こちらはもっぱら風邪に使われます。胡荽を10gや紫蘇葉10g加えるとさらに効果がアップ!
消化不良などの胃の症状には大根30gをすりおろして加えるなどの方法もあります。
この料理から派生させて様々な薬膳料理が作れます。
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