浙江省の名菜といわれる『宋嫂魚羹│南宋風スズキのあんかけスープ』のレシピを紹介します。歴史ある非常に有名な料理です。
『宋嫂魚羹』は南宋時代の名菜で、今日より800年も昔に名付けられた料理です。宋の呉自牧によって書かれた料理の紹介本《夢粱錄卷十三 鋪席》には、“杭城市肆各家有名者”,“錢塘門外宋五嫂魚羹”と宋の時代に既に杭州の名菜として非常に有名だったことが分かります。
宋の周密によって書かれた《武林舊事》という書物に皇帝にまつわる料理として記載されているので簡単に紹介します。1179年3月15日、宋の第十代皇帝高宗趙構が西湖を遊覧しているとき、おなかをすかせた皇太子は近くにある『魚羹』の店が著名であることを聞き、部下に命じて買いに行かせます。西湖のほとりで『魚羹』を売り生計を立てる東京(開封)汴梁出身の宋五嫂という女性は、宋の南遷にしたがって杭州に移り住んできたほどの愛国者で、皇太子は彼女の作った『魚羹』を食べては非常に感動します。その後、船上の客を皇帝の一団だと知らない宋五嫂は、自分が故郷からこの杭州に移り住んだことを高らかに語り、皇帝の一団はそれを聞き王朝の安泰を確信しました。その後皇帝は充分な金銀絹を彼女に送り、その名を王朝中に広めました。これ以降、近隣に住む富豪たちは争ってこの『肉羹』を食べに訪れ、その名は天下にとどろき杭州の名菜と呼ばれるまでになるのです。その後も歴代の料理人が不断の改良を続け、もともと絶品であった味はますます精緻さを極めて行きます。カニ肉を使って作ることから『賽蟹羹』とも言われ、カニの風味が特徴の絶品料理です。
西湖を訪れることがあれば、絶対に外せない名品料理の一つです。現地で食べられない方は自分で作ってしまいましょう。非常に高名な料理ですが、材料の下ごしらえさえ終われば調理はほぼ一瞬で終わります。晩御飯のおかずにもおすすめの料理です。