本日はいつもより本格的な薬膳料理『 甘麥大棗湯│甘麦大棗湯』を紹介します。「かんばくたいそうとう」と読みます。日本で保険適用される医療用漢方製剤にも同名の処方がありますが、紹介するレシピは薬膳料理用ですこし作り方が異なります。
この処方(レシピ)の原典は「金匱要略」と呼ばれる書物で、婦人雑病というカテゴリーにこの処方が出てきます。原典の説明はそんなに長くないので、抜き出してみましょう。
婦人藏躁、喜悲傷欲哭、象如神靈所作、數欠伸、甘麥大棗湯主之。
按:甘草小麥大棗湯、方義未詳、必是詭錯。
註:藏、心藏也、心靜則神藏。若為七情所傷、則心不得靜、而神躁擾不寧也。故喜悲傷欲哭、是神不能主情也。象如神靈所憑、是心不能神明也、即今之失志癲狂病也。數欠伸、喝欠也、喝欠頓悶、肝之病也、母能令子實、故證及也。
方劑:甘草小麥大棗湯方
甘草三兩 小麥一升 大棗十枚
右三味、以水六升。煮取三升。溫分三服。亦補脾氣。
というわけで、ヒステリックな婦人で、喜んだり悲しんだりと感情の起伏が激しく、時に心霊の所作に思えるもので、あくびが多いものに効果があると書かれています。あまり日常生活に支障が出るようだと病院の受診を進めますが、普通の人が一時的に精神のコントロールを失っているくらいならこの薬はよく効きます。気持ちが高ぶって眠れないという方にもいい薬膳です。
子供の夜泣きや癇癪にも使ったりします。結構有名な処方です。神経の高ぶりや精神の浮き沈みが激しい人にはとても良く効く薬膳料理です。
材料は全て日本でも(割りと)簡単に手に入るものばかりですので、ぜひお試しください。
[材料]
小麦 ……… 60g
大棗 ……… 18粒
甘草 ……… 15g
水 ……… 1000cc
[調味料]
塩 ……… 少々
[作り方]
1.小麦を研いで水に30分ほど晒しておく。大棗は種があるものは包丁で二つに割り、種を除いておく。
2.鍋に小麦、大棗、甘草と水1000ccを入れて強火で加熱し、沸騰したら蓋をして弱火で1時間ほど煮込む。
3.鍋に入っている甘草を除き、スープ皿などに移して完成。
Point!
砂糖は使っていませんが甘いスープです。 気持ちを強力に落ち着けてくれます。
簡易版で小麦粉を使ってもいいと思いますが、鍋を見張っていないと焦げます。時々かき混ぜましょう。
体力も低下している人は高麗人参や黄耆を10g程加えてもいいでしょう。
大手スーパーのハーブ・スパイスコーナーなら「リコリス」という名で甘草が売られていたりします。粉末状のものはパックに入れたりして使ってください。
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