中国でもちょっと珍しい山西省の料理『燎肉│燎肉、山西風豚肉炒め』を紹介します。ちょっと特殊なお酒を自作する必要がありますが、材料も調理方法もとても簡単なので日本でも再現しやすい料理です。似た名前の『火爆燎肉』という料理もあるのですが、ちょっとだけ作り方が違います。
レシピはおそらく本邦初公開…のはずです。
この『燎肉』という料理、なかなか面白い曰くがあるので紹介します。
『燎肉』は『火燎肉』とも呼び、もともとは山西省洪洞縣蘇堡の劉秉括という人の家の料理でした。清の乾隆年間に劉家の一族は宮廷で非常に出世し、実家を豪華に建替えて多くの料理人を雇っていたといいます。しかしその繁栄は長く続かず、数年後には急速に没落してお抱えの料理人たちは『燎肉』のレシピと共に民間に散らばることになりました。
中華民国初年、洪洞城古陽飯庄にある一軒のレストランで、この『燎肉』が非常に人気を博します。この『燎肉』のレシピは長らく門外不出でしたが、1975年に当時齢90歳であった王三という料理人の口述により製法が明らかにされました。その後山西省の伝統名菜として現在に受け継がれることになります。
1975年といえば文化革命真っ只中、王三という老料理人がなぜこのレシピを公開する気になったのかなかなか興味深いところです。
ある一族に伝わる伝統料理が紆余曲折を経て現代に蘇るという面白いストーリーの料理です。名前もかっこいいので、ぜひ日本で再現してみてください。
[材料1]
米焼酎 ……… 200g
玉露茶葉 ……… 3g
[材料2]
豚背肉 ……… 300g
キクラゲ ……… 50g
シイタケ ……… 25g
ネギ ……… 10g
ニンニク ……… 1個
ショウガ ……… 5g
玉露酒 ……… 15cc
[調味料]
味の素 ……… 2g
塩 ……… 5g
[下準備]
1.米焼酎に玉露茶葉を入れ、3-4日寝かしておく。3-4日経ったら漉して茶葉を取り出して玉露酒の完成(→Point参照)。
[作り方]
1.豚背肉を厚さ0.5cmほどの薄切りにし、ボウルに入れて調味料と混ぜ合わせておく。タケノコとシイタケは薄切りにする。ネギはぶつ切りにする。ショウガは叩いて潰しておく。
2.熱した鍋にサラダ油100g(分量外)を加えて160度まで加熱する。作り方1の豚肉をくわえ、強火で一気に火を通したら、ネギ、ショウガ、ニンニク、キクラゲ、シイタケ、豚肉を浸けておいた残り汁を加えてかき混ぜる(→Point参照)。全体に火が通ったら取り出して油を切り、玉露酒を振りかけてざっくり混ぜ合わせて完成。
Point!
玉露酒は玉露の甘さと酒が合わさった絶品カクテル!あまった玉露酒はおいしく飲みましょう。作るのが面倒くさい方はペットボトルの玉露と米焼酎を1:1で混ぜて簡易版玉露酒を作って使いましょう。本来は中国の白酒を使って浸けますが、このレシピでは米焼酎を使っています。普通の料理酒や清酒でも大丈夫だと思うので好きな米酒で作ってください。
炒めるのは強火で1分以内。豚肉はまとめて投入し、鍋の中でかき混ぜながら火を通します。一部の豚肉の端がほんのすこし少し焦げるくらいで残りの材料を投入し、最後の豚肉一切れに火が通った瞬間に取り出して玉露酒を混ぜ合わせます。時間は短いですが集中して作ってください。
シイタケとタケノコを調理している時間はほぼ数秒です。そのくらい強火で作ってください。中華なべを火が立ち上るほど激しく揺らすという調理方法で作ります。料理名の「燎」は調理方法を
色がほしいという方は薄切りのニンジン、カリフラワー、サヤエンドウなどを加えましょう。
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