今回から数回に分けて様々な『煎餅』の作り方を紹介してみたいと思います。漢字は同じですが、日本の「煎餅)せんべい)」 とはまったく異なる料理です。勘違いなきようご注意ください。
現代の日本の煎餅は米粉などを練り焼いたものを指すのはご存知の通り。日本での最古の記録は奈良時代にまで遡り、正倉院に保管されている書物にも煎餅の記載があります。当時は油で揚げた餅を煎餅と呼んでいたそうです。
もちろん中国での歴史はそれよりもはるかに古く、東晋時代(AC317-420年)、当時の伝説を多数収録した書物である《拾遺記》にすでに記載があります。この本では「江東俗称、正月二十日為天穿日、以红絲縷系煎餅置屋頂、謂之補天漏。相傳女媧以是日補天地也。」と書かれており、当時の風俗と密接に関連していたことが分かります。「女媧」とは古代中国の神様で、天にある水の漏れる穴を塞いで洪水を止めたという伝説があり、中国人の始祖で婚姻制度を作った神様とされます。この書籍によれば古代中国では女媧の伝説に倣って屋根に煎餅を載せるという習慣があったようです。中国古代シャーマニズムと穀物が密接に関連していたことの名残でしょう。
稲作と同時期に日本にも煎餅の製法が伝わったようで、その後中国と日本では異なる進化を遂げ、日本ではわれわれが良く知る煎餅に、中国ではお好み焼きのような形になるのです。
今回のレシピは中国のお好み焼き風煎餅のレシピで、韓国の「煎│전」にも近い料理ですが、小麦粉だけでなく様々な穀類の粉を使って作ります。まずはオーソドックスに小麦粉とコーンスターチを使って作る『煎餅』を紹介します。明日からは少しずつ珍しい材料を使って作ってみます。
お好み焼き感覚でいろんな材料を加えてお試しください。
[材料1]
シイタケ ……… 2個
タマネギ ……… 40g
人参 ………30g
ネギ ……… 15g
レタス ……… 100g
[材料2]
小麦粉 ………60g
コーンスターチ ……… 20g
卵 ……… 1個
水 ……… 70cc
[調味料]
塩 ……… 少々
[作り方]
1.材料1を全て千切りにする。
2.熱したフライパンに少量の油(分量外)をひき、材料1を野菜の香りが出るまで軽く炒める。
3.ボウルにすべての材料2を加えてよくかき混ぜ生地を作る。これに作り方2の野菜を加えてよくかき混ぜる。
4.フライパンに少量の油(分量外)をひき、作り方3の生地を流し込んで円盤状に成形し、途中ひっくり返して両面がきつね色になるまで焼いたら完成。
Point!
お好み焼きのように蒸らしたりせず、表面がパリパリになるまで焼き上げます。野菜にはあらかじめ火を通しておくので、生地の焼け具合だけを見て調理してください。野菜だけで作る素食の一種です。好みで肉類を加えても美味ですが、その場合もあらかじめ軽く火を通しておきましょう。
もち米粉を使うともっちり感が出、米粉を使うと食べやすく、豆粉を使うとカリカリに焼きあがります。小麦粉の一部を好みでこれらに置き換えてください。中国の各地方ごとに配合が異なり、それが地方の煎餅の特徴となっています。
『煎餅』の生地と具の比率はだいたい材料250gに対して、生地の穀物粉70g、卵1個、水70ccが目安です。この比率ならどんな穀物粉を使っても美味しく作れるでしょう。
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