本日は「中餐丙級證照」シリーズから、『芋頭燒小排│サトイモとバラ肉煮込み』という料理を紹介します。
芋頭は本来サトイモではなく、タロイモを指す中国語ですが、日本の普通の家庭で手に入れるのは難しいので同類のサトイモで代用しています。タロイモが手に入る方はそちらで代用してください。
サトイモはタロイモの一品種で、北方で栽培されるものを総称して言います。サトイモが所属する植物の科をサトイモ科というので紛らわしいのですが、サトイモ科の植物で根茎を食用にするものを総称してタロイモと呼び、このタロイモのうち北方で栽培されるものをサトイモと呼ぶのです。紛らわしいですね。九州や沖縄ではサトイモではない南国産のタロイモを手に入れることが出来ますよ。
さて、サトイモ科には半夏(はんげ)と呼ばれる有名な生薬があり、薬学を学ぶ人は一度くらいは「味わったこと」があることでしょう。サトイモ科といえば半夏というほどサトイモ科を代表する生薬なのですが、実は「タロイモ」自身も明朝の《本草綱目》に薬品として記載されています。果部の33巻の記載を抜き出してみましょう。
芋
(《別錄》中品)
【校正】自果部移入此。
【釋名】土芝(《別錄》)、蹲鴟。
時珍曰︰按︰徐鉉注《說文》云︰芋猶吁也。大葉實根、駭吁人也。吁音芋、疑怪貌。又《史記》︰卓氏云︰岷山之下、沃野、下有蹲鴟、至死不飢。注云︰芋也。蓋芋魁之狀、若鴟之蹲坐故也。芋魁、《東漢書》作芋渠。渠、魁義同。
【集解】弘景曰︰芋、錢塘最多。生則有毒、味 不可食。種芋三年、不采則成 芋。又別有野芋、名老芋、形葉相似如一、根並殺人。恭曰︰芋有六種︰青芋、紫芋、真芋、白芋、連禪芋、野芋也。其類雖多、苗並相似。莖高尺餘、葉大如扇、似荷葉而長、根類薯蕷而圓。其青芋多子、細長而毒多、初煮須灰汁、更易水煮熟、乃堪食爾。白芋、真芋、連禪、紫芋、並毒少、正可煮啖之、兼肉作羹甚佳。蹲鴟之饒、蓋謂此也。野芋大毒、不可啖之。關陝諸芋遍有、山南、江左惟有青、白、紫三芋而已。
(略)
芋子
【氣味】
辛、平、滑、有小毒。
大明曰︰冷。
弘景曰︰生則有毒、味 不可食。性滑下石、服餌家所忌。
(略)
【主治】
寬腸胃、充肌膚、滑中(《別錄》)。冷啖、療煩熱、止渴(蘇恭)。令人肥白、開胃通腸閉。產婦食之、破血;飲汁、止血渴(藏器)。破宿血、去死肌。和魚煮食、甚下氣、調中補虛(大明)。
【發明】
詵曰︰芋、白色者無味、紫色者破氣。煮汁啖之、止渴。十月後晒乾收之、冬月食不發病、他時月不可食。又和鯽魚、鱧魚作 良。久食、令人虛勞無力。又煮汁洗膩衣、白如玉也。
大明曰︰芋以薑同煮過、換水再煮、方可食之。
(略)
葉、莖
(略)
というわけで、昔はものによっては有毒、特に生で食べるのは止めたほうがよいとされていました。また白いもの以外にも紫や青いものも食べられていたようで、現代ほど厳密には種類分けされてはいませんが中国各地でさまざまな「芋」が栽培されていたこと、葉や茎も使われていたことなどが分かります。
薬としての効果は胃腸を広げ、肌を潤し、消化を浴します。胸に溜まった熱を取り指り、喉の渇きを潤す、体に溜まった古い血を取り除くなど作用などがあるそうです。また魚のえさに使ったり、洗った服を白くしたりするのにも使われていたそうで、これは豊富に含まれる澱粉質を利用していたのでしょう。
何度も何度も「生食はダメ」とか書かれているのは、タロイモをはじめとするサトイモ科の植物にはシュウ酸の針状結晶が含まれるため。加熱してタンパク質を変性させ、この結晶を覆ってしまわないと胃腸がひどく荒れてしまいます。サトイモもタロイモも必ず加熱して使いましょう。
とい分けで、本日はサトイモを使った家庭料理です。
[材料]
豚バラ肉 ……… 300g
サトイモ ……… 200g
ネギ ……… 2本
ショウガ ……… 20g
トウガラシ ……… 1本
チンゲンサイ ……… 6本
[調味料1]
塩 ……… 小さじ1/4
片栗粉 ……… 小さじ1
[調味料2]
醤油 ……… 小さじ2
水 ……… 200cc
塩 ……… 小さじ1/4
味の素 ……… 少々
砂糖 ……… 小さじ1/2
酒 ……… 大さじ1
[作り方]
1.ショウガは薄切りにする。トウガラシはぶつ切りにして、種を除く。ネギはぶつ切りにする。サトイモは皮をむき、厚さ2cmの薄切りにする。
2.豚バラ肉はさいの目に切り、調味料1と混ぜ合わせてよく揉んで、10分ほど浸けておく。
3.鍋に揚げ物油を入れて160度まで熱し、サトイモを入れる。サトイモは揚げて火を通してから取り出し油を切っておく。続いて同じ油で作り方2の豚バラ肉を、色が白くなるまで炒めて取り出し、油を切っておく。
4.熱した鍋に大さじ2のサラダ油(分量外)を加え、ショウガ、トウガラシ、ネギをいためて香りを出す。続いて作り方3の豚バラ肉とサトイモ、調味料2を全て混ぜ合わせたものを加え、蓋をして弱火で煮込む。
5.鍋の中身が焦げ付かないように時々混ぜ合わせながら、汁気を煮詰めたら器に盛り付ける。最後に茹でたチンゲンサイを上に乗せて完成。
Point!
チンゲンサイの盛り付けまでがセットになった料理ですが、作り方5は省略して肉とサトイモだけでもおいしく食べられます。
サトイモはしっかりと火を通しましょう。
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