2013年7月4日木曜日

山楂丹參粥│山査丹参粥

久しぶりに薬膳レシピの紹介です。その名も『山楂丹參粥│山査丹参粥』といい、血液の流れを改善する薬膳料理です。

先日久しぶりに日本の友人(薬剤師)と飲む機会がありました。一緒に飲んでいた友人は深刻な顔で「私オケツなんだよねぇ」と切り出し、言われた私は「オケツかぁ。ウコン飲め、ウコン。」とこのような台詞を返しました。一般人が聞いたら何のシモネタ?と首を傾げてしまうことでしょう。

お酒も入っていたので、割と盛り上がってオケツについて語り合ってきたのですが、別にいやらしいことを話していたわけではありません。「オケツ」とはきちんとした漢方医学の用語で、近年話題の血の流れに関するきわめて真面目なお話です。

オケツとはお尻…のことではなく、漢字で「瘀血・淤血」と書き、血の流れが滞っている状態を表します。先述の友人が言っていた台詞は、「私血の流れが悪くってさぁ」の意味ですね。中医学ではその前駆状態を「血淤」と書きます。紛らわしいですね(笑)。

というわけで、今回は友人が悩んでいる「瘀血」に対する薬膳料理です。基本的に瘀血の治療には時間がかかることが多く、料理を一つ食べたからといって劇的に症状が改善するというものではありません。長年の積み重ねが大事です。治療には気血を通し、滞塞させずに云々…とか、難しい話もあるのですが、ここでは深く語らないことにしましょう。

今回の料理の一番のポイントは「丹参」、シソ科Salvia属の植物の根を乾燥させたものです。血流を増し、冠状動脈を広げ、血小板の凝固を阻害し、貧血、月経不順などの各種血液に関する薬理作用がたくさん報告されています。それ以外にもさまざまな効果がある優秀な生薬の一つで神農本草経でも上品に分類されています。甘口男の『火鍋』シリーズにも入っています(笑)。

他にも三七人参、川芎、桃仁、ウコンなどが、瘀血を改善する代表的な生薬なのですが…、まぁ、普通の人は覚えておく必要はありません。山査子の効能については別の機会に…。


「山楂子│山査子」、「丹參│丹参」の両者とも繁体字と日本とで微妙に漢字が違いますが、間違えて書いても大体通じます。台湾で購入時にも恐れず筆談で挑みましょう。

ひさしぶりに小難しいことを書きましたが、出来上がる料理は、サンザシのほのかな酸味と砂糖の甘さが特徴の滋養たっぷりのお粥です。特に産後や病中病後の方、また手足の冷えるお年寄りなどにも美味しく食べていただけると思います。材料はすべて日本の漢方薬局でも手に入りますし、台湾の迪化街などでも購入できます。メールいただければ小分けもいたします。機会があればお試しください。血の流れが原因で起こるさまざまな症状に効果がありそうです。


写真は主薬の丹参。

難易度:


調理時間:
1時間以内

材料:
米 ……… 150g
サンザシ ……… 10g
タンジン ……… 5g


調味料:
水 ……… 適量
砂糖 ……… 大さじ1


作り方:
1.サンザシはよく洗い、種を除いて1cmの長さに切る。タンジンは10分ほど水に漬けておき、柔らかくしてから4-5cmの長さに切っておく。米はといでおく。

2.サンザシ、タンジン、米を炊飯器に入れ、お粥を作れるくらいの適量の水を加えて炊く。出来上がったら砂糖を混ぜ合わせて完成。


Point:
血の流れをよくするほかに、喉の渇きを止めるという作用も期待できます。夏場水ばかり飲んでいる方にもおすすめです。

お粥の固さは水の量で調節してください。

お粥の中のサンザシとタンジンは食べても問題はありませんが、嫌いな方は避けて食べましょう。

ちなみに同じく血の流れをよくする生薬の「川芎」は台湾の『牛肉麺』にはほぼ必ず入っています。特徴的な香りのある生薬なので、牛肉麺を食べるときに材料を想像しながら食べて見ましょう。台湾牛肉麺の日本のラーメンにはない独特の香りの一つは、この生薬から生まれます。


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