中国ではチャーハンといえばこれ!数あるチャーハンの代名詞ともいえる『揚州炒飯|揚州チャーハン』のレシピを紹介します。具は基本的に自由!今回はチャーシューとエビで作っていますが、何でも加えて作りましょう。
この『揚州チャーハン』は名前に揚州とは入っていますが、揚州とは関係がないという不思議な料理です。
揚州は江蘇省の都市で、漢代に開かれ、唐代に大運河の集積地として発展しました。8世紀には中国最大の国際港としてアラブやペルシャの商人らが集まって発展し、当時は世界最大級の都市のひとつでした(ほどなく大虐殺があって衰退します)。
揚州といえば…日本には馴染みの深い「鑑真」の出身地です。彼は日本に渡る前、今もこの地に残る大明寺という寺で修行を行っていました。
彼が日本に渡った経緯をざっくり説明すると…。
当時の日本は仏教伝来から間がなく、僧となる人は自分で「俺、今日から出家して僧やるわ」と宣言すれば誰でも僧となることが出来ました。そのため仏法をないがしろにするものが多くあり、きちんと認められて僧になった人たちから批判が出ていました。
他の僧10人に認められて僧となることを受戒といい、天皇家はこの受戒の制度を公式化しようとしますが、そのために大量の「正式な僧」が必要となりました。すでに日本に渡っていた幾人の中国僧から受戒を行える僧として高名だった鑑真の元に僧を送るよう要請があり、鑑真は弟子らに日本へ行ってくれないかと要請します。しかし危険を犯してまで日本へ渡ろうとするものがなく、鑑真は仕方なく自身が日本へ赴くことを決断します。それを知った弟子たちはその姿に心打たれ自分たちも日本へ渡ることを決意するのです。鑑真と共に日本へ渡ろうとした弟子は21人。ただし全員が全員本気で日本へ渡りたいとは考えていなかったようです。
ご存知のように彼が日本へ渡ろうとする試みはことごとく失敗に終わります。
初回は日本へ渡るのを嫌がった弟子の虚言により日本からの使者が捕縛され出港停止。
二回目は暴風雨で出港後の船が中国に帰還。
三回目も鑑真の弟子が渡日を阻止するため日本からの使者を密告し、出港停止。
四回目は港を変えて出航を試みますが、ここでも弟子の密告により出港停止。
五回目はようやく出航できましたが、またも暴風雨にあい漂流。この時は海南島に漂着し、そこで一年間滞在して医薬品の知識を広めました。海南島から揚州に戻る途上で日本からの使者が死亡、動揺した鑑真はなぜかインドへ向かおうとしますがこれも弟子らに止められます。また鑑真は揚州に戻る途上で伝染病と疲労により両目を失明してしまいました。
六回目、いよいよ渡日の決意を固めた鑑真は帰国する遣唐使らと共に、日本へ渡ろうとします。しかしここでも鑑真の才能を惜しんだ皇帝によって乗船が阻止されてしまいます。日本人は遣唐使一行が乗った船ではなく、その随伴船に紛れ込ませる形で鑑真を乗せようやく出航することができました。ここでも暴風雨にあって遣唐使一行を載せた主船は南方へ漂流してしまいますが、運よく鑑真の乗った随伴船は「阿児奈波(あこなわ)」という島を経由して日本へ無事到着することができました。この阿児奈波は沖縄が文献に登場する最初の例とされています。
最初の渡航失敗が743年、六回目の成功が744年で、およそ十年を日本への渡航へ費やしたこととなります。
日本へ渡った鑑真は東大寺で受戒の任に当たり、多くの仏僧を生み出しました。鑑真により日本の仏教は急速に制度化されていきます。763年没。没後、その死を惜しんだ弟子により日本最初の肖像彫刻が作られました。鑑真の功績は779年に編纂された《唐大和上東征伝》という書物に詳しく描かれています。原文は漢文ですが日本語訳注した論文が見つかったので紹介しておきます。なかなか読み応えがあって面白いです。(Link→http://ci.nii.ac.jp/els/110006992665.pdf?id=ART0008904775&type=pdf&lang=jp&host=cinii&order_no=&ppv_type=0&lang_sw=&no=1453364012&cp=)
そんな鑑真の故郷の名前を冠したチャーハンをお楽しみください。もう一度書きますが、名前に揚州とは入っていますが、揚州とは関係がありません(笑)。
過去に紹介した同名料理のレシピはこちら。
[材料]
チャーシュー ……… 20g
エビ ……… 20g
ネギ ……… 10g
レタス ……… 10g
卵 ……… 2個
ご飯 ……… 200g
[調味料]
塩 ……… 適量
胡椒 ……… 適量
[作り方]
1.チャーシューを千切りにする。エビの殻を剥き背ワタを除いておく。ネギをみじん切りにする。レタスを千切りにする。卵を溶いておく。
2.熱した鍋に大さじ2のサラダ油をひき、卵を入れて手早くかき混ぜながら煎り卵を作る。続いてチャーシューとエビを加えてエビの色が変わるまで炒めたら、ご飯を加えて米粒がバラバラになるよう炒める。最後にネギとレタスを加えて混ぜあわせたら、塩、胡椒で味を整えて完成。
Point!
作り方は普通のチャーハンと同じです。普通の家庭で出せる最高の火力で短時間にパパッと作りましょう。弱~中火でジリジリ加熱するのはNGです。
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