台湾の家庭料理『番茄魚片│中華風タイのトマト和え』のレシピを紹介します。大きめに切ったタイの切り身に生のトマトとケチャップベースのソースを絡めて食べる料理です。どこか西洋風ですが、台湾バジルやごま油などの中華食材を使えばしっかりとした中華料理になります。
一口に中華料理とはいっても広大な土地と多彩な気候、そして長大な歴史を持つ中国を基礎とする料理ですので、それはもうとてつもなく大きな広がりと深さがあります。しかしあえてヨーロッパや中東などその他の地域の料理と比べたとき、中華料理には「國菜五品」と呼ばれる特徴があると言うことができるでしょう。
國菜五品とは「色、香、味、意、形」の五種類の特徴のことで、強烈な香り、千変万化の調味料で引き出す素材の味、食材に込められた意味、料理自体の美しさの五つの特徴を意味しています。
この五つの条件が揃えば揃うほど、中華料理としての格も上がっていきます。要は皇帝に献上できるレベルになってくるということです。どれだけ簡単な中華料理でも二つか三つは条件を満たしているので、和食と比べてみると面白いかもしれません。
日本人には極めて身近な中華料理である『麻婆豆腐』は、ただ作るだけならレトルト食材でものの数分で完成しますが、この五つの条件を満たそうと思えばとても大変です。豆腐の味がちゃんと感じられるか、豆腐の旬は見極めているか?調味料が濃厚で、かつ食材の邪魔をしていないか?香りは?豚のひき肉粒の大きさは整っているか?豆腐の切り方やその大きさに意味を込めているか?そもそもその相手に『麻婆豆腐』を作っても良いのか?何も言わなくてもそれが相手に伝わるか?見た目が美しいか?そして何よりおいしいかどうか?
一つの料理にこれだけの哲学を込めて作るのは並大抵のことではありません。これができるようになって初めて「超一流の」中華料理人と呼べるのです。「素晴らしいアイディアで新しい料理を生み出し、それを食べにお客さんが列を作ってくれる」程度では、まだまだ条件を3つ4つ満たしただけの一流の入り口に足をかけた料理人ということなのでしょう。
一芸を極めれば万事に通じるといいますが、 料理以外の分野でも高みを目指すなら同じような深さで物事を極めていく必要がありそうです。
そしてさらに敬服すべきことは…この「国菜五品」があくまであらゆる中華料理の"基礎"であるということです。中国各地の地方料理には、またそれぞれに特徴と貫くべき基礎というものが存在します。
そんな精神的な高みから眺める世界はどのように見えるのでしょうか?いつかそんな景色をブログで紹介してみたいものです。
[材料]
タイ切り身 ……… 300g
トマト ……… 1個
バジル ……… 20g
[調味料]
トウガラシ ……… 1/3本
塩 ……… 少々
胡椒 ……… 少々
砂糖 ……… 小さじ1/3
ケチャップ ……… 大さじ3
ごま油 ……… 小さじ1/2
[作り方]
1.タイ切り身を一口サイズに切る。トマトを食べやすい大きさに切る。バジルを千切りにする。トウガラシを千切りにする。
2.すべての調味料とバジルを混ぜ合わせてソースを作る。
3.鍋にお湯を沸騰させ、タイ切り身を茹でて火を通す。
4.作り方3のタイ切り身とトマトを混ぜて器に盛り付け、作り方2のソースをかけて完成。
Point!
手に入らない食材は似たような機能や味のもので代用しましょう。バジルの代わりにパセリでもいいですし、タイ以外の白身魚でも作れます。
辛みはトウガラシの量で調節しましょう。
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