台湾の家庭料理『五味炸里肌│中華風トンカツの五味ソース添え』のレシピを紹介します。サツマイモデンプンを衣にしてあげた豚ロースに風味豊かな『五味ソース』を添えた料理です。おかずにおつまみに大活躍の料理です。
今回の料理で使う『五味ソース』の「五」と中華民国の政治には密接な関連(?)があります。
日本には三権分立という政治システムがあります。初等教育の教科書で学ぶので、われわれ日本人なら誰もが知っていることだと思います。おさらいしておくと「国民の自由と権利のため、立法・行政・司法の権限を分離して相互監視する」というシステムです。≪法の精神≫、モンテスキュー(中国語では孟德斯鳩)が提唱したのはご存知の通り。特に三権分立は様々な国家で採用されている政治の基本システムです。
ちなみに日本では行政権が内閣に属し、内閣総理大臣(やその他の国務大臣のほとんど)が国会議員を兼ねるため、立法権>司法権という構図が少なからずあり、完全な三権分立にはなっていません。総理大臣やるときは国会議員やめればいいんですけどね
台湾、中華民国ではこの三権分立をさらに進めて、五権分立という政治システムを取っています。考案したのは孫文で、三権分立の長所と古代中国に存在した考試権と監察権という独自のシステムを合わせた五権分立、すなわち立法、行政、司法、考試、監察の五権それぞれに権力を分散、相互監視するというシステムを提唱しました。中華民国の政治の基本であり、憲法にも記載されています。
行政権と考試権(要は公務員などの試験制度)が一緒になっていると、権力者が支持者や友人を国家中枢に容易に潜り込ませることができること、立法権と監察権が一緒になっていると、議会専制を招く危険があることがその主な理由です。考試権の独立はもちろん古代中国の科挙制度を参考にしています。これらの理論は別に孫文が完全独自に考案したものではなく、当時の政治学研究者らが指摘していたものを少し改変した程度のものですが、実際に国家制度に採用した中華民国はかなり特殊です。
この分離された五権それぞれに監督する国家機関とその長がいます。すなわち行政院、立法院、司法院、考試院、監察院で政治の問題が発生するとこれらの名称が新聞紙上をにぎわせます。憲法上これらの機関は同等の立場にあることが明記されていますが、台湾人の意識として行政院が最上級で、立法院、司法院が次点、考試院、監察院がその更に下という印象があるようです。これはそれぞれ歴代院長の経歴や政治スキル、人気を比較してのことです。序列トップの行政院長には蒋介石や汪兆銘、蒋経国などのそうそうたる有名人が名を連ね、一昔前までは副総統が兼任したりしていたのに対し、立法院長はつい最近まで王金平(学生らによる立法院占拠を紳士協定により解散させた実力者…ですが、根強い汚職への疑惑があります)が長期に院長として君臨していました。(王金平は結局馬英九と揉めて辞職しました。)司法院では院長より大法官と呼ばれる最高裁裁判官のような地位の方々のほうが重要です。そしてほとんどの人は考試院と監察院の名前も知りません。
現在はシステムも割と成熟し、大きな問題は起きてなさそうですが、どこに爆弾が転がっているのかわからないのが中華民国の政治です。新しい総統が就任後はしばらくごちゃごちゃするでしょうが、生暖かく見守りましょう。
[材料]
豚ロース ……… 300g
ニンニク ……… 15g
サツマイモデンプン ………100g
[調味料1]
醤油 ……… 大さじ1
砂糖 ……… 小さじ1
五香粉 ……… 小さじ1/4
酒 ……… 大さじ1
水 ……… 大さじ3
[調味料2]
ネギ ……… 20g
ニンニク ……… 30g
ケチャップ ……… 大さじ2
黒酢 ……… 大さじ1
醤油 ……… 小さじ1
砂糖 ……… 大さじ1
ごま油 ……… 小さじ1
[作り方]
1.豚ロースを長さ4cmほどの短冊状に切り分ける。ニンニクをみじん切りにする。
2.すべての調味料1とニンニクを混ぜ合わせ、豚ロースを浸して1時間ほど漬けておく。
3.作り方2の豚ロースの表面にサツマイモデンプンをまぶし、衣にする。すべての調味料2をミキサーにかけて混ぜあわせ、五味ソースを作る。
4.鍋に適量の揚げ物油を入れて180度に熱し、作り方3で衣をつけた豚ロースを入れて全面がきつね色になるまで揚げる。取り出して油を切ったら五味ソースを添えて完成。
Point!
豚ロースは一口サイズなので、温度の違う油で二度揚げするよりも強火で一気に火を通してしまった方がさっくりふんわり火が通ります。
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