安徽料理から誰もが知る偉人(?)の名を関した『李鴻章雑燴│李鴻章ごった煮』のレシピを紹介します。千切りにした様々な高級食材を一つの皿の中で合わせた料理で、箸をつける場所によっていろんな味が楽しめる料理です。宴席料理にもってこいの豪華さです。
李鴻章は清末の政治家です。欣佐大臣(全権大使)として日清戦争の講和条約を結んだことなどで知られています。同時期の欣佐大臣には先日紹介した『左公鶏』で知られる左宗棠やあの袁世凱がいます。
李鴻章は安徽省合肥の出身です。『李鴻章雑燴』は外国の客人らを招いて催した食事会で、多くの来賓に人気を博したという料理が元になっています。パーティーで提供した時点では料理名がありませんでしたが、この料理に感動した外国人らが主催者の名前を取って「李鴻章アソート」とと呼ぶようになり、そこから『李鴻章雑燴』と呼ばれるようになったようです。
またこんな説も。李鴻章は同行者らを連れて1896年にロシア皇帝ニコライ2世(大津事件のあの人)の戴冠式に参加するためヨーロッパを訪れていました。連日の西洋料理に飽き飽きしていた同行者らを労うためホテルの調理場を貸し切って中華料理のパーティーを開いたそうですが、久しぶりの中華料理を食べた同席者らはここぞとばかりに料理を食べまくり、用意していた材料がなくなってしまいました。「大人(ご主人様)、材料がなくなってしまいました、どうしましょう?」と料理人が李鴻章に耳打ちすると、「食べ残した料理を集めて細切れにし、もう一度加熱してまとめて皿に盛り付けろ」という指示が出ました。この料理が一緒に招かれていた少数の西洋人らにバカ受けし、料理名を尋ねられました。李鴻章はちょっと考えてから「好吃多吃!!」(ええい、知らんがな!とにかくおいしいならもっと食え!)と叫んだそうです。好吃多吃(hao chi duo chi)の発音が、英語の Hotchpotch(ごった煮)と音が似ていたことから、李鴻章雑燴とよばれるようになったのだとか。じっさいには煮込んで作るわけではないですが、おもしろい話ですね!
100年をかけて洗練された料理、ぜひお楽しみください。
写真はチンゲンサイと肉団子が使われています。
レシピでは使いません。
お好みでアレンジしてください。
[材料1]
鶏むね肉 ……… 100g
鶏皮 ……… 60g
ハム ……… 50g
豚肉 ……… 100g
豚モツ ……… 60g
シナチク ……… 50g
卵 ……… 5個
ウズラ卵 ……… 12個
白身魚 ……… 100g
ダイコン ………400g
ネギ ……… 25g
ショウガ ……… 25g
[材料2]
干しシイタケ ……… 30g
干し貝柱 ……… 10個
干しナマコ ……… 50g
スルメ ……… 30g
[調味料]
塩 ……… 適量
紹興酒 ……… 大さじ2
チキンスープ ……… 300cc
ラード ……… 大さじ4
[作り方]
1.材料2の干物を温水に浸け、柔らかくなるまで戻しておく。柔らかくなったらそれぞれを千切りにしておく。シイタケや貝柱を戻した汁は取っておく。
2.鶏むね肉、鶏皮、ハム、豚肉、豚モツを幅1cmほどに切りそろえ、器に並べてから紹興酒を振りかけて蒸し器にかける。15分ほど強火で蒸して火を通しておく。器の底にたまった水分は取っておく。シナチクを千切りにする。卵を薄焼きにし、千切りにして錦糸卵を作る。ウズラ卵を茹でて火を通し、殻をむいておく。白身魚を千切りにする。ダイコンを千切りにし、水けを切っておく。
3.鍋にチキンスープ、作り方1の材料の戻し汁、作り方2で材料を蒸した時に出た汁、ネギ、ショウガを合わせて鍋にかけ、塩で味を調える。
4.大き目お皿を準備し、中央にダイコンの千切りを盛り付ける。上に千切りにした材料をそれぞれ並べ、周囲にウズラ卵を盛り付ける。中央にラードを乗せ、上からら作り方3のスープを沸騰させたままかけて完成。
Point!
特にスルメは水で戻すまで1-2日ほどかかります。数日前から用意しておきましょう。たくさん戻しておいて『客家小炒』などに使うと効率的です。
白身魚は千切りにてなるべく上部に盛り付け、スープをかけたときに火が通るようにします。最上部には太めに切った鶏肉を並べるとよいでしょう。
具は一例です。特に決まったものはありません。通常はいくつかの高級干物と鶏肉、豚の内臓を盛り付けて熱々のスープをかけて食べます。色づけにニンジンやチンゲンサイなどを添えることもあります。写真のようにウズラの卵の合間に小型の肉団子を挟むこともあります。
もともとの安徽省では濃いめのチキンスープを使いますが、料理人によってはラー油を混ぜた少し辛めのスープやとんこつベースのスープなどで作ることがあります。スープには特に決まりがないので、好みのモノを使ってください。インスタントラーメンのスープをそのまま使うと簡単です。ただし醤油など別の調味料を使わなくてもよいように、スープの味は濃いめに作りましょう。
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