中国ではもっとも有名なロシア料理のひとつである『羅宋湯│中華風ボルシチ』のレシピを紹介します。数あるロシア料理の中でも、きちんとした中国語名がついているのはこの料理だけでしょう。トマトとキャベツ、そして牛肉を酸味のあるスープで煮込んだ家庭料理です。レシピでは牛筋肉を使っていますが、特に決められた具があるわけではありません。
もともとポーランドやロシアなどの東欧地域で伝統的に作られる料理で、トマトではなくテーブルビートという赤カブのような野菜を使って作ります。ロシアと国境を接する中国でも北部地域では時々食べられたりしていたそうです。
20世紀初頭に多くのロシア人が上海租界に住み着くようになると同時に、この料理も上海に伝わることとなりました。多くの上海人も物珍しさからこの料理を口にしましたが、もともとの酸味の強い味に慣れず、上海人の口に合うように改良されることとなりました。また入手の困難であったテーブルビートの代わりにトマトを使うようになったのもこのころです。「Russian」に「羅宋(上海語でルーソンのような音)」の字を当てて『羅宋湯』と呼ばれるようになりました。台湾でもローカライズされたものを多くのレストランで食べることができます。中国東北の一部地域では『蘇伯湯』とも呼ばれます。
今では中国全土に広がってすっかりローカライズされ、元が『ボルシチ』であったことすら忘れ去られた千変万化の家庭料理となっています。もともとの『ボルシチ』が野菜スープくらいの意味なので、この変化も納得と言えば納得です。
家に中国の友人を招いてロシア料理を食べさせたら、故郷の味だといって懐かしがられるという不思議な光景を目にすることができるかもしれません(笑)。煮込むのに時間はかかりますが、作るのはとっても簡単です。ぜひ再現してみてください。
[材料]
牛筋肉 ……… 600g
トマト ……… 2個
ジャガイモ ……… 1個
キャベツ ……… 150g
セリ ……… 50g
チキンスープまたは水 ……… 1000cc
[調味料]
ケチャップ ……… 大さじ2
塩 ……… 小さじ1
[作り方]
1.牛筋肉を食べやすい大きさに切り、沸騰したお湯にくぐらせてあくを抜いておく。
2.ジャガイモの皮をむき、食べやすい大きさに切る。トマト、キャベツ、セリを食べやすい大きさに切る。
3.すべての材料とチキンスープまたは水を鍋に入れ、蓋をして弱火で4時間ほど煮込む。最後にケチャップと塩で味を調えて完成。
Point!
多くの地域ではチキンスープではなく普通の水を使います。こちらのほうが野菜の味が活きますので、どちらで作るかはお好みで。
余った端野菜にジャガイモを加えて作るのが本場風です。
煮込むときは、煮詰めてしまわないよう適宜水を足しましょう。
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