2016年3月2日水曜日

鹹燒白│四川風チャーシュー

難易度: 調理時間:2時間
四川省の伝統料理『鹹燒白│四川風チャーシュー』のレシピを紹介します。豚バラ肉の塊を揚げて火を通し、紹興酒や醤油などをベースにしたスープで煮込んで作ります。濃厚なソースの味と豚肉のうまみが味わえる絶品料理です。

四川省といえば伝統芸能「川劇」が有名です。秦代以前から存在する伝統芸能で、川劇のことは知らなくても、役者が一瞬で隈取を変える「變臉(Bian lian)」と呼ばれる技術は見たことがある人も多いのではないでしょうか?十種類ほどの顔色が一瞬にして変わっていくさまは見るものを驚かせてくれます。

あれだけ物まね、パクリが横行する中国にあって、この「變臉」の技術は「国家第一級秘密」に指定されており、門外不出となっています。海外への持ち出しはおろか、技術の秘密を洩らすこと事体が罰せられます。相当厳重に守られている技術ですが、映像などの解析から特殊な布と繊維を使った技術であることが推測されています。

川劇は四川省の伝統芸能ではあるのですが、四川省では明末に大虐殺があり数百万人いた人口は数万人に数を減らし、その後周辺各省から多くの移民が集まって人口を回復しました。この時に川劇をはじめとする伝統芸能は一度刷新されたと考えられており、周辺各省の芸能の影響も強く受けることとなりました。

中華民国時代は重慶に政治の中心があったため、短期間ではありますが政府の保護も受けて爆発的な人気を博しました。このまま現在につながる…と思いきや文革時期に多くの著名な演劇人らが一掃されてしまったため、現在の川劇は少ない文献や口述をもとに当時の物を再現しただけというものが少なからずあるようです。今のように映像も写真も残せなかった時代、培った技術が失われてしまうその時、どれだけの苦しみがあったことでしょうか。そしてそれを取り戻していく過程にも。

中国5000年とは言いますが、本当に長い命脈を保っているものは数少なく、それだけに本物には価値があります。中国の伝統芸能を見るときは襟を正してみるのがよさそうです。

それではレシピです。



[材料]
豚バラ肉塊 ……… 500g
花椒 ……… 1g
トウチ ……… 10g
八角 ……… 3個
ネギ ……… 20g
ニンニク ……… 10個
ショウガ ……… 10g

[調味料]
水 ……… 350㏄
醤油 ……… 大さじ4
焼酎 ……… 大さじ2
紹興酒 ……… 大さじ2
氷砂糖 ……… 20g
塩 ……… 小さじ1/2
水溶き片栗粉 ……… 大さじ2

[作り方]
1.ネギをぶつ切りにする。ニンニクを薄切りにする。ショウガを薄切りにする。

2.豚バラ肉塊を沸騰したお湯で5分ほど茹でてあくを抜き、取り出して冷ましておく。豚バラ肉塊が冷めたら、大匙1ほどの焼酎を豚肉の表面に刷り込んでおく。

3.フライパンに揚げ物油を適量加えて160度に熱し、作り方2の豚バラ肉塊を入れて全面がきつね色になるまで3-4分揚げる。火が通ったら取り出して油を切っておく。

4.熱した鍋に大さじ2のサラダ油(分量外)をひき、作り方1のニンニクとショウガを炒めて香りを出す。これに作り方3の豚バラ肉塊と花椒、トウチ、八角、ネギと水、醤油、残りの焼酎、紹興酒、粉砂糖、塩を加え、ふたをして中火で30分ほど煮込む。煮込み終わったら豚バラ肉を取り出し、厚さ約1cmほどの薄切りにして器に並べる。

5.ソースに水溶き片栗粉を加えてとろみをつけたら、作り方4の豚肉の上にかけて完成。

Point!
肉の周りを茹でたチンゲンサイなどで彩るのが普通です。ソースは肉にだけかけて、野菜にはかからないようにします。

豚肉は一度揚げてからさらにソースで煮込むことで、食感を残します。

ソースから八角とトウチなどの固形物を取り除いて肉にかけましょう。


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