前回に引き続き『ヌガー』を作ります。今回は『巧克力牛軋糖│チョコレートヌガー、Nougat de chocolat』のレシピです。前回のが伝統的な製法に倣った基礎編だとすると今回は応用編。チョコレートを加える手間が増えていますが、温度管理が命の料理なので手順を簡略化してよりスピーディーに作れるようになっています。
ヌガーの起源には二種類の説があります。今回はその片方、ヨーロッパで生まれたとされるヌガーの歴史を追いかけて見ましょう。
ヌガー(Nougat)とはフランスの伝統菓子ですが、もちろんフランスにだけ存在するわけではなく、ヨーロッパ全土で親しまれています。ヌガーに関する最も古い記述は10世紀のアラビア語の書籍にあるといわれています。10世紀当時の製法(蜂蜜とラクダの乳を練ってつくるそうです)で作ったヌガーはネイティブヌガーと呼ばれ、現在もトルコやシリアなどで食べられているそうです。アラブ地域で生まれたネイティブヌガーはその後地中海に沿ってアフリカ北部、中東、ヨーロッパ南部に広がっていきました。10世紀から14世紀にかけてエジプトなどを旅した多くのヨーロッパ人旅行者がネイティブヌガーについて記述しています。
各地に伝わったネイティブヌガーはその土地その土地で発展を遂げていくのですが、15世紀のイタリアで現在の形式に近い卵白とナッツ(当時は松の実)を使ったヌガーが誕生しました。もともと結婚式の祝い菓子として開発されたそうですが、すぐに大人気となり、クレモナのヌガーなどと呼ばれて各地に伝わっていきました。この当時のヌガーは現在もイタリア南部に伝わっているそうです。
アーモンドを使った現代とほぼ変わらない形のヌガーが登場するのはこのすぐ後。15世紀にヨーロッパで唯一アーモンドを栽培していたスペインにクレモナのヌガーが伝わると、すぐにアーモンドを使ったヌガーが誕生しました。スペインのアーモンドを使ってクレモナのヌガーを作る製法を記録しフランスにもたらしたのは"あの"ノストラダムス。(ノストラダムスは料理研究家としても有名です)このレシピは健康食品としてフランス各地の薬局に伝えられ、伝統菓子として定着しました。その後多くの料理人の改良を経て現在のヌガーとなるのです。
アラビアのネイティブヌガーからイタリアのクレモナヌガー、プロヴァンスのアーモンドヌガー、そしてフランスのヌガーへ。ヌガーは時代も土地も民族も超えて、およそ1000年もの間多くの人々に愛されてきました。まさかあのノストラダムスがヌガーの歴史に一枚かんでいるとは思いもよりませんでしたね!
恐怖の大王はチョコレートたっぷりのヌガーで撃退してしましょう!次回はまったく別の製法、マシュマロで作る柔らかいヌガーです!
前回のレシピはこちら。使う道具など参考にしてください。
[材料1]
水 ……… 35g
練乳 ……… 35g
砂糖 ……… 70g
水あめ ……… 330g
塩 ……… 一つまみ
[材料2]
卵白 ……… 35g
砂糖 ……… 20g
[材料3]
無塩バター ……… 35g
チョコレート ……… 70g
(ブラックでもビターでもホワイトでもなんでもOK)
粉ミルク ……… 100g
[材料4]
ナッツ類 ……… 200g
(なんでもよいがチョコレートに合わせるならアーモンドがおすすめ)
[作り方]
1.アーモンドを150度に熱したオーブンで10-15分ほど加熱し、火を通しておく。火が通ったらそのままオーブンに入れておく。
2.材料3のチョコレートを刻み無塩バターと一緒に湯煎にかけて溶かして混ぜ合わせる。これに粉ミルクを加えてよく混ぜ合わせておく。
3.すべての材料1を鍋に入れて混ぜ合わせ、弱火で加熱しながら130-135度まで過熱する。
4.材料2の卵白と砂糖を混ぜ合わせてしっかりとあわ立ててメレンゲを作る。
5.(→Point参照)作り方4のメレンゲに作り方3の熱い水あめを加えて木ベラなどでよく混ぜ合わせる。混ざったら作り方2のチョコレートを加え、全体が均一になるまで良く混ぜ合わせる。これに作り方1のアーモンドを加え、流動性があるうちにクッキングシートを敷いたバットなに流し込む。流し込んだ生地の上からクッキングシートをかぶせ、麺棒などで均一な厚さになるよう均す。生地が冷えたら取り出し、食べやすい大きさに切って完成。
Point!
作り方5からは時間との勝負です。手早く混ぜ合わせましょう。
メレンゲはなるべく硬めに泡立てましょう。空気が入らないと出来上がりがネバネバと粘ります。
使う道具などは前回の記事を参考にしてください。手順はほとんど同じです。
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