山東料理の名菜『芙蓉干貝│芙蓉貝柱』のレシピを紹介します。貝柱を中華スープを溶かした牛乳と卵白で閉じ込めた茶碗蒸し風の料理です。中華料理では珍しい牛乳を使って作る非常に美しい料理です。
ここのところ立て続けに山東料理のレシピを紹介していますが、理由はもちろん筆者がはまっているからです(笑)。
山東料理のある山東半島は短期間ですが日本が統治していたことがあるので、日本人にまつわるエピソードもたくさん残っています。一つ面白いエピソードを紹介しましょう。
中国にはそれぞれの菜系ごとに初級、中級、高級、技師、高級技師などの料理資格制度があります。下位の資格は専門学校に行けば取れるような簡単なものですが、各菜系で最高級のものになると中国全土で10人いるかいないかという非常に狭き門で、調理の腕だけでなく中華料理への貢献度合いなども勘案して授与される名誉な称号となっています。日本を訪問している中華の料理人が「特級○○師」などと紹介されるアレです。
さて、山東料理にもこういった資格称号制度があるのですが、日本人でありながら山東料理の最高資格である「中国鲁菜烹飪特級大師」の称号を持つ人がいます。
佐藤孟江という女性がその人です。今はもう閉店してしまったそうですが東京四谷の「濟南賓館」というレストランを経営していました。かの穣ッ派1925年に山東省濟南市に生まれ、当時の有名なレストラン「泰豐樓」にて夫である佐藤浩六と共に山東料理の厳しい修業を積みました。日本に引き上げてからも"正統な"山東料理の技法を伝える数少ない料理人として活躍し、文化大革命により山東料理の技法が途絶えそうになった後は、中国本土に戻って自信の技法を教授するなど活躍しました。 2004年、79歳になった彼女に山東省は「中国鲁菜烹飪特級大師」の称号を授与し、その功績を称えました。日本で山東料理といえば真っ先に彼女の名前(とレストラン)が挙がるほどのその道では偉大な方です。
詳しくは以下の本を参考にしてください。
(上の本は中国語の翻訳版もあり、山東電子音像出版社から《鲁菜情縁》のタイトルで出版されています。)
それではレシピです。
写真ではうす切りのゴーヤを飾っています。
他にも銀杏などを添えることもあります。
[材料]
干し貝柱 ……… 300g
卵白 ……… 200g
牛乳 ……… 200cc
中華スープ ……… 100cc
ネギ ……… 適量
ショウガ ……… 5g
[調味料1]
酒 ……… 大さじ1/2
塩 ……… 小さじ1/2
味の素 ……… 小さじ1/4
[調味料2]
酒 ……… 適量
塩 ……… 適量
味の素 ……… 適量
[作り方]
1.ネギをぶつ切りにする。ショウガをうす切りにする。干し貝柱を良く洗っておく。
2.干し貝柱をどんぶりに入れ、ネギ、ショウガ、調味料1の酒、水(分量外)250ccを加える。どんぶりごと蒸し器にかけ、強火で30分蒸す。蒸しあがったら貝柱のみを取り出し、冷ましておく。
3.ボウルに卵白、牛乳、調味料1の塩と味の素を入れて泡立たないようによくかき混ぜ、耐熱容器に注いで蒸し器に入れて中火で5分ほど蒸す。卵白の表面が固まらないうち一度蓋を開け、作り方2の貝柱を表面に軽く差し込む。再び蓋をして強火で5分蒸し卵白を固める。火が通ったら容器を取り出して、食卓に置く。
4.鍋に中華スープを熱し、調味料2の塩、酒、味の素を加えて味を調える(→Point参照)。作り方3の茶碗蒸しの上にスープを注いで完成。
Point!
中華スープには水溶き片栗粉などで軽くとろみをつけても良いでしょう。
貝柱を蒸して柔らかくする時、特に取り出すときに形を崩さないよう注意しましょう。
本来味の素は使用せず、食材のうま味を引き出すように下準備、火加減、調理時間に細心の注意を払って調理します。腕に自身がある方は持てる技巧を存分に注いで調理してみて下さい。
貝柱を蒸して柔らかくする時、特に取り出すときに形を崩さないよう注意しましょう。
本来味の素は使用せず、食材のうま味を引き出すように下準備、火加減、調理時間に細心の注意を払って調理します。腕に自身がある方は持てる技巧を存分に注いで調理してみて下さい。
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