冬到来ということで特殊な香辛料を組み合わせ煮込み料理を紹介しましょう。『滷牛健│牛スジ煮込み』と名前は単純ですが、香辛料の組み合わせはなかなか面白いものとなっています。
今回のレシピでは「青皮」、「木香」というちょっと珍しい生薬を使います。 簡単に見てみましょう。
「青皮」とはいわゆるポンカンなどの未成熟果実の皮を乾燥させたもので、同じくミカン科の果皮である陳皮や橘皮の仲間の生薬です。精油成分を豊富に含み清冽な香りが特徴です。通常は十字に切れ込みを入れて皮を剥き乾燥させているので、「四花青皮」とも呼ばれます。ほぼ陳皮と同じ疏肝破気、散結消滞という効能を持ちますがその作用は強く、特に消化不良、気鬱などに用いられます。青皮を配合している有名な処方は青皮以外にもいろいろな香辛料が使われていることが多く、そのままスープにして飲むとおいしそうなものばかりです(笑)。
青皮、山楂、神曲、麥芽、草果を組み合わせた「青皮丸」という処方があるのですが、砂糖を加えてそのままお菓子として食べられそうなおいしそうな組み合わせです。涎が出そうな組み合わせですね。
「木香」には実は「雲木香」と「川木香」の二種類がありまして、それぞれ元の植物が違います。日本の生薬で木香といった場合は「雲木香」のことですが、実はこの雲木香 Saussurea costus または S. lappa はワシントン条約で国際取引が全面禁止されています。とても貴重な生薬なのです。雲南省あたりで産出するのでこの名前があります。川木香 Vladimiria souliei は四川省あたりで産出するのでこの名前があります。こちらは特に取引を規制されていはいません。
雲木香も川木香も、どちらも行気止痛の効能を持ちますが、雲木香は更に健脾消食、止瀉などの効能を持ちます。薬として使う場合は普通は雲木香を使います。料理で使うなら、手に入れやすく安価な川木香で十分です。
香辛料を一つずつ味わった経験がないと全体の香りや味を想像するのは難しいかと思いますが、一つ香りを嗅いだだけで胃腸が蠕動を開始し涎があふれ出すような本能を拳骨で叩く鮮烈な香りが特徴です。
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[材料1]
甘草 ……… 3g
八角 ……… 3個
山奈 ……… 4g
青皮 ……… 4g
丁香 ……… 4g
草果 ……… 2個
川木香 ……… 4g
(雲木香でもよい)
桂皮 ……… 10g
胡椒 ……… 7g
[材料2]
牛スジ ……… 600g
水 ……… 500cc
ネギ ……… 1本
ショウガ ……… 10g
トウガラシ ……… 1本
[調味料]
醤油 ……… 200cc
酒 ……… 200cc
氷砂糖 ……… 大さじ1
ごま油 ……… 大さじ1
[作り方]
1.全ての材料1をティーパックなどに入れ、水500cc、酒と共に鍋に入れて沸騰させ、弱火で20分煮込む。
2.作り方1の鍋の火を強火にし、沸騰している状態で醤油、氷砂糖、ごま油を加える。スープの完成。
3.牛スジは沸騰したお湯にくぐらせ、あくが抜けて一回り小さくなるまで茹でておく。火が通ったら取り出して冷水に浸け、水気を切っておく。
4.ネギはぶつ切りにする。ショウガはうす切りにする。トウガラシはみじん切りにする。
5.熱したフライパンに大さじ1のサラダ油(分量外)をひき、ネギ、ショウガ、トウガラシを加えて香りが出るまで炒める。続いて作り方1のスープを150cc加えて沸騰させたら、作り方3の牛筋を入れる。中火で牛スジに色が付くまでひっくり返しながら5分ほど煮込む。
6.残ったスープを鍋に沸騰させ作りかた5のフライパンの中身をすべて加える。蓋をして中火で20分ほど煮込んだら、ごく弱火にして蓋をして更に10分ほど加熱する。最後に火を止めて10分ほど蒸らしたら、牛筋を取り出してうす切りにし、容器に盛り付けて完成。
Point!
簡単に作るならスープと牛筋を炊飯器に入れてスイッチオン!で作れます。もちろん牛スジはアク抜きなどの下処理をしておきましょう。
スープは同時にモツやハラミ、ハチノスなどの内臓を煮込むのに使えます。生臭さは完全に消え去り、食欲をそそるとてもいい香りがします。
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