四季の薬膳第三弾は秋の『枸杞核桃仁雞丁│鶏肉の枸杞とクルミ炒め』です。
立秋から立冬までの秋は、中医学では陽気が収まり、陰気が増え始める季節。中秋を境に日は次第に長くなり夜の時間を如何に過ごすかということが大事になってきます。古典《黄帝内径》にはすでに“秋冬養陰”と記載されています。
春は肝、夏は心、秋は…肺気の高まる季節とされ、肺の陰気をどのように養うかが薬膳の基本となります。空気が乾燥してくると「肺」の粘膜が乾燥し、病毒に犯されやすくなったり、喉が渇いたりして肺が傷害されます。肺が傷つくと体内の水分代謝、特に肌に水分を送るための気が不足し、肌荒れの元になります。また体の中に溜まった熱気や火毒を空気中に発散させる働きも弱まります。秋の薬膳では肺陰気ををサポートし、喉や肌の乾燥を防ぐような生薬を使ってみましょう。
また同じく陰気をつかさどる腎の働きを冬に向って高めていくのも大切です。寒くなると古傷が痛む、冬になると足腰が弱るという方は、秋から対策を始めましょう。
秋の薬膳食材として外せないのは、なんと言っても梨!肺陰気を補う作用が非常に強く、古くは咳止めの薬としても使われました。また少々値は張りますが、滋陰の効果に優れたスッポン、コイなどの動物性の食材も使ってみましょう。 生薬なら麦門冬、党参、沙参などが料理には使いやすいです。
今回の薬膳でメインとなる枸杞には滋腎補肝、明目、潤肺の効能があり、まさに上記の秋の養生にピッタリです。クルミは生薬名を胡桃仁といい、補腎益精、温肺定喘、潤腸通便の効能があります。こちらも秋の食材としてはうってつけで、近代の研究により含まれる油が動脈硬化の予防や心血管保護、記憶の改善などに効果があることが分かっています。どちらも手に入れやすく食べやすいので、色々な料理に加えてみましょう。また鶏肉には補虚暖胃、補肝腎、強筋骨の効能があり、高い栄養価があります。加える卵白にも滋陰の効能があるといわれ、乾燥を防ぐのに使われたりもします。薬味で加えるショウガ、ネギ、ニンニクは秋冬の寒さから体を守る効果も期待できます。 なかなか計算されつくした薬膳です。
[材料]
枸杞 ……… 90g
クルミ ……… 150g
鶏肉 ……… 600g
卵白 ……… 3個
ショウガ ……… 20g
ネギ ……… 20g
ニンニク ……… 20g
[調味料]
塩 ……… 20g
味の素 ……… 3g
胡椒 ……… 少々
チキンスープ ……… 150cc
ごま油 ……… 20g
酒 ……… 20g
片栗粉 ……… 150g
砂糖 ……… 20g
[作り方]
1.鶏肉は1cm角のさいの目に切っておく。枸杞は良く洗って雑物を取り除いておく。クルミは沸騰したお湯で軽くゆでて渋皮を取り除く。ショウガ、ネギ、ニンニクはよく洗ってみじん切りにする。卵白は溶いておく。
2.作り方1の鶏肉に食塩、酒、味の素、胡椒、チキンスープ、ごま油、片栗粉を加え、良く混ぜ合わせておく。
3.鍋にクルミが浸かるくらいの多めのサラダ油(分量外)を熱し、作り方1で渋皮を剥いたクルミを入れて火を通す。クルミに火が通ったら取り出し、同じ油で枸杞の実をサッと揚げておく。
4.作り方3の鍋に油を適量残し、中火で加熱しながら作り方2の鶏肉を炒める。鶏肉全体の色が変わったら、取り出して油を切っておく。
5.作り方4の鍋にクルミと枸杞を揚げた油を50ccほど戻して熱し、ショウガ、ネギ、ニンニクを炒めて香りを出す。続いて取り出しておいた鶏肉を漬け汁と一緒に入れて火が通るまで良くかき混ぜながら加熱し、最後にクルミと枸杞を加えて混ぜ合わせたら完成。
Point!
どうせならいい鶏肉を使いましょう。胸肉よりも皮付きの肉の方がおいしく食べられます。
特にお年寄りで肝腎の気が不足し、足腰の痛み、目のかすみ、長引く咳、喉の渇きなどの症状がある人におすすめの薬膳料理です。
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