一月に渡って紹介してきた熱炒メニューのまとめも本日で終わり、明日からはまた普通の台湾料理の紹介に戻ります。最後のメニューは『清蒸鮮魚│中華風蒸し魚』です。
多くの熱炒店のメニューにある定番料理の一つなのですが、その多くは「時価」、その日その時に仕入れた新鮮な旬の魚を使って作られる料理で、シーズンごとに魚が違います。熱炒店のメニューの中でも特殊な料理です。
味付けはあくまで、魚の臭みを抜き本来の旨味を引き出すことに主眼が置かれます。もちろんダシなどを使って濃い目に味付けすることもありますが、もともとは魚の味を楽しむシンプルな料理なのです。レシピを見ていただいても特に変わった材料を使うわけではないのが一目で分かります。誰でも挑戦できる料理で家庭でもよく作られます。
しかしそのシンプルさゆえに、この料理をきちんと作るのは至難の業、料理人の腕と魚の鮮度がもろに料理に反映されます。舌の肥えた人にこの料理を提供する場合は注意しましょう。台湾では同じ店で価格が時価のクセになんか納得できない味の料理が提供されることもあります(笑)。格安がウリの熱炒店でも300-1000元、高級料理店なら時価で2000~5000元ほどする料理です。魚の種類にも寄るのですが、調理方法はシンプルですのでぜひ自宅で再現してみてください。
使われる魚はタイ、スズキ、サケ、ヒラメ、カレイ、コイなどの白身魚全般。ようは何を使っても作れます。
台湾料理をはじめ、中華料理では魚を低温熟成させて旨味を増してから調理するという技法がありません。同じ旬の白身魚でも塩を振って冷蔵庫で3‐4日寝かせたものを使うと本家中華料理を軽く超える恐るべき料理が完成します。せっかく日本で作るのなら、中華ミーツ和食、和中折衷の技術で更なる高みを目指して作ってください。(ちなみにサバやイワシなどの青魚は鮮度が命なので寝かせずにすぐ食べましょう。)
[材料]
鮮魚 ……… 一匹
ショウガ ……… 30g
乾燥唐辛子 ……… 1/2本
ネギ ……… 2本
[調味料]
塩 ……… 小さじ1/4
砂糖 ……… 小さじ1/4
固形ブイヨン ……… 小さじ1/4
醤油 ……… 大さじ2
水 ……… 大さじ2
[作り方]
1.鮮魚はウロコを取り、ワタを取ってきれいに下処理した後、身の両側の厚さ1/4まで並行に包丁を入れておく。身は通常一匹丸ごとを使うが、蒸し器に入る大きさにぶつ切りにしておく。ネギは白い部分は長さ3-4cmに切り縦半分に割っておく。ネギの緑の部分は4-5cmの長さに切り、千切りにして糸ネギを作る。ネギの根に一番近い部分は汚れを洗い長し、包丁の腹で叩いておく。ショウガは汚れを洗い、皮を剥いて半分を千切りに、半分を塊のまま包丁の背で叩いておく。唐辛子は水に浸けておき柔らかくしておく。
2.蒸し器に入る大きさの皿の底に作り方1で下ごしらえをした鮮魚を乗せる。蒸し器の水を張った部分に作り方1の包丁の背で叩いた部分のショウガとネギの根もとを入れ、中火で沸騰させる。沸騰したら中火で鮮魚を皿ごと10分ほど蒸して火を通す。蒸しあがったら皿を取り出し、底にたまった水は捨てておく。
3.熱した鍋に少量のサラダ油(分量外)をひき、作り方1の糸ネギ(緑)、ネギ(白)、ショウガの千切り、トウガラシを入れ、軽く炒めて香りを出したら作り方2の魚の上に盛り付ける。同じ鍋に全ての調味料を入れてよく混ぜ合わせながら沸騰させ、魚の上にかけたら完成。
Point!
使う魚は限定されません。旬で油の乗った中‐大型の魚を使いましょう。
蒸しすぎると魚の油がどんどん溶け出します。魚の大きさにもよりますが、蒸す時間は身に火が通るギリギリの時間を見極め調整しましょう。
味付けはあくまでシンプルに。しかし、臭みの強い川魚などを使うときは臭みを抜くため非常に高度な調理技法を要する料理です。ネギとショウガだけでどこまで魚の臭みを抜けるかが腕の見せどころなのです。
最後に魚に乗せる香り野菜と調味料は味付けの要ですが、魚の味を殺さないようすこし薄めに仕上げます。色々な作り方があるので、自分でアレンジしてみてください。
蒸し揚げたときに皿にたまった水には魚の旨味成分がすこし溶け出しています。小皿にとっておき、ネギやショウガを炒めるときか、ソースを作るときに加えて再利用してもいいでしょう。
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