英名
Barbed Skullcap Herb、Herb of Barbed Skullcap
説明
最初の記載は《江蘇植物志》(1988)。ごく近代に入ってから使用され始めた生薬である。中国南部では古くから解毒、止血などの目的で民間で用いられてきたという。最近になってアメリカにおける乳がんに対する臨床試験で良好な成績を残し注目されることになった。
経験的に白花蛇舌草と組み合わせて用いられることが多く、数多くのがんに対する効果が報告されている。現在も多くの研究が進められており、今後に期待できる生薬である。
起源
半枝蓮の始載は1988年の《江蘇植物志》。シソ科 Scutellaria barbata D. Don の全草を乾燥させたもの。
別名
半支蓮、並頭草、韓信草、牙刷草、紫蓮草、通経草、水韓信、渓辺黄芩、言草児、半向花など
性味
辛、微苦、涼
《广西薬植図志》:“味辛微腥、性平、無毒。”
《南寧市薬物志》:“甘、平、無毒。”
《江西民間草薬験方》:“性平、味辛微苦、無毒。”
広州部隊《常用中草薬手冊》:“微苦、凉。”
帰経
入肝、肺、胃経。
中医における効能
清熱解毒、利尿消腫
配合応用
- 半枝蓮は清熱解毒の効能がある。
- 肺がん及び消化管がんを治す。
- その他の抗がん薬と配合して用いる。
- 癰腫瘡毒及び毒蛇咬傷を治す。
- 内服及び外用に、単独で用いる。
- その他の薬物と配合して用いる。
- 肺癰には魚腥草、金蕎麦を配合して用いる。
- 利尿消腫に用いる。
- 湿熱小便不利、肝硬変腹水などに用いる。
- 沢瀉、半辺蓮、玉米鬚などと配合して用いる。
- 去瘀止血に用いる。
- 跌打損傷、吐衂、血淋などに用いる。
成分
フラボン類:carthamidin, isocarthamidin, scutellarein, scutellarin。
β-sitosterol, stearic acid, 多糖類など。
地上部には wogonin, scutevulin, rivularin, naringenin, apigenin, hispidulin, eriodictyol, luteolin, 5,7,4'-trihydroxy-8-methoxyflavanone, 5,7,4'-trihydroxy-6-methoxyflavanone, 4'-hydroxywogonin, 7-hydroxy-5,8-dimethoxyflavone, p-hydroxybenzaldehyde, p-hydroxybenzylacetone, p-coumaric acid, protocatechuic acid, ursolic acid, phytosterol, phytosteryl-β-D-glucosideなど。
抗がん作用
トリテルペン類であるウルソール酸を少量含み、全草のエキスは明らかな抗がん作用を持つことが報告されている。
急性骨髄性白血病の抑制作用を持つ。
抗変異原作用を持つ。
免疫調節作用を持つ。
がんの増殖を抑制する。
JTC26を強烈に抑制する。
ラットS80、脳腫瘍B22などを抑制する。
などの抗がん作用がある。
臨床では肝がん、胃がん、食道がん、噴門がん、直腸がん、肛門がん、鼻咽がん、白血病、悪性リンパ腫、子宮頸がん、卵巣腫瘍、繊毛膜上皮腫 、膀胱がんなど熱毒蘊結、水湿内盛、瘀血阻滞の者に用いる。
- 肝がん
半枝蓮、白花蛇舌草各60gを煎じて服用する。《弁証施治》
半枝蓮、独角蓮、白花蛇舌草各30g、重楼15g、丹参、三稜、莪朮、土茯苓各9gを煎じて毎日1剤服用する。《貴陽中医学院学報、1986、(3):4》 - 胃がん
半枝蓮、白花蛇舌草、黄蓍、威霊仙、羚羊骨各100g、広木香、大黄各60g、金石斛、砂仁、炮山甲、山豆根、露蜂房、馬鞭草、地骨皮、胡桃樹枝各50gを粉末にし、100目の篩にかける、もしくは梧桐子の大きさの丸剤にし、毎日3回、1回10gを服用する。《湖南中医雑誌、1992、(3)》 - 食道がん
半枝蓮60g、蒲公英、黄薬子各30g、全瓜蔞15g、法半夏9g、黄連6gを煎じて毎日1剤を服用する。《抗癌中草薬製剤》
半枝蓮、白花蛇舌草、威霊仙各50g、水蛭15gを煎じ、毎日1剤を服用する。30日を1治療期間とする。《新中医、1997、(7):39》 - 噴門がん
半枝蓮、烏梅各100g。半枝蓮に水1500 ml を加え、750 ml まで煮詰める。烏梅に水1500 ml を加えて24h浸けてから30分煮込み、残渣を除いて50 ml まで煮詰める。これを半枝蓮のエキス中に加え、毎回5 ml を毎日3回服用する。《実用抗癌験方》 - 直腸がん
半枝蓮、白花蛇舌草各30g、紅藤15g、敗醤草、薏苡仁、銀花、白頭翁各12g、炙刺猬皮、苦参、炮山甲各9gを煎じて毎日1剤服用する。《中医臨床手冊》 - 肛門がん
半枝蓮、白花蛇舌草各60g、忍冬藤、薏苡仁、昆布各30g、夏枯草、海藻、槐角、紫草、桃仁各12g、厚朴、甲珠各9gを煎じ、一日2回に分けて服用する。《湖北中医学院附属医院方》 - 鼻咽がん
半枝蓮50g、黄連20g、白花蛇舌草、生黄蓍各100gを煎じ、毎日1剤を服用する。《四川中医、1990、(7)》 - 白血病
半枝蓮、板藍根、白英、土大黄各30g、干蟾皮9-12g、重楼、紫草各15g、射干9g、気血虚の場合は黄精30gを加える。黄蓍、熟地各15g、党参、当帰各9g、感染があれば蒲公英、大青葉各30gを加える、紫花地丁、銀花各15g、高熱があれば生石膏を加える。《上海第二医学院附属瑞金医院方》 - 悪性リンパ腫半枝蓮500g、銀花、野菊花、夏枯草各250g、穿山甲、大薊、小薊各15g、丹皮6gを粉にし、毎回9g、毎日3回服用する。《実用抗癌験方》
- 子宮頸がん
半枝蓮、土茯苓、敗醤草、蒲公英、車前草、龍葵各30g、瞿麦、生薏苡仁各20g、萹蓄15g、蒼朮、厚朴、赤芍各10gを煎じて毎日1剤を服用する。《中医腫瘤学》 - 卵巣腫瘍半枝蓮50g、龍葵、白英、白花蛇舌草、鼈甲各30gを煎じ毎日1剤を服用する。腹痛があれば木香6g、首烏9g、延胡索9gをくわえる。腹部膨張があれば大腹皮、厚朴、枳殻各9gを加える。腹水があれば車前子、沢瀉各12gを加える。《腫瘤的診断與防治》
- 繊毛膜上皮腫
半枝蓮、白花蛇舌草各60g、龍葵30-60g、敗醤草15gを煎じて毎日1剤を服用する。《武漢医学院第一附属医院方》
天花粉50g、牙皀粉30gをカプセル1個に天花粉0.25g、牙皀粉0.15gが入るよう調整しする。これを会陰部に外用する。《武漢医学院第一附属医院方》 - 膀胱がん
半枝蓮、大薊、小薊、蒲黄炭、槐花炭、車前子、白花蛇舌草各30g、知母、黄柏、生地、雲苓、猪苓各12gを煎じ、一日1剤服用する。《上海中医薬大学附属曙光医院方》
このほかにも抗酸化作用、利尿作用、去痰作用、抗ヘルペスウイルス作用などの薬理効果が報告されている。
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