中華米食シリーズ。まったく奇妙な名前の『與佛有縁燴飯│仏さまとご縁があるあんかけご飯』のレシピを紹介します。名前から分かるように仏教由来の素食の一つですが、必ずオイスターソース(肉由来)を使わなければならないという名前だけでなく調理方法も奇妙な料理です。
『與佛有縁燴飯』はもともと広東省のお寺で食べられていた素食の一つ『素什錦燴飯』という料理が元になっています。これを某ホテルの料理人がアレンジしたのがこの料理。救いを願う我々普通の民衆はこの料理を口にして仏様とのせめてもの縁を願いましょう。(中国の信心深い仏教徒は決して動物由来の食材を口にしないのでもちろんこの料理を食べることはできません。 )
なぜ素食にわざわざオイスターソースを使うのかというと…。
釈迦の内弟子の一人に「目蓮(モッガラーナ)」という人物がいます。彼は釈迦の弟子のうち最も神通力に長けていたとされる人物で、彼は生前の行いの報いとして餓鬼道に落とされていた自身の母親を様々な人の力を借りて救い出しては解脱させました。この物語は儒教にも取り入れられ、「目蓮救母」という忠孝の故事として広まっています。台湾の様々なお寺の壁画にも意匠が取り入れられているので興味がある方は探してみましょう。
この目連が母を助けるストーリーは《目蓮經》という経典に書かれているのですが、実はこの物語は「盆踊り」の由来ともなっていまして、現代日本人にも密接にかかわりがあるのです。この《目蓮經》はその内容の面白さから様々な派生作品を生み、多くの中国人に愛されてきました。
料理名の由来はこの派生作品の一節から。簡単に説明すると、目蓮は母を救うために目の前に広がる大きな海を渡らないといけませんでした。この時目蓮が持っていた杖で海底を衝くと付近にいた牡蠣が衝撃で地獄に落ちてしまいました。カキはこれを機に「仏と縁を結ぶことができた」という話があるのですが、これが「カキ」を使った精進料理が「與佛有縁」と呼ばれるようになった由来です。
この料理を作って食べるときは話のネタに困らなさそうですね(笑)。
[材料]
ご飯 ……… 500g
タケノコ ……… 150g
ニンジン ………70g
チンゲンサイ ……… 適量
アスパラガス ……… 150g
ビーフン ……… 50g
シイタケ ……… 15個
マッシュルーム ……… 70g
サヤエンドウ ……… 70g
水 ……… 800cc
[調味料]
豆腐乳 ……… 10g
(味噌で代用する)
塩 ……… 小さじ1/2
味の素 ……… 小さじ1
砂糖 ……… 大さじ1
醤油 ……… 大さじ3
ごま油 ……… 大さじ1
(必須)オイスターソース ……… 大さじ1
片栗粉 ……… 大さじ3
水 ……… 120cc
[作り方]
1.タケノコを下処理し、うす切りにする。ニンジンの皮を剥き、うす切りにする。チンゲンサイは茎の根元を切り落とし、半分の長さに切っておく。アスパラガスを3cmの長さに切っておく。ビーフンは水に10分ほど浸けて戻しておく。シイタケのいしづきを取り、水に浸けて戻しておく。マッシュルームをうす切りにする。
2.鍋に水を沸騰させ、タケノコとニンジンを茹でて火を通す。続いて同じ鍋でチンゲンサイとアスパラガスを茹でて火を通し、取り出して水気を切っておく。片栗粉は調味料の水に溶いておく。
3.熱した鍋に大さじ3のサラダ油(分量外)をひき、豆腐乳(味噌で代用)を炒めて香りを出す。続いてタケノコ、アスパラガス、マッシュルーム、シイタケ、水を加え、加熱して沸騰させる。沸騰したら塩、味の素、砂糖、醤油を加えて味を整え、更にニンジン、ビーフン、チンゲンサイを加えて中火で10分煮込む。最後にサヤエンドウ、ごま油、オイスターソースを加え、具全体に火が通ったら水溶き片栗粉を加えて全体にとろみが付くまで加熱する。
4.大きな平皿にご飯を盛りつけ、上から作り方3のあんかけをかけて完成。
Point!
オイスターソースを使わなければそのまま『素什錦燴飯』という料理になります。
どうせなら素食でないならハムや豚肉を使いたいところですが、あまりアレンジしすぎると本来の「與佛有縁」の意味が薄れてしまうのでほどほどに。
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