本日はお手軽薬膳料理『當歸黃耆魚湯』のレシピを紹介します。使う生薬はいずれも日本でよく使われるものばかりで、漢方薬局まで行かなくても普通の薬局に頼めば取り寄せてもらえると思います。材料があれば本当に簡単に作れますので、ぜひ挑戦してください。
この料理では3種類の生薬を使います。滋陰作用のある枸杞の説明はまた別の機会においておくとして、今回は残りの二つ、当帰と黄蓍について”簡単”に説明しましょう。どちらも高麗人参と並ぶ非常に有名な生薬で、しかも筆者は黄蓍の研究をやっていたことがあり、詳しく説明しだすととキリがありませんので…(笑)。
当帰といえば補血の生薬。血行をよくしたり、造血に働きかけて貧血を治したりと、血に関する様々な疾患にこれでもかというくらいよく用いられます。甘口男で販売中の抗がん漢方にも時々入っていることがありますが、化学療法などによる貧血にも非常に効果のある生薬です。不妊症や貧血、手足の冷えなど、特に女性に多い病気と切っても切り離せないほど密接なかかわりのある生薬です。
黄蓍といえば補気、補気作用を持つ生薬を代表する存在です。こちらも様々な漢方処方に使われており、高麗人参とならんでアジア全土で非常によく使われます。高麗人参に比べて栽培が容易なため産出量も多く、台湾ではもっとも消費量の多い生薬です。抗がん剤の副作用を軽減させる効果などが見つかっており、近年注目を集めています。
当帰も黄蓍もそれぞれ非常に多くの薬理作用があり、現在でも膨大な数の研究論文が発表されつづけています。 どちらも最も研究の進んでいる生薬の一つといっていいでしょう。そしてどちらも「割りとおいしい」ため多くの薬膳料理に使われます。黄蓍は繊維質なので普通は食べませんが、当帰は煮込むと柔らかくなってそのまま食べられます。今回の料理でも器に飛び込んできた当帰は魚と一緒に食べてみましょう。
それでは、滋味いっぱいの薬膳スープ料理、『當歸黃耆魚湯』です。筆者も疲れたなと感じたら家庭で作って時々食べます。おいしいですよ!
[材料]
中型の魚 ……… 1匹
ショウガ ……… 10g
水 ……… 800cc
酒 ……… 200cc
当帰 ……… 15g
黄蓍 ……… 15g
枸杞 ……… 10g
[調味料]
塩 ……… 少々
[作り方]
1.白身魚はうろこを落として三枚に下ろし、酒(分量外)と塩(分量外)を振って臭みを抜いておく。その後食べやすい大きさに切っておく。ショウガは皮をむき、千切りにする。生薬は水で軽く洗っておく。
2.鍋に白身魚の身、ショウガ、生薬と水、酒を入れ加熱して沸騰させる。沸騰したら弱火にし20分ほど煮込んだら、塩を加えて味を調えて完成。
Point!
魚の代わりに豚や鶏肉を使ってもOK。内臓を使っても旨みが出ます。
材料を炊飯器に入れてスイッチオンでも作れます。
すこしお酒の香りが残るくらいがおいしいと思いますが、好みで完全に飛ばしてしまってもかまいません。
基本的にショウガ以外の野菜は入れません。薬膳効果を最大限発揮させるためです。
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